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2008年度までに次世代省エネ住宅の比率を5割に高める

2004年07月11日

住宅産業向けの新聞を発行している、新建新聞社のホームページに、
国土交通省と経済産業省が2008年度までに次世代省エネ住宅の比率を5割に高める、という目標を両省で推し進める
という記事が載っていました。

次世代省エネルギー基準というのは、住宅の省エネルギーを促進させるために、住宅の断熱・気密・日射遮蔽の性能などを定めたもので、1999年3月30日に告示されました。

次世代省エネルギー基準では、冷暖房の負荷によって、日本を6つの地域に分類しています。
北海道のような寒い地域が(いち)地域、沖縄のように温かい地域は、VI(ろく)地域に分類されています。

東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、福岡など、日本の人口の 約8割(約1億人)が住む地域は、IV(よん)地域です。

新建新聞社の記事中には、
「国交省では、住宅性能表示制度を利用した住宅のうち21.5%が次世代省エネレベルの等級4を取得しており(2002年度)、その率が上昇傾向にある」
とありますが、そもそも、住宅性能表示制度を取得するのは比較的性能の良い住宅です。

詳しい統計を見た事はありませんが、日本全体では、次世代省エネ基準をクリアしているのは、新築の3割以下ではないかと思います。次世代省エネルギー基準の住宅を作る経験・知識を持った人は業界では比較的少数派と言えます。

次世代省エネルギー基準において、I地域や、II地域など寒い地域は諸外国の基準と比べるとほぼ同等あるいはそれ以上であり、少し厳し目の基準になっています。


しかし、IV地域以南の基準は、次世代省エネルギー基準を満たす住宅を常日ごろ建てている業者にとっては結構甘めです。つまり、慣れている業者にとっては、「余裕でクリアできる基準」という事です。

次世代省エネルギー基準になると、住まいの何が変わるか?
熱が逃げる割合が一番大きいのは窓などの開口部なので、サッシは複層ガラス(ペアガラス)が、今より一般的になるでしょう。アルミサッシよりずっと断熱性の高い、樹脂サッシの割合も増えます。また、断熱材の厚みも厚くなります

現在、関東近辺のマンションの断熱は、現場発泡の物が多く、壁面部分の断熱材の厚みは 25mmが一般的ですが、次世代省エネルギー基準を満たすためには、35mm以上必要です。

鉄骨造の場合、次世代省エネルギー基準を満たすためには、基本的に外断熱工法を採用することになります。この時の断熱材の厚みは、最も性能の高い種類の物を使っても、壁面で 50mm以上、屋根面で 115mm以上は必要です。(IV地域の場合)

戸建ての一般的な木造住宅の場合、断熱材にグラスウールの16kという種類を使うと、次世代省エネルギー基準を満たすためには、壁面には 100mmの厚みが必要です。(IV地域の場合) 北海道の場合には、150mm必要です。

「国が急に住宅の省エネルギーに本腰を入れはじめたのはなぜか?」と言うと、次世代省エネルギー基準を満たせない住宅が一般的であると、京都議定書で定めた温室効果ガスの排出量目標を達成出来ないからです。

新建新聞社の記事の中では、"状況次第では「次世代基準の義務化も選択肢としてはある」(国交省)"とあります。
次世代省エネ基準をクリアする性能の住宅であれば、結露に悩む事はほぼ無くなるでしょうし、冷暖房費用も大幅に削減出来ます。

私は、欧米のように省エネルギーの基準を法律で義務化した方が良いと思います。現在、高いからと敬遠される場合がある複層ガラスも、省エネ基準の義務化が進めば出荷量が増え、価格も安くなるでしょう。
今から10年後には、日本では複層ガラスが常識になっているかも知れません。

日本の住まいを世界基準の省エネに

2004年09月12日

以前、建物調査(インスペクション)を行った物件の報告の時のお話。
依頼者の方は以前、北米に住まわれていた方でした。

一般的なマンションより、若干断熱に気を配ってある物件でしたが、次世代省エネ基準には達成していない物件でした。

結局依頼者の方は、(他の要因もありましたが)そのマンションの購入を見送りました。日本の省エネ基準は比較的甘いのに、それを達成出来ない物件はいらない ということでした。

日本の省エネ基準のうち、制定が新しい順に3つ書き出すと、以下のようになります。

基準制定年
次世代省エネルギー基準 1999
新省エネルギー基準 1992
旧省エネルギー基準 1980

戸建ての大手ハウスメーカーは、次世代省エネ基準が標準になりつつあります。
しかし、マンションの省エネルギーは、遅れたまま。ほとんどがせいぜい新省エネルギー基準前後。次世代省エネルギー基準を超えられるのは、ほんのわずかです。

では、日本の省エネ基準を各国の断熱基準と比較するとどうなのか、グラフに示します。

保温性に関する省エネ基準の国別比較
保温性に関する省エネ基準の国別比較 住宅の省エネルギー基準の解説より作成
「住宅の省エネルギー基準の解説」より作成

横軸は、暖房負荷を示します。つまり、その地域の寒さです。右に行くほど寒い地域です。
縦軸は断熱性能です。下に行くほど省エネルギー性が高くなります。

関東で作られている多くのマンションの断熱性能は、印の辺りでしょう。

このグラフを見ると、新省エネルギー基準では、他の国の省エネルギー基準(灰色の線)に、とても満たない事が分かります。

それでは、次世代省エネルギー基準(赤色の線)はどうでしょうか。
新省エネルギー基準よりもかなり省エネになっています。
北海道や青森、岩手のように寒い地域では、他の国と肩を並べるくらいです。それでも、ドイツの省エネルギー基準にはまだまだ達しません。環境先進国、ドイツの省エネルギー基準はかなり厳しいと言えます。

フランス南部は、日本の多くの地域と同じような暖房負荷(暖房デグリーデー)ですが、省エネルギー基準は日本よりずっと厳しくなっています。(個人的には、次世代省エネルギー基準でもまだ甘く、フランスの基準より厳しい程度が妥当だと思っています。)

日本の次世代省エネ基準は他の国と比べると、寒い地域を除いて、それほど威張れるような省エネルギー基準ではありません。
しかし、その基準を達成出来ない建物が日本にはまだたくさん建てられています。

ここ数年、日本の各分野では省エネルギーが進んでいます。エアコン、冷蔵庫、テレビ、給湯器、自動車、電車のような分野で、10年前より省エネルギーになっていない商品を探す方が難しいでしょう。

しかし住宅は別で、10年前と比べて家全体で63%、暖房費だけを見ると82%もエネルギー消費が増えているという研究報告もあります。他の産業が省エネルギー・CO2削減に力を入れているのに、建築・住宅産業だけが遅れているといった感じです。

日本は京都議定書において、1990年と比べて-6%のCO削減を約束しましたが、現時点で1999年より8%も増加しています。
住まいの省エネルギーが進まなければ、京都議定書は守れそうにありません。

作る方も、買われる方も、これまで以上に省エネルギーに力を入れなければならないようです。

環境性能のCASBEEとは? 建物が、環境性能で格付けされる時代。

2004年11月05日

最近、産官学共同プロジェクトで、建物の環境性能の評価を行う、CASBEE(キャスビー)というシステムが開発されました。

これは、

・エネルギー消費
・資源循環
・地球環境
・室内環境

の4つの観点から、建物を評価する方法です。(次世代省エネ基準とは異なります。)

国土交通省はCASBEEの開発・普及に努めることを宣言しており、名古屋市や大阪市では、一定条件を超える建物において、CASBEEによる環境評価を義務づけています。
全国に広がっていくのも、時間の問題でしょう。

日本では、2002年に出来たCASBEEですが、調べてみるとこのような環境評価ツールは各国に数年前(イギリスでは、14年前)からあるようです。
日本は、建築分野において断熱や省エネ、環境負荷に対する研究が、各国と比較して遅れているのを感じてしまいます。

名称
イギリス BREEAM
カナダ BEPAC
アメリカ合衆国 LEED
フランス LEED
 
名称
スウェーデン LEED
ノルウェー Eko Profile
フィンランド Promis E
オランダ Eco Quantum
 
名称
オーストラリア NABERS
韓国 GBCC
中国 GOBAS
HK-BEAM
台湾 ESGB

住宅の性能評価制度には、温熱環境の項目があります。しかし、CASBEEでの評価は性能評価制度よりもさらに細かい内容になっています。

これまで、建物が環境性能で評価されることはほとんどありませんでした。
このような評価方法が出来たことは、環境の面からも、建物そのものに対しても、とても良いことだと思います。
どんどん利用されるといいですね。

快適性に関わる次世代省エネ基準とは?海外との比較

2005年08月15日

建物の快適性を上げるためには、省エネルギー性を高くする必要があります。
省エネルギーで、環境にやさしい住まいをつくると、必然的に建物の快適性も上がるのです。

日本で最近の省エネルギー基準は、1999年に作られた「次世代省エネルギー基準」です。
次世代と聞くと、凄く進んでいるように感じられるかも知れませんが、国際的にみると比較的ゆるいものです。
また、基準も義務化されているわけではありません。

「次世代省エネルギー基準」の1つ前の基準は、新省エネルギー基準といいます。
2005年になった今でも、新省エネルギー基準の建物はたくさん作られています。

では、日本の省エネ基準を各国の断熱基準と比較するとどうなのか、グラフに示します。

保温性に関する省エネ基準の国別比較

保温性に関する省エネ基準の国別比較

(財)建築環境・省エネルギー機構「住宅の省エネルギー基準の解説」より作成

横軸は、暖房負荷を示します。つまり、その地域の寒さです。右に行くほど寒い地域です。
縦軸は断熱性能です。下に行くほど省エネルギー性が高くなり、必然的に快適性が増します。

関東で作られている多くのマンションの断熱性能は、印の辺りでしょう。
このグラフを見ると、新省エネルギー基準では、他の国の省エネルギー基準(灰色の線)に、とても満たない事が分かります。
それでは、次世代省エネルギー基準(赤色の線)はどうでしょうか。
新省エネルギー基準よりもかなり省エネになっています。

北海道や青森、岩手のように寒い地域では、他の国と肩を並べるくらいです。
それでも、ドイツの省エネルギー基準にはまだまだ達しません。
環境先進国、ドイツの省エネルギー基準はかなり厳しいと言えます。

日本以外の国の省エネルギー基準は、基準の更新が頻度が短い傾向がありますので、上記のグラフよりももっと差がついているかも知れません。

ここ数年、日本の各分野では省エネルギー化が進んでいます。

エアコン、冷蔵庫、テレビ、給湯器、自動車、電車など、建築以外の分野で10年前より省エネルギーになっていない商品を探す方が難しいでしょう。

しかし住宅は別で、10年前と比べて家全体で63%、暖房費だけを見ると82%もエネルギー消費が増えているという研究報告もあります。他の産業が省エネルギー・CO2削減に力を入れているのに、建築・住宅産業だけが遅れているといった感じです。

日本は京都議定書において、1990年と比べて-6%のCO2削減を約束しましたが、現時点で1999年より8%も増加しています。
住まいの省エネルギーが進まなければ、京都議定書は守れそうにありません。

作る方も、買われる方も、これまで以上に省エネルギーに力を入れなければならないようです。

地域で変わる、省エネルギーの基準(次世代省エネ基準)

2005年08月19日

前回、省エネルギー基準についてお伝えしました。

省エネルギーの基準は、建物が建てられる地域によって、分類されています。

地域の区分は、I(1)  から、VI(6)までの6つに分類されています。

都道府県別の大きな分類は以下のようになります。

地域の区分都道府県
I地域 北海道
II地域 青森、岩手、秋田
III地域 宮城、山形、福島、栃木、長野、新潟
IV地域 茨城、群馬、山梨、富山、石川、福井、岐阜、滋賀、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、和歌山、兵庫、奈良、岡山、広島、山口、島根、鳥取、香川、愛媛、徳島、高知、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本
V地域 宮崎、鹿児島
VI地域 沖縄

(財)建築環境・省エネルギー機構「住宅の省エネルギー基準の解説」より

この地域の区分は、都道府県だけでなく、市町村別に細かく分類されています。
これは、1つの県の中でも、北と南では気候が大きく違うところがあるからです。
(ちなみに、この市町村別の分類は、基準が作られた1999年当時のものです。近年の市町村合併によって、掲載されている市町村名が無くなっている場合もあるでしょう。)

家をつくる前に、自分の住みたい地域がこの地域区分で、どの分類になるのかを知る必要があります。
自分の地域は、IV(4)地域だが、寒いのが苦手なので、もっと寒いII(2)地域にも対応できる住まいにしたいというのは、全く問題ありません。(その逆にすると、寒い家になってしまいます)

ちなみに、以前、それぞれの地域区分別に、どれだけの人が住んでいるのかを、国勢調査の資料を元に調べたことがあります。
その結果、日本の過半数の人が住んでいる地域は、IV(4)地域でした。
そして、IV(4)地域 ~ VI(6)地域までを合わせると、日本の人口の約8割が、この地域に住んでいることになります。参考までに。

どの性能までを目指すか?次世代省エネ基準はこれから最低ライン

2005年08月22日

前回、前々回と省エネルギー基準についてお伝えしました。

それでは、これから住まいを建てるとき、あるいは今ある建物を断熱リフォームするときに、どの性能までを目指すかを考えてみます。

まず、これからの建物には、次世代省エネ基準を満たす性能は最低限必要でしょう。
(ただし、この基準を満たしていても、国際的なレベルよりはまだ下です)
大手ハウスメーカーでは、全棟この性能を満たしているところもあります。

建物の省エネルギー性能は、熱損失係数:Q値という数字で表されます。
この数字が小さいほど、省エネ性能に優れ、住まいの快適性が増します。
前々回のグラフで、縦軸に示されているのがこれです。

日本で多くの人が住む地域(4地域)の基準は、Q値でいうと、2.7という数字になります。

次世代省エネルギー基準を満たす性能が最低限必要だと先に書きました。
しかし、将来を見越すとこの基準はちょっと力不足かも知れません。

建物の省エネルギー基準は、1980年、1992年、1999年と変わってきました。

今は、2005年ですから前回の改正より6年目となります。
そろそろ、より厳しい基準が新たに作られることでしょう。実際、そのような動きもあります。

そのとき、現在の基準ギリギリで作っていると、将来の基準は満たせなくなります。

新しい基準で、どのレベルの性能を要求してくるか分かりません。

しかし、日本で多くの人が住む地域(4地域)で Q値:2.0くらいの性能を要求してくるのではないかと私は考えています。
ちなみに、Q値:2.0の性能をだすことは、難しいことではありません。

省エネルギーの基準に関しては、将来的に甘くなることは絶対にありません。
将来のことを見越すと、最初から性能を高くしておくか、あるいは断熱リフォームをしやすい仕様にしておくのが良いのではないでしょうか。

省エネの基準は、断熱だけじゃない。夏の日射遮蔽(夏季日射取得係数)も重要

2005年08月26日

これまでに、省エネルギーの基準についてお伝えしてきました。

省エネと言われると、「断熱」を思い浮かべる方が多いと思いますが、省エネの基準は断熱だけではありません。
気密性や換気量なども規定されています。

また、夏の時期における太陽の日当たり具合も規定されています。
これは、日当たりが良すぎると夏の冷房費用が大きくなるからです。

太陽の日当たり具合を、難しい言葉で「夏季日射取得係数」と言います。
漢字を見ると何だか難しそうです。

この係数は、

 ・窓の種類
 ・カーテンやブラインドの有無
 ・庇(ひさし)の長さや位置

によって決まります。

夏の日射対策として、昔ながらの長い庇というのは、とても有効です。

最近は庇の短い住まいが増えましたが、

 ・太陽の日差しを遮る
 ・建物にできるだけ雨がかからないようにする

という点から、できるだけ庇は長い方が良いでしょう。

ちなみに、日差しを遮るという意味では、庇は 南東 ~ 南西のような、南側の方位で有効です。

東や西面では、太陽の角度が低くなるので、日差しを遮る目的で庇を長くしてもあまり意味がありません。
このような場合には、カーテンやブラインドが有効です。

しかし、ガラス面で熱を遮る、Low-Eガラス(ロウ・イーガラス)は、建物の外側で日差しを大幅にカットできるので、カーテンやブラインドよりもずっと有効です。カーテンなどの対策は、日差しを遮ることができるものの、一度建物の中に熱を入れてしまうからです。

Low-Eガラス(ロウ・イーガラス)というのは、聞いたことがない方も多いと思います。
また今後ここで出てくると思いますので、今日は言葉だけ覚えておきましょう。

イギリスの省エネ基準 その1

2006年12月22日

Flag_gbni 月間「建築技術」という建築の専門誌において、海外の省エネ基準が紹介されています。
面白い記事ですが、専門誌であるため、一般の方はまずご覧にはならないでしょう。

そこで、その記事の一部を抜粋し、箇条書きなどで、できるだけやさしく説明したいと思います。

今回は、2005年 8月号に掲載されている、イギリスの省エネ基準のご紹介です。



イギリスの寒さ
「寒さ」を示す基準として、暖房デグリーデー暖房度日)という数値があります。

これは、暖房用のエネルギーを計算するときに必要なもので、数字が大きければ大きいほど、暖房に必要なエネルギーが多くなります。

国や建築地が違っても、暖房デグリーデーが同じなら、寒さと必要な暖房エネルギーはほぼ同じになります。

暖房デグリーデーは、ロンドンでは、2901。
仙台よりやや大きく、青森より小さい程度です。
ちなみに、東京は 850程度です。

記事によると、イギリスの寒さは日本の福島 ~ 函館に相当します。
つまり、日本の省エネ地域区分では、2~3地域に該当します。
よって、イギリスの省エネ基準と日本の省エネ基準の比較は、2~3地域との比較です。

イギリスの省エネ基準 その2

2006年12月29日

Flag_gbniイギリスでは、建築基準法で省エネを規制(強制法)

日本の最新の次世代省エネ基準は、強制ではなく、任意です。
しかし、イギリスでは強制法ですから、新築の建物は全て、最新の省エネ基準を満たさなくてはいけません。
とても大きな違いです。

ちなみに、イギリスでは 2001年 1月1日より、全ての新築住宅について、住宅のエネルギー効率を示す 「エネルギー・ラベリング」が導入されているそうです。

イギリス環境省 全ての新築住宅に「エネルギー・ラベリング」を導入
 http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=220

ランクは、1~100までと、非常に詳細。

日本の住宅性能表示制度では、省エネの区分は、等級1、2、3の3段階しかありません。
しかも、省エネ基準ごとの区別であり、省エネ基準内のどのレベルなのかは分かりませんから、これも大きな違いです。
100段階もあったら区別がしやすくていいですね。

イギリスの省エネ基準 その3

2007年01月05日

flag_gbniイギリスの現行基準は、2000年のもの。

イギリスの現行基準は、2000年に制定され、2002年 4月 1日に制定されたものです。
現在、2005年案が提示されているところです。
日本では、1999年以降、基準が変わっていませんから、イギリスは見直しの間隔が短いといえます。

サッシは、Low-Eのペアガラス。窓面積は床面積の25%以内

サッシの熱貫流率という数値が2.2であることから、サッシの性能は、Low-Eペアガラスが必要となるようです。
シングルガラスや、普通のペアガラスではこの性能は出ません。

また、窓の面積の最大広さが決まっており、床面積の25%以内です。
8畳の大きさの部屋だと、2畳の大きさの開口部ということですから、バルコニーに出るための引き違い掃き出しサッシを1つ取り付けるのがギリギリです。
(そもそも、あちらでは引き違いのサッシは使いませんが・・・)

日本では、開口部(サッシ)の大きさは、最小の大きさが決まっており、最大の大きさは決まっていません。
しかし、海外を見てみると、イギリスに限らず、省エネの観点から最大の面積が決められていることの方が多いように思います。
全く正反対の発想ですね。
日本の常識は、海外の常識ではないということです。

イギリスの省エネ基準 その4

2007年01月08日

flag_gbniボイラーの効率も、基準に含まれている

日本の省エネ基準は、建物だけの基準で、暖房装置に関する基準はありません。

しかし、イギリスの省エネ基準では、暖房装置(ボイラー)の効率も考慮するということです。
確かに、建物の省エネ性能が高くても、暖房装置の効率が低くては、全体としては省エネになりませんね。

イギリスの省エネ基準 その5

2007年01月12日

flag_gbni天井はグラスウールで 約 32cmの厚みが必要

 2002年に改正された基準を満たすためには、天井の断熱は、グラスウールを使用したときで、317mmとかなりの厚みが必要です。
日本の基準と比べるとかなり厚いですね。

気密性能試験のときの圧力差は、日本の基準の5倍
住宅の気密性能を測る試験において、建物内外の圧力差が50パスカルとされています。

これは、風速に換算すると、秒速25メートルに相当し、台風のような風が吹いた圧力差になります。
ちなみに、50パスカルの圧力差はカナダや北欧の試験方法でも一般的な値です。

日本では、気密性能試験の際の圧力差は、10パスカルで良いとされています。
10パスカルの圧力は風速で秒速5メートル程で、風速としては日常的なものです。
圧力差が大きいほど、小さなすき間の影響を受けやすくなりますから50パスカルの方が厳しい試験であるといえます。

実は、日本の場合、一般的な家はすき間が多すぎて、50パスカルもの圧力差を生じさせることが難しかったために、このような甘い基準になっています。

50パスカルでの気密測定という条件だけを見ても、イギリスの住宅の気密性能は高いということがわかります。

イギリスの省エネ基準 その6

2007年01月15日

flag_gbniイギリスの省エネ基準は日本の1.5倍。近々2倍になる。

日本で最も新しい次世代省エネ基準と、イギリスの基準を、暖房デグリーデーの同じ地域で比較した場合、イギリスの屋根・天井の基準は、日本の基準の1.5倍の厳しさ。

2005年案で比較すると、2.0倍の違いと、かなり厳しい省エネ基準です。

日本の次世代省エネルギー基準が出来たころは、イギリスの省エネ基準は日本より甘かったのですが、2000年以降は大きく差がついてしまったようです。

 保温性に関する省エネ基準の国別比較(1999年時点の比較)
 http://t-ohshita.com/2005/08/15/post_2.html

私自身、イギリスにおける最新の省エネ基準の厳しさを知った時はすこし衝撃を受けました。
上記のリンクにあるように、1999年当時は、イギリスの省エネ基準は甘く、日本の省エネ基準よりも緩かったからです。
しかし今では、完全に抜かれています。

建築以外の業界では、省エネ性能が世界のトップクラスを走る日本でも、建物の省エネ性能では大きく遅れをとっているのは否めません。

※これらの記事は、月間「建築技術」2005年 8月号を参考にしています。

ドイツの省エネ基準 その1

2007年01月19日

Flag_germany 今回からは、月刊 建築技術 2005年10月号に掲載されている、ドイツの省エネ基準のご紹介です。

●ベルリンの寒さ
ドイツの首都、ベルリンの冬と秋田を比べると、秋田の方が寒くなっています。
しかし夏の時期は、秋田よりもベルリンの方が涼しくなります。

日本は北の方に行くほど寒くなりますが、ドイツは地形の関係から北のほうが暖かく、南の方が寒くなります。

「寒さ」を示す暖房デグリーデー暖房度日)という数値で示すと、ドイツは秋田 ~ 札幌の地域に相当します。

つまり、日本の省エネ地域区分では、1~2地域に該当します。
よって、ドイツとの省エネ比較は、この地域との比較です。

ドイツの省エネ基準 その2

2007年01月22日

flag_germanyドイツでも省エネ基準は強制法

日本の最新の次世代省エネ基準は、強制ではなく任意です。

しかしドイツは、イギリスと同様に強制ですので、新築で建てるときには、最新の基準を必ず満たす必要があります。

省エネ基準の改正は、1984年、1995年、2002年に行われており、最新のものは、2002年。

省エネ基準はイギリスと同様に、建物の断熱だけでなく、暖房装置・給湯装置の効率も考慮されています。
日本の省エネ基準と比較すると、検討する項目が詳細です。

ドイツの省エネ基準 その3

2007年01月26日

flag_germany2002年の最新の基準は、1995年の基準からさらに3割の省エネ化

現在、私のブログに掲載している「保温性に関する省エネ基準の国別比較」のデータは、1999年に作成されたものですので、ドイツの基準はそれ以前の1995年の基準ということになります。

 保温性に関する省エネ基準の国別比較(1999年時点の比較)
 http://t-ohshita.com/2005/08/15/post_2.html

ドイツの1995年と比べると、日本の1999年の最新の省エネ基準は緩いことが分かります。

ドイツの2002年の基準は、1995年と比べてさらに30%の省エネになっていますから、現在はもっと差がついていることになります。

ドイツの省エネ基準 その4

2007年01月29日

flag_germany建物の外皮(≒外壁)面積と体積の比によって、断熱の基準が変わる

ドイツでは、建物の外皮(≒外壁)の面積と体積の比によって、断熱の基準が変わっています。
具体的には、外皮面積 ÷ 建物体積の比率で基準が変わります。

これは、建物の体積が同一の場合でも、外気に面する面積が広いほど、建物のエネルギー消費は増えるためです。

同じ体積でも、外気に面する面積が違う例
Blog2007012901
左と右のイラストは、同じ体積です。
しかし、右のイラストは、左のイラストよりも表面積が約1.2倍になっているので、同じ断熱の仕様で作ったとしても、右のイラストの方が多くのエネルギーを必要とします。

日本の次世代省エネルギー基準を満たすためには、2つの方法があります。

 1. 基準で定められた、壁・床・天井の断熱の仕様で建てる
 2. 家全体の熱の逃げる程度を計算して、基準を満たすようにする

1. は、「北海道では、壁は○○cm以上、床は○○cm以上」などと基準が定めてありますので、それを満たせば計算しなくてOKという方法。

2. は、壁の断熱材の厚みは薄いけど、天井と床とサッシでそれを補っているので、家全体として省エネ性を計算してOKという方法です。

建物の外観が複雑な場合、1.の方法で基準をクリアしていても、2.の方法ではクリアできない可能性があります。

ドイツの基準は、そのようなことを無くすために、外皮面積 ÷ 建物体積の比率によって基準を変えているのではないでしょうか。

ドイツの省エネ基準 その5

2007年02月02日

flag_germany住宅とビルの省エネ基準が共通
日本では、住宅とビルなどの一般建物の省エネ基準は別のものですが、ドイツではどちらも同じになっています。
ちなみに、日本の省エネ基準では、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造によっても基準が異なります。
(構造が異なっても、省エネの基準は変わらないのが普通の考え方だと思うのですが。)

サッシは、最低でもLow-Eペアガラス+アルゴンガス入り
私が一番驚いたのがこの基準。
ペアガラスの中には、一般的には空気が入っていますが、空気の代わりにアルゴンガスのような断熱性能の高いサッシを使うと、断熱性能が高まります。
ドイツでは、これが最低の基準になっています。

この場合、もちろんサッシの枠はアルミではなく樹脂か木になるでしょう。

日本では、アルゴンガス入りというのは、オプション扱いです。
そのような商品があることを知らない施工業者さんも少なくないでしょう。

日本では、ペアガラスさえも100%ではない状況を考えるとかなりの差です。

そういえば、私がドイツに行ったとき、建物のサッシだけでなく、スーパーの冷蔵庫の扉や、観光バスのガラス、店のショーウインドウや列車のガラスもペアガラスになっていました。

ドイツの省エネ基準 その6

2007年02月05日

flag_germany改修にも省エネルギー基準が適用

ドイツでは既存建物を改修する場合にも、省エネ基準が定められています。
これは、体積が100立法メートル以下(約42平方メートル・13坪)の建物にも適用されるということですから、ほとんど全ての建物が対象になるでしょう。

また、1978年以前に設置されたボイラーは、2006年末までに取り替えるように強制もしています。「強制」ですから、とても厳しいですね。

暖房や給湯の配管にも断熱基準が
日本では定められていませんが、暖房や給湯の配管から熱が逃げることを防ぐため、断熱の基準が定められています。
あちらでは、セントラルヒーティングが一般的ですので、配管から逃げる熱も対処しなくては、全体としての省エネにならないということでしょう。

ドイツの基準は、日本の 1.1 ~ 1.4倍厳しい
建物の条件にもよりますが、日本の戸建て住宅の標準的な形状で算出すると、ドイツの基準は日本の 1.1 ~ 1.4倍厳しいことになります。
イギリスの基準も厳しかったですが、ドイツの省エネ基準もとても厳しいと言えます。

フランスの省エネ基準 その1

2007年02月09日

Flag_french 今回からは、月刊 建築技術 2005年12月号に掲載された、フランスの省エネ基準のご紹介です。


フランスの寒さ
「寒さ」を示す基準として、暖房デグリーデー(暖房度日)という数値があります。
これは、暖房用のエネルギーを計算するときに必要なもので、数字が大きければ大きいほど、暖房に必要なエネルギーが多くなります。

国や建築地が違っても、暖房デグリーデーが同じなら、寒さと必要な暖房エネルギーはほぼ同じになります。
暖房デグリーデーは、暖房のエネルギーにほぼ比例する便利な指標です。

暖房デグリーデーは、パリでは、2617。
最もあたたかいマルセイユでは、1723で、京都の1755と同程度。

ちなみに、日本でパリと同程度の暖房デグリーデーの地域は、仙台 2514、秋田 2824の間となります。

フランスの寒さの地域区分を日本で表すと、京都 ~ 青森付近となるようです。
日本の省エネ地域区分でいうと、2~4地域ですね。

パリと宇都宮の気候を比べると、パリよりも宇都宮の方が、冬に寒いようです。
逆に夏はパリの方が気温が低く、過ごしやすいといえます。

フランスの省エネ基準では、冬を3つの地域、夏を4つの地域に分けて、それぞれの基準を決めています。

フランスの省エネ基準 その2

2007年02月12日

Flag_french_1暖房の30%が電気暖房
フランスでは、電気暖房の割合が高く、30%程度もあるそうです。
電気暖房とは、ヒーターのようなものを指し、エアコンのヒートポンプ暖房とは違います。
そのために、効率はヒートポンプの暖房と比べてかなり悪そうです。

逆にいうと、ヒートポンプ暖房を採用する割合を増やせば、かなりの省エネが期待できますが、室外機の配置を含めた、外観や街並みとの調和が問題となるかも知れません。
(日本よりも外観や街並みが厳しいので)

住宅とビルの省エネ基準が共通
日本では、住宅とビルなどの一般建物の省エネ基準は別のものですがフランスではどちらも同じになっています。
ドイツの省エネ基準も、住宅とビルが同じでしたね。

フランスの省エネ基準 その3

2007年02月16日

Flag_french換気、給湯、暖房設備、照明の効率に基準がある
日本の省エネ基準では、建物そのものの省エネ基準はありますが、建物の中にある、設備の効率までは基準がありません。

これに対して、フランスでは、換気や給湯などにも効率に基準があります。
ドイツでも、ボイラーの効率や、給湯配管の断熱基準があります。
イギリスでも、ボイラーの効率の基準がありました。

ドイツ、イギリス、フランスでは、住宅における設備も含めたエネルギー消費をとらえているという意味から、日本より一歩進んでいるといえます。

しかし、住宅の省エネというのは、最終的にはエネルギーそのものの消費を抑える事が目的ですので、設備の省エネが厳密でない日本の次世代省エネルギー省エネ基準は片手落ちであるとも言えます。

フランスの省エネ基準 その4

2007年02月19日

Flag_french3フランスの床の断熱基準は、日本の1.5倍、壁は1.3倍
フランスの2000年基準を、日本の次世代省エネ基準(1999年)と比べると、フランスの床の断熱基準は、日本の1.5倍の性能を必要としています。壁は、1.3倍です。

断熱性能が1.5倍ということは、同じ種類の断熱材を使った場合には、厚みが1.5倍必要であるということです。

日本の基準より、高い性能を求めていることがわかります。

フランスの省エネ基準 その5

2007年02月23日

Flag_french窓は、Low-Eペアガラスが必要
フランスの基準では、窓にLow-Eペアガラス以上の性能を求めています。
窓枠も、アルミではなく樹脂か木製になります。
この仕様に関しては、2005/09/28にご紹介したイギリスの省エネ基準も同じですね。

そういえば、2005/10/19号でご紹介したドイツの省エネ基準はさらに厳しく、ペアガラスの中に、断熱性能に優れたアルゴンガス入りのLow-Eペアガラスを最低基準としていましたね。

日本の次世代省エネでは、アルミサッシ+普通のペアガラスでも基準を満たしますが、その断熱性能ではフランスやドイツの基準は満たせません。

日本の新築建物に多い、

 「居室のみ」ペアガラス(= その他はシングルガラス)

という仕様では省エネ性能が低く、他の先進国に大きく遅れをとっていることがわかるでしょう。
日本の常識は世界の常識ではありません。

ちなみに、

  ・アルミサッシ + シングルガラス と、
  ・樹脂サッシLow-Eペアガラス

では、熱の逃げる量が3倍程度違います。

他の先進国の基準を見ていれば、これから日本でもオールペアガラス化、その後は樹脂サッシ化の流れとなっていくと思います。

※用語解説
Low-Eとは、ガラスに特殊な金属膜をコーティングしたもので、断熱性・遮熱性に優れます。
非常に薄い膜なので、見た目にはほとんど分かりません。

フランスの省エネ基準 その6

2007年02月26日

Flag_french日射侵入率は日本よりも厳しい
夏の冷房費用を抑えるためには、断熱性能よりも、日射の侵入を抑える「日射侵入率」が重要です。

日本とフランスでは、この基準の値はほぼ同じになっているものの、フランスの方が日本よりも涼しいので、日本よりも厳しい基準になっているといえます。

アメリカの省エネ基準 その1

2007年03月02日

今回からは、月刊 建築技術 2006年 2月号に掲載された、アメリカの省エネ基準のご紹介です。

Flag_usa ●暖かい地域から、寒い地域まで、気候の範囲の広いアメリカ
国土の広いアメリカでは、日本より暖かい地域から、寒い地域まで非常に広範囲です。
アラスカでは、平均気温がマイナス20℃以下ですので、大変寒いといえます。
逆にホノルルは平均気温が18℃を下回る月がなく、温暖です。

ワシントンと宇都宮を比べると、冬は宇都宮の方が若干寒く、逆に夏はワシントンの方が暑くなります。

アメリカの省エネ基準 その2

2007年03月05日

flag_usa州で変わるアメリカの省エネ基準。多くは強制法。

アメリカでは、州によって省エネ基準が違います。

最も使われているのは、米国エネルギー省が主導となった国際省エネルギー基準(通称IECC)。
最新版は IECC 2003で、17の州がこの基準を採用しています。
ちなみに、これらの州は全て強制法なので、「必ず守らなくてはならない」省エネ基準となります。

省エネ基準を州で強制的に適用しているのは、約80%。
その他の州でも、建築規制が行なわれているので、何も規制していない州はありません。

日本で、最も新しい(といっても、既に7年前の基準ですが)省エネ基準である、次世代省エネ基準を満たすかどうかは、建築主の判断とされており、強制ではありません。
また、建築確認のときにも、断熱性や快適性については見ていません。

そのため、断熱材が一切入っていないとしても、法的には何の問題も無いのです。
ちなみに、先進国において建物の省エネ(断熱)の義務が無いのは日本だけです。日本はこの分野ではとても遅れています。

以下、アメリカの省エネ基準は、採用している州の数が最も多く、省エネ基準としても新しい IECC2003を元にしてお伝えします。

アメリカの省エネ基準 その3

2007年03月09日

flag_usa給湯、暖冷房、照明の効率に基準がある
日本の省エネ基準では、建物そのものの省エネ基準はありますが、建物の中にある、設備の効率までは基準がありません。

これに対して、アメリカでは、給湯や暖冷房などにも効率に基準があります。
フランスとドイツでも、ボイラーの効率や、給湯配管の断熱基準があります。
イギリスでも、ボイラーの効率の基準がありました。

ドイツ、イギリス、フランス、アメリカでは、住宅における設備も含めたエネルギー消費をとらえているという意味から、日本よりも一歩進んでいるといえますね。

逆にいうと、それらの効率などに基準がない日本の次世代省エネ基準は、他の先進国よりも遅れているともいえます。