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2008年度までに次世代省エネ住宅の比率を5割に高める

2004年07月11日

住宅産業向けの新聞を発行している、新建新聞社のホームページに、
国土交通省と経済産業省が2008年度までに次世代省エネ住宅の比率を5割に高める、という目標を両省で推し進める
という記事が載っていました。

次世代省エネルギー基準というのは、住宅の省エネルギーを促進させるために、住宅の断熱・気密・日射遮蔽の性能などを定めたもので、1999年3月30日に告示されました。

次世代省エネルギー基準では、冷暖房の負荷によって、日本を6つの地域に分類しています。
北海道のような寒い地域が(いち)地域、沖縄のように温かい地域は、VI(ろく)地域に分類されています。

東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、福岡など、日本の人口の 約8割(約1億人)が住む地域は、IV(よん)地域です。

新建新聞社の記事中には、
「国交省では、住宅性能表示制度を利用した住宅のうち21.5%が次世代省エネレベルの等級4を取得しており(2002年度)、その率が上昇傾向にある」
とありますが、そもそも、住宅性能表示制度を取得するのは比較的性能の良い住宅です。

詳しい統計を見た事はありませんが、日本全体では、次世代省エネ基準をクリアしているのは、新築の3割以下ではないかと思います。次世代省エネルギー基準の住宅を作る経験・知識を持った人は業界では比較的少数派と言えます。

次世代省エネルギー基準において、I地域や、II地域など寒い地域は諸外国の基準と比べるとほぼ同等あるいはそれ以上であり、少し厳し目の基準になっています。


しかし、IV地域以南の基準は、次世代省エネルギー基準を満たす住宅を常日ごろ建てている業者にとっては結構甘めです。つまり、慣れている業者にとっては、「余裕でクリアできる基準」という事です。

次世代省エネルギー基準になると、住まいの何が変わるか?
熱が逃げる割合が一番大きいのは窓などの開口部なので、サッシは複層ガラス(ペアガラス)が、今より一般的になるでしょう。アルミサッシよりずっと断熱性の高い、樹脂サッシの割合も増えます。また、断熱材の厚みも厚くなります

現在、関東近辺のマンションの断熱は、現場発泡の物が多く、壁面部分の断熱材の厚みは 25mmが一般的ですが、次世代省エネルギー基準を満たすためには、35mm以上必要です。

鉄骨造の場合、次世代省エネルギー基準を満たすためには、基本的に外断熱工法を採用することになります。この時の断熱材の厚みは、最も性能の高い種類の物を使っても、壁面で 50mm以上、屋根面で 115mm以上は必要です。(IV地域の場合)

戸建ての一般的な木造住宅の場合、断熱材にグラスウールの16kという種類を使うと、次世代省エネルギー基準を満たすためには、壁面には 100mmの厚みが必要です。(IV地域の場合) 北海道の場合には、150mm必要です。

「国が急に住宅の省エネルギーに本腰を入れはじめたのはなぜか?」と言うと、次世代省エネルギー基準を満たせない住宅が一般的であると、京都議定書で定めた温室効果ガスの排出量目標を達成出来ないからです。

新建新聞社の記事の中では、"状況次第では「次世代基準の義務化も選択肢としてはある」(国交省)"とあります。
次世代省エネ基準をクリアする性能の住宅であれば、結露に悩む事はほぼ無くなるでしょうし、冷暖房費用も大幅に削減出来ます。

私は、欧米のように省エネルギーの基準を法律で義務化した方が良いと思います。現在、高いからと敬遠される場合がある複層ガラスも、省エネ基準の義務化が進めば出荷量が増え、価格も安くなるでしょう。
今から10年後には、日本では複層ガラスが常識になっているかも知れません。

オーストリア、フィンランド、ドイツで見たペアガラスや複層ガラス。バスに電車に冷蔵庫に。

2004年07月12日

昨日、長い文章の中で、複層ガラスに触れました。複層ガラスとは、ガラスを複数用いたもの(2重ガラス、3重ガラスなど)の総称です

2重ガラスの事をよくペアガラスと言いますが、これは、商標登録(第818782号)されています。ちなみに、トリプルガラスは商標登録されていません。(出願しても通らないと思いますが)

トリプルガラス・オーストリア・ザルツブルグ今日の写真は、複層ガラスのものをいくつか

右の写真は、オーストリア、ザルツブルグで泊まった所の窓に使われていたトリプルガラス(3重ガラス)。
オーストリアでは樹脂サッシのペアガラスが多くありました。これは3重なので、1枚多くなっています。

フィンランドの4重木製窓私が学生の時、フィンランドでホームステイした一般の家は、4重の木製窓でした。ちなみに、訪問当時で築 17、8年の物件です。断熱材の厚みは壁が 20cm。天井は 35cmでした。
断熱にとって窓は、"永遠のテーマ"と言われるくらい、熱の逃げやすい場所ですから、寒い地域では特に重点的に断熱強化されます。

観光バスのペアガラス窓右の写真は、ドイツのミュンヘンから、ノイシュバインシュタイン城に向かう、観光バスの窓。ペアガラスになっています。
当日は非常に寒かったのですが、日本のスキーバスにあるような、窓際に座った時のひんやり感はありませんでした。

ちなみに、4月に周ったヨーロッパの国々(オーストリア、ドイツ、北欧)では、バスだけでなく、電車も大抵2重ガラス、スーパーのジュースが入っている冷蔵庫もペアガラスでした。

最近気が付いたのですが、東京メトロの車両で、乗り降りする扉のガラスに、ペアガラスが採用されているものがあるようです。
さくら事務所が入っているビルの1階には、ドラッグストアがあるのですが、そこの冷蔵庫にも、ペアガラスが採用されています。冷蔵庫は外部と内部の温度差が大きいので、複層ガラスにして断熱性能を上げると、電気代も安くなりそうです。

日本でも、建築以外の用途で複層ガラスが使われている所があるかも知れません。これから注意して見てみてはどうでしょうか

ペアガラスの空気層は12mmがベター ~アルミサッシから樹脂サッシへ~

2005年01月08日

戸建てでは、最近かなり増えたペアガラス。大手ハウスメーカーなら、ほぼ100%ペアガラスです。マンションでも増えつつあります。

ペアガラスは、2枚のガラスの空間に一般的に空気が入っています(空気層といいます。高級な物にはアルゴンガスが入っています)
実は、一般的に使われるペアガラスでには空気層の厚みが2種類あります。それは、6mmと12mmです。

同じペアガラスでも、空気層の厚みが12mmだと、6mmのものより断熱性能が高くなります。(高断熱を売り物にする樹脂サッシでは、12mmが標準です。)

シングルガラス(アルミ枠)のサッシからの熱の逃げやすさを100とすると、それぞれのサッシの性能は以下のようになります。
赤いバーが短いほど、高性能です。

断面ガラス空気層特殊膜熱の逃げやすさ
単板 アルミ 1枚 bar 100%
ペア6mmアルミ アルミ 2枚 6mm bar 71%
ペア12mmアルミ アルミ 2枚 12mm bar 62%
ペア複合 アルミ+樹脂 2枚 12mm bar 54%
ペア12mm樹脂 樹脂 2枚 12mm bar 44%
ペア12mm樹脂Low-E 樹脂 2枚 12mm Low-E bar 35%
次世代省エネルギー基準の解説より作成

アルミ枠のペアガラス 空気層6mmでは、シングルガラスに比べて3割程度の省エネにしかなりません。
しかし、樹脂サッシだと55%、Low-Eガラスという特殊なコーティングを施したものだと65%と大幅な省エネになります。

日本ではサッシと言えばアルミサッシですが、海外ではアルミサッシの需要は樹脂サッシよりも少ないのが一般的です。

各国のサッシ需要
プラスチックサッシ工業会資料より

今後は日本でも、シングルガラスからペアガラスへ、アルミサッシから樹脂サッシへと徐々に変わっていくでしょう。

熱交換式の24時間換気装置と、樹脂サッシLow-E ペアガラス、どっちがお得?

2005年01月11日

窓がシングルガラス・アルミサッシのマンションに、熱交換式の換気装置がついていて、「省エネ」とうたっている時があります。

熱交換式の換気装置とは、24時間換気の排気から熱(又は熱と水蒸気(潜熱))を奪い、給気される空気を温める装置です。

熱交換は、建物全体の断熱性能が高い物件では有効ですが、断熱性能が低い建物では費用対効果が薄いとされています。

ここで、一般的な断熱厚みをもつ内断熱のマンションにおいて、
熱交換装置を取り付けた場合
換気装置は変えず、サッシだけをLow-E樹脂ペアガラスに変更した場合
について概算してみます。
(計算条件は、2004年9月28日の日記に準じます。熱交換機は全熱式ではなく、安全な顕熱式、効率は70%と仮定。)


熱交換機の取り付けと、樹脂サッシLow-Eペアガラスの変更、どっちがトクか

上のグラフで、バーが短いほど、省エネです。

今回の仮定条件では、熱交換装置を入れるよりも、サッシを全て樹脂サッシのLow-Eペアガラスに変えた方が省エネになることがわかります。

ちなみに、
 ・窓の数が多い場合
 ・ハイサッシが使われている場合
には、この差はもっと顕著になります。

熱交換機を使う場合のデメリットは以下のようなものがあります。

フィルタ交換費用がかかる
定期的な清掃を行わないと、効率が低下する
 ちなみに、効率の良い物ほど目詰まりしやすい
運転費用がかかる
汚染空気の5%程度は新鮮空気と混じってしまう
 (その為、換気量を多めにする必要がある。[参考サイト])

熱交換機は、15年前後で寿命が来て交換費用が必要ですが、樹脂サッシのLow-Eペアガラスはもっと長寿命です。運転費用はゼロですし、メンテナンス費用もほとんどかかりません。
また、樹脂サッシ+Low-Eペアガラスなら窓面に結露はまず生じないでしょうが、サッシの性能が低いまま熱交換機を導入しても窓の結露は防げません。

順番を重要度から考えると、熱交換装置を入れる前に、壁や窓の高性能化のほうがずっと先だと思いますが、いかがでしょうか?

これから増えていく、樹脂サッシ。日本の常識は世界の非常識。

2005年10月23日

北海道のサッシは、今はほとんどが樹脂サッシになっているようです。
先日、北海道に行った時に、サッシの値段について聞いてみました。
すると、

「定価ベースだとアルミサッシより樹脂サッシの方が高いんですけど、最近アルミサッシはほとんど出ないので、仕入れの掛け率が悪くなっています。掛け率は樹脂の方が低いので、結果としてほとんど変わらないですね」

とのこと。

 

ガラス部分をペアガラスにしても、枠の部分がアルミだと、寒い時期には枠で結露する可能性があります。
アルミは、樹脂と比べると1000倍くらい熱を通しやすいので、材料だけで見ても結露には不利。

日本ではまだまだアルミサッシが多いのですが、世界の主流は樹脂サッシ

日本で常識のアルミサッシは、海外では非常識なサッシです。

住まいの省エネルギー化、高性能化に従って、樹脂サッシは必ず増えていくと思っています。

温暖化防止省エネ住宅セミナー + パッシブハウス東京第1号住宅

2007年08月01日

林さんと、ロックウール工業会主催の、『温暖化防止省エネ住宅セミナー』及び、『パッシブハウス東京第1号住宅の現場見学会』に行って来ました。

最初の1時間半は、東京駅近くで講師によるセミナー。
現場見学会の様子 その後はバスで移動して、パッシブハウス東京第1号の見学会。 東京という建築地では、無暖房住宅に相当します。インターネットでその工事の経過を見ていたものの、やはり現場は勉強になります。

その施工状態だけでなく、細かな納まりも勉強になりました。噂には聞いていた施工業者さんですが、やはり良かったです。

工法の基本はツーバイフォー。
ただし、断熱性能を上げるために、外周部はツーバイシックスです。

外側の付加断熱(ロックウールボード) 外壁の断熱材は、ツーバイシックスの140mm+外壁 外張り断熱 60mmのトータル 200mm厚断熱。
屋根部分は当初、ロックウールの200mmの予定でしたが、高さ制限により施工が困難なため、フェノールフォーム66mm+ウレタン120mmに。
これは、分譲物件で採用されているグラスウール10kに換算すると、280mm以上の厚みに相当します。

下部の断熱は、床断熱ではなく、基礎断熱。外側と内側併用で、厚みは150mm。

サッシは、真空ガラスを使った樹脂サッシ。
サッシ内部には断熱材も入っています。(普通は中空)
使われているサッシの性能は、1.24W/(m2・K)という性能で、これは、
Low-E樹脂ペアガラスの約2倍の性能。

最終的なQ値は、0.904W/m2・K
これは、東京の次世代省エネ基準 2.7W/m2・Kの、約3倍の省エネ性であることを示しています。
凄い省エネ性です。大手ハウスメーカーの、かなり良い仕様の2倍以上の省エネ性です。
30年後の省エネ基準でも、十分クリアするでしょう。

気密性能を示すC値は未計測の状態ですが、この施工業者さんの過去の実測値は、去年のデータで 0.16cm2/m2ということでしたので、これに近い値になり、十分な性能です。
これも、大手ハウスメーカーの仕様の、10倍以上の高性能。
ここまでの性能を得られれば、大手ハウスメーカーでも追従出来ません。

現場の施工は丁寧で、参考になる納まり方がいくつもありました。

一般の方はこのような物件を見ても、「単に断熱材を厚くしただけ」と思われるかも知れませんが、そうではありません。
そこにたどり着く為には、しっかりとしたバックデータを持ち、難しい納まりをいくつもクリアする必要があります。

今日の前半のセミナーで、東京大学の坂本先生のスライドに、納得できるものがありました。それは、以下のようなものです。


住宅・建築の省エネ対策の基本

1. 建物の断熱化・日射遮蔽(暖冷房負荷の削減)
2. 設備機器の効率向上と、そのためのメンテナンス
3. 自然エネルギーの活用
 アクティブ:太陽熱利用と太陽光発電の推奨
 パッシブ:自然通風と自然採光の活用・推奨

このうち、重要なものは、だということです。


私もこれが、住宅・建築の省エネの王道だと思います。

建築のエンジニア が省エネに大きく影響できるのは、と、のパッシブの項目。
その他は一見、建築であっても、頑張っているのは他業種のエンジニアです。

例えば、太陽光発電。
大手ハウスメーカーでも積極的に売り出しており、省エネになるとしていますが、太陽光発電の効率を上げるのを頑張っているのは、電機メーカーのエンジニア。
建築側としては、簡単に言えば、それを設置するだけ。
大した努力はありません。エアコンの効率向上も同じ。
だから、これらの設置は建築関係者が威張れるものではないと思っています。

それに対し、1. 建物の断熱化・日射遮蔽は、建築のエンジニアの頑張りそのもの。太陽光発電は、新築の住宅に取り付けても、築30年の住宅に取り付けても、築1000年以上の建物に取り付けたとしても、効率は同じ。しかし、建物そのものの省エネ性は、建物の作り方で全く違ってきます。
まさにノウハウの部分で、今回のように次世代省エネの3倍の性能を得られたのは、電機メーカーのエンジニアではなく、建築のエンジニアの頑張りです。

建物の省エネの王道は、上記のの順番だと思いますが、その1番目の理解が浅い、あるいは分からずに、中途半端な建物性能しか出せない建築関係者ほど、壁の中の通気とか、なんとかソーラーとか、地熱やなどに走っている印象があります

太陽光発電や、エアコンの寿命は建物の寿命よりも短いもの。
それで省エネを図るより、未来永劫続く、建物そのものの省エネ性を上げる方が、ずっと価値があると思います。

全ての住宅が今回の性能まで到達することはまず考えられませんが、このような物件が存在するということは、覚えておいて損は無いと思います。


パッシブハウス東京第1号の施工を示したブログはこちら

パッシブハウスS邸の挑戦
 http://x-unoblog.seesaa.net/

エコガラス(Low-E複層ガラス)

2007年12月07日

エコガラス 品質チェックの最終段階となる、内覧会立ち会いへ。

指摘はサッシ周りに集中。ビスが抜けていたり、調整が十分ではなかったり。
写真は、今回の物件に使われているエコガラスのシール。
エコガラスLow-E複層ガラス(ペアガラス)のことです。

これまで、ペアガラスは知っていても、「Low-E」という言葉を知っている人は少数でした。
しかし、「エコガラス」という言葉でテレビのCMなどが多数流された結果、広く広まっている印象です。

最近の着工前の打ち合わせでも、エコガラスという言葉を知っている人ばかりです。

そのエコガラスですが、大手ハウスメーカーでは、標準化が進んでいます。

分譲住宅や、建売メインの業者が行なっている建築条件付の物件ではエコガラスどころか、オールペアガラスでない(居室以外はシングルガラス)ことが多いですが、エコガラスが一般化するのは時間の問題でしょう。
これほど簡単な未来予想もありません。

リンク-エコガラス:板硝子協会 CO2を削減する省エネガラスのエコガラス
http://www.ecoglass.jp/

南面のガラスは、Low-Eガラスでない方が省エネ?

2008年08月28日

昨日の物件に引き続き、QPEXで新たに2棟のQ値を計算。

物件のガラスは、南面をアルゴンガス入りのペアガラスにしてあります。
その他はLow-Eペアガラス。

少し知識のある人なら、「Low-Eを入れたほうがいいんじゃないの?」と思うかも知れません。


しかし、太陽の日射を期待できる地域であれば、南面にはLow-Eガラスを入れない方が、省エネになることがあります。

例えば今回、南面のガラス面積は、約27平方メートルで南面は傾斜の空き地。
物件の詳細は省きますが、南面をアルゴンガス入りのペアガラスにした場合、年間灯油消費量は、1,134リットルでした。


このガラスを、Low-Eペアガラスに変えると、年間灯油消費量は、1,254リットルへと、120リットル増えてしまいます。
1リットル90円とすると、10,800円くらいの差額。

日射取得だけを考えれば、アルゴンガスではなく、普通のペアガラスでも結果は大きく変わりません。
アルゴンガス入りにしているのは、1度あたたまった熱を、外に逃がしにくくするためです。より断熱性を高めるためには、アルゴンガスではなく、クリプトンガスという方法もありますが、まだまだ少数派です。

 

ただし、このような仕様にする前提条件として、南面の庇が十分な長さ出ていること!
庇が出ていないままだと、夏の冷房費が増えてしまいます。

理想の庇の長さは、サッシの高さの 0.3~0.4倍程度。
つまり、2.0mのサッシの場合には、60cm~80cm必要ということです。
首都圏近郊では、なかなか難しい長さですね。

今回の場合、サッシは2.4m程度ありますが、1mの庇が出ているので、長さは大丈夫。



昔の建物の庇が長いのは、夏の日差しを遮りつつ、冬の日差しを取り入れる先人の知恵ですが、今日では庇は軽視されている感じがします。
コストダウンのために、軒や庇ゼロ設計が珍しくないですから。

軒や庇の長さについては、昔の建物よりも今の建物の方が退化しているような・・・。

星野リゾートはエコで偉い!星のや 軽井沢の地中熱ヒートポンプと、トマム ツインタワーの外断熱改修

2009年03月04日

先月軽井沢に行ったとき、星のやに寄る機会がありました。(泊まった訳ではありません)
星のやは、企業再生のカリスマとして知られる、星野佳路さんが代表を務める星野リゾートの宿泊施設の1つで、以前にNHKのプロフェッショナルの流儀でも取り上げられました。

 

以前から、この施設は見てみたいと思っていました。
なぜなら、星のや 軽井沢は、環境への取り組みに積極的であることを知っていたからです。
星野リゾートの社内か、あるいはサポートする会社に、建物や設備の省エネルギーに詳しい人が居るのは間違いないと思っています。

 


まず、星のやでは、送迎などの車に使うガソリン以外、灯油や石油などを一切燃やしていません。
厨房用のLPGは使っているものの、暖房や温泉温度の管理には、地中熱のヒートポンプを使っています。
一般的なホテルや宿泊施設は、暖房に重油や灯油を燃やしていますので、大きな違いです。


ヒートポンプはエアコンで一般的です。
エアコンで暖房する場合、外気の温度利用していますが、外気温が下がるほど効率が下がってしまいます。

 


しかし、地中であれば、真冬の時期でも氷点下になることはありませんので、効率が保てます。
星のやでは、地中から熱を取り出すための井戸が深さ400mあり、取り出す温度は25度のようです。
外気温度と比べると、かなり有利です。

 

400mもの井戸を掘るとかなりのコストがかかるので、初期費用の面から地中熱ヒートポンプは一般的には使われません。
しかし星のやは、宿泊施設+温泉という熱需要がとても多い建物ですので、投資回収費用は、わずか約 2年。
初期費用がかかっても、すぐに回収できてしまうということです。
2年を経過した後は、一般的な灯油や重油でのボイラーで運転した場合との差額が、そのままコストダウンになります。

 


ヒートポンプは、地中熱だけでなく、温泉の排湯でも使われています。
これは、流し終わったお湯を、そのまま捨てるのではなく、排湯槽にお湯を溜めてヒートポンプで熱を奪った後、捨てるというもの。
放流温度が下がりますので、河川の環境保護にも役立ちます。

排湯は40℃近くありますので、外気を利用するヒートポンプよりもさらに有利です。

 


星のやのトリプルガラス木製サッシ 星のやの建物を実際に見たのは、少しだけなのですが、建物そのものの省エネに配慮していると分かるのが、右の写真。

枠は木製。そして、サッシはトリプルガラスです。
風除室でさえ、Low-E ペアガラスが使われていました。

 

全部を見たわけではありませんが、南側は日射取得を増やすためにトリプルガラスにしているのかも知れません。

余談ですが、このサッシ部分、木製の枠部分と、水切りの板金の位置関係が間違っているような・・・。

 

もう1件、星野リゾートで凄いと思ったのが、北海道 トマムにあるツインタワーの外断熱改修。

 

2004年に星野リゾートが、このツインタワーを含む、アルファリゾート・トマムの経営を引き継いだ後、外断熱に改修してしまいました。

 

その理由は、築後15年以上を経過し、外壁のプレキャストコンクリートの凍害被害が大きくなり、タイルの剥落などが起き、年間の補修費が700~1,000万円かかるからだとされています。

 

そもそも、氷点下 -30℃になる地域に、内断熱の仕様を採用した当初の設計もどうかと思いますが、全て外断熱に改修してしまった星野リゾートは立派だと思います。

 

ちなみにこの改修で、暖房負荷は30%減、修繕コストは30年間で 4億5,000万円の減になるそうです。

 


星野リゾートの他の施設において、どのような取り組みが行なわれているのか分かりませんが、他のリゾート会社でも、同様の取り組みを行なっていただきたいものです。

 

参考リンク

温泉排湯熱・地中熱ヒートポンプ利用 星のや軽井沢
 http://www.zeneral.co.jp/pdf/hoshinoya.pdf

 

ゼネラルヒートポンプ工業(株) 温泉排湯利用ヒートポンプシステム
(星のやのケースは19ページ目)
 http://www.geohpaj.org/information/doc/shiba.pdf

 

エネルギーは足下にある 地中熱という膨大な資源を活用せよ
 http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/rpt_26.html

 

星のや エネルギー設計 松沢隆志さん
 http://www.hoshinoya.com/concept/energy.html

 

「トマム」の象徴、超高層ツインタワーが鮮やかに変身
 http://www.nikkeibp.co.jp/news/const08q2/575932/

 

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