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袋入りグラスウール断熱材の施工方法

2005年02月19日

今日は品質チェックで、断熱材の確認。
前回伺ったとき、建物の精度を確認しましたが、良い精度に仕上がっていました。

ご依頼者と待ち合わせた後、どんな感じに仕上がってるかな~ と期待して行ってみると、あらら!断熱材の留め付け方法が全部間違っています。

誤った施工例 誤った施工例
柱の内側に断熱材が留め付けられています。 取り付け部分を拡大して見たところ。

日本で売られている一般的なグラスウールは、袋に入っており、両側に「耳」と呼ばれるビニールシートが2cmくらい出ています。正しい施工方法は、この「耳」を柱や間柱(まばしら)の上で重ね、ビニールシートを連続させなくてはいけません。
(ちなみに、このビニールシートは壁の中の結露を防ぐためにあり、防湿層(ぼうしつそう)といいます)

今回の物件では、グラスウールの「耳」が柱の中に入っており、ビニールシートが連続していませんでした。また、柱と柱の間隔に合わせて、グラスウールを切っていないため、室内側に膨らんでいました。

大工さんに、「これはマズいですよ。なぜこうしたのですか?」 と尋ねると、耳を重ねることも、その理由もご存知ない様子。しかし、このような事はたまにあること(本当はいけないのですが)なので、大工さんに正しい施工方法を伝えて全てやり直しです。

施工してあったグラスウールを全て取り外し、寸法を合わせながら再度取り付けていきます。
正しい施工にするため、私も服を着替えて工事に参加。

途中からは私だけでなく、ご依頼者も工事に参加。作業が終わる頃には、慣れた手つきで奇麗な仕上がりになっていました。
断熱材を取り付けるご依頼者
断熱材を取り付け直しているご依頼者(お施主さん)

 

断熱材修正前 断熱材修正後
before after
断熱材修正後 断熱材修正後
修正後の断熱材の様子1 修正後の断熱材の様子2

グラスウールのような繊維系断熱材の工事自体はそれほど難しいものではありませんが、本当に正しくやろうとすると、結構面倒です。現実的には、正しく施工されていない方が多いのではないでしょうか。

どんなにいい材料を使っていても、施工が間違っていては性能が100%発揮されません。
その材料にもいくつもの種類、メーカーがあり、工法も多数あります。家を作るというのは大変ですね。

長時間の工事、Sさん、お疲れ様でした!

グラスウール断熱材の値段。エアコンとどちらが費用対効果がある?

2005年03月11日

現在、どうなる?!ニッポン建物事情というメルマガの中で、断熱について書いています(我ながらマニアックです・・・)

 

あまり関心されることのない、この「断熱」。関東周辺の建売物件の場合、壁や天井には、グラスウールという断熱材が使われています。

 

もう少し細かくいうと、厚さは100mmで袋に入っており、1m角の大きさに換算したときの重さは、10kgのものが一般的です。(寒い地域では、16kg)

 

値段が結構高いと思われている方も多いようですが、実はこの断熱材、建物に使われる材料としてはかなり安い部類に入ります。

グラスウールの価格 右の写真は、某ホームセンターでのグラスウールの価格。関東周辺の建売物件で使われている断熱材と同じ性能、同じ厚みのものです。

右上に、5坪入とありますね。つまり、この断熱材1つで5坪(10畳:約16.5m2)の広さに使えます。

このお店は、ホームセンターでも安い方ですが、この断熱材は、4,000~5,000円未満が今の相場です。

 

1つ5000円だとしても、1m2当たりの価格は、
5,000円 ÷ 16.5m2303円/m2
(ホームセンターより、建築業者さんの仕入れ価格の方が一般的には安いので、実際はこれよりも安くなります。)

2階の広さが50m2の一戸建ての場合、その天井全面にこの断熱材を使ったとしても、材料費は15,000円ほど。

 

外壁の広さを170m2(延べ床100m2の一戸建てだと、大体この位)と仮定すると、断熱材の費用は、170m2× 303円/m2= 51,510円

 

床用の断熱材は、他の種類を使いますので、今回は計算を省きますが、現在関東周辺で建てられている一戸建てで、断熱材にかかる費用は、実は10万円ほどです。断熱材の厚みを50mmにすると、この費用もだいたい半額になります。

 

建物の価格を2000万円とすると、10万円は0.5%にしかなりません。
この部分にもう少しお金を回すと、夏涼しく、冬あたたかい家になるのですが、建物が建った後では見えない部分だけに、販売側ではできるだけ費用を抑えているのが本音です。

 

エアコンや給湯器など、設備の寿命はせいぜい20年。
しかし、グラスウールのような無機質の断熱材は、施工が正しければもっと長持ちして、家が建っている間はずっと冷暖房費の節約になります。

また、断熱材を高性能なものにすれば、エアコンや暖房機の能力を家全体で半分以下にすることも十分可能です。

この辺りのお話に、ご興味がありましたら、メルマガ どうなる?!ニッポン建物事情をどうぞ。

修繕工事の修繕? グラスウールの悪い施工例

2005年09月14日

今日はある一戸建ての修繕工事の立会いへ。
朝から問題修繕の検査を行い、午後からは内装部分の復帰作業。

昼食を終えて現場に戻ると、石こうボードをビス留めする前でした。
断熱材を確認したいと職人さんに伝えると、壁の大きさに切断された石こうボードを取り外してくれました。

修繕工事の修繕が必要なことに すると、そこに表れたものは・・・。

どっひゃ~!

グラスウールは幅に合わせて切断されておらず、柱(スタッド)に留め付けられてもいません。
押し込められているだけです。

もちろん、全部やり直し!

石こうボードが張られてしまうと、これを外部から見分けるのは困難。
(サーモグラフィーカメラがあれば分かるでしょうが)

今回、修繕の対象となったのは壁のほんの一部でしたが、他の部分が心配になってきました・・・。

断熱材の種類1 グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー

2005年10月03日

★断熱材のいろいろ
 今回からは、断熱材の種類を紹介したいと思います。

◆ほとんどの断熱材は、空気の断熱性能以下◆
実は、空気の断熱性能というのはとても高く、それを上回る断熱材はほとんどありません。
世の中に出回っている断熱材の多くは、「空気が動かないこと」で断熱性能を得ているのがほとんどです。
まずはこの基本を知っておきましょう。

◆断熱材には、「繊維系」と「発泡プラスチック系」の2つがある◆
断熱材を大きく分けると、

 ・繊維系断熱材
 ・発泡プラスチック系

の2つがあります。
住宅に使われる面積シェアでいうと、繊維系断熱材が、70%前後を占めているようです。

◆繊維系断熱材の種類◆
繊維系断熱材としてよく使われるものには、以下のものがあります。

 ・グラスウール
 ・ロックウール
 ・セルロースファイバー

今回は、このうち、グラスウールとロックウールについてお話しします。

◆グラスウールの原料はガラス◆
日本において、断熱材として最も使われているグラスウールの原料はガラスです。
ガラスを溶かして、お菓子の「わたあめ」のよにしたのが、グラスウールです。

グラスウールは、その繊維の中に空気を閉じ込め、空気が動かないことによって、断熱性能を発揮します。

その為、

 ・取り付け時に、大きなすき間ができる
 ・グラスウールの中を風が通り抜ける

などということがあると、断熱性能が大きく落ちてしまいます。

原料がガラスであることと、製造方法が簡単であることから、価格がとても安い断熱材です。

◆グラスウールは、重さによって性能が違う◆
グラスウールは重さによって性能が違います。
重さが重たいほど断熱性能は高くなります。

繊維を細くして、密度を高くすると、中の空気が動きにくくなるためです。

重さは、1m角当たりの重さで表され、

 ・10kg
 ・16kg
 ・24kg
 ・32kg
 ・48kg

のような製品が一般的です。

実際に触った感じでは、10kgのグラスウールはぺらぺらです。
24kgや、32kgとなるとかなりしっかりしていて、断熱材を立てることができるほどです。

私がヨーロッパに行ったとき、ホームセンターや建材屋さんで断熱材を見てきましたが、日本で売られている10kgのグラスウールのようにぺらぺらな物は見ませんでした。

◆10kgのグラスウールを提案してくる建築屋さんは、勉強不足◆

関東では、壁に10kgのグラスウールの断熱材が標準になっているところがたくさんあります。

しかし、

 ・もともとの断熱性能が低いこと
 ・ぺらぺらのため、施工現場での状態が悪いことが多い
 ・施工状態が悪いと、さらに断熱性能が低くなる

ことから、冬に暖かい家にすることは困難です。

ちなみに、10kgのグラスウールを16kgに変更したとしても、その価格差は1m四方当たり数百円で大きな額にはなりません。

もしあなたが、冬に暖かく夏に涼しい家にしたいのなら、10kgのグラスウールを提案してくる業者さんは、家づくりのパートナーとしては不適切です。
この選択だけでも、断熱や防湿に関する知識がわかります。

グラスウールを使うのであれば、最低でも16kgのものを選ぶのが良いでしょう。

◆ロックウールの原料は石や、鉄鋼スラグ◆
ロックウールは、グラスウールと性能・価格はほぼ同じですが、原料に違いがあり、石や鉄鋼スラグが使われています。

日本ではあまり使われませんが、ヨーロッパではグラスウールより使われていることが多いようです。

断熱材の種類2 ロックウール

2005年10月07日

◆ヨーロッパの断熱材事情◆
私がヨーロッパに行ったとき撮影した写真を、いくつか載せてみまます。
いずれも、ロックウールに関するものです。

ウィーンのホームセンターで見かけた断熱材

これは、オーストリア・ウィーン市内の普通のホームセンターの中にあった、断熱材コーナー。
日本では、ホームセンターに断熱材自体が置いてないこともあります。大きなホームセンターに行っても、バリエーションが少ないのがほとんどではないでしょうか。
ウィーンでは、様々な種類の断熱材を簡単に買うことができます。

オーストリア・グラーツで見た建材売り場

これは、オーストリアのグラーツという街にあった、建材売り場の様子です。写真はほんの一部を写したもので、断熱材、工具、樹脂サッシ、レンガ、屋根などさまざまなものが売ってあります。
山積みしてあるピンク色のものは、発泡系の断熱材です。

ロックウール断熱材

これは、断熱材コーナーの一部です。ここはロックウール断熱材が並んでいます。

ハンブルグの建築現場で見た断熱材

これは、ドイツ・ハンブルグの工事現場で見た断熱材です。ロックウールが使われています。当然ながら、外断熱として使用していました。
写真を見るだけでも断熱材に重みがあり、しっかりしているように見えないでしょうか?

ドイツで使われている断熱材の断面

ロックウールの断面を横から見たものです。日本の建築現場でよく見られる断熱材よりも、ずっとしっかりしており、密度が高いことがお分かりいただけると思います。
こうしてみてみると、日本で使われることの多い、1立方メートル当たり、10kgの密度のグラスウールが、いかにスカスカなのかが分かります。

このページに写っている写真の中に、ISOVERと書かれた断熱材があります。
この断熱材のホームページが面白いのでご紹介します。

まずは、以下のページにアクセスしてみてください。

ページが表示されると、上のメニューの左側に、「För PRIVATE」があるので、そこをクリック。

すると、左側のメニューに、「ISOVER Produkte」 というのが出てきます。

ISOVER Produkte のすぐ下に、「Holzbau/Dachausbau」というの がありますので、そこをクリックします。

すると、右側に施工している様子の写真が出てくると思います。
屋根や壁の断熱材を施工している様子です。好きな写真を選んでクリックして下さい。写真が大きくなり、断熱材の詳しい性能もでてきます。
女性が作業をしている写真もありますが、日本ではまず見かけない風景ですね。

このサイトには、それぞれの断熱材の詳しい性能が載っているカタログもダウンロードできます。
興味のある方はぜひどうぞ。

断熱材の種類3 グラスウール・ロックウール。日本の低密度グラスウール

2005年10月10日

◆家作り・メンテナンスに参加しよう◆

前回ご紹介した、http://www.isover.at/ のページの中には、女性が断熱材を施工している写真もありますが、まず断熱材の厚みに驚かれるのではないでしょうか。
屋根に断熱している写真では、厚みが軽く20cmはありそうです。

建築に詳しい方なら、断熱材(ロックウール)が袋に入っていないことにも驚かれるかも知れません。
実は、袋入りのグラスウールやロックウールは海外では一般的ではありません。袋入りの断熱材では本当にしっかりとした断熱の施工というのは難しいからです。
(日本でも、しっかりとした省エネ住宅を作っている業者さんは、袋入りではなく裸のグラスウール・ロックウールを使います。)

ちなみに、袋入りグラスウールにおいて、結露防止のために必要な部分は室内側のビニールシートだけです。
裏側のビニールは無くてもかまいません。実際、裏側のビニールには、水蒸気を抜くための小さな穴が空いています。

ホームセンターの写真では、断熱材がたくさん売ってあるのがお分かりいただけると思います。実際、いろいろな種類の断熱材が置いてありました。

日本のホームセンターでも大きなところだと断熱材が売ってありますが、種類は少なく、グラスウールの場合でも10kgという軽くて密度の小さいものがほとんどです。前回写真を載せたような、密度の高い断熱材が日本のホームセンターで売ってあるということは極めてまれでしょう。

オーストリアのホームセンターで、断熱材がたくさん売ってあるのは、一般の人が自宅の断熱施工やメンテナンス行う機会が日本と比べてずっと多いからです。これは、オーストリアだけでなく、ドイツやヨーロッパ各国で同様です。

日本では、家の手入れとなると業者さんにまかせっきりというパターンが多いですが、日本でも自分の家は自分でメンテナンスするというな方が増えてくるといいですね。
家も長持ちしますし、愛着もわくでしょう。

断熱材の種類4 セルロースファイバー

2005年10月14日

★繊維系断熱材 -  セルロースファイバー
今回は前回に引き続き、繊維系断熱材の中で、セルロースファイバーという断熱材をご説明したいと思います。

セルロースファイバーは、アメリカで最も使われている断熱材です。

◆セルロースファイバーの原料は古い新聞紙◆
セルロースファイバーの主な原料は古い新聞紙です。
新聞紙の他に、施工性の向上のために接着剤が、防炎・防虫のためにホウ酸が混ぜられています。

見た目はわたのような感じです。
グラスウールやロックウールのように、板状になっていたり、袋に入っているわけではありません。

セルロースファイバーは、グラスウールやロックウールと同じく、「断熱材の中の空気が動かないこと」で断熱性能を得ています。ですから、壁の中に空気の流れがあってはいけません。

◆セルロースファイバーの特徴◆
セルロースファイバーの特徴は以下のような点が挙げられます

 ・原料が古新聞紙のため、環境にやさしい
 ・吸音性が高い
 ・断熱材に、吸放湿性がある

まず第一に、材料が古新聞紙であることから、環境に優しい断熱材です。

次に挙げられるメリットは吸音性です。マンションでは、吸音のために、床や水周りの壁の中にグラスウールを入れることがあります。セルロースファイバーの吸音性は、グラスウールより高くなっています。

断熱材に吸放湿性があるのもメリットです。原料が木質繊維であることから、周囲の環境に合わせて吸放湿するため、冬の結露の心配が減ります。

◆吹き込んだり、吹き付けたりして施工します◆
セルロースファイバーは綿状であるため、断熱材として使用するときは、消防のホースのようなもので、吹き込んだり、吹き付けたりして施工します。
セルロースファイバーの一番のメリットは、吹き込み工法であるため、すき間が出来にくいということではないでしょうか。

一般的に、この吹き込み・吹き付け工事は専門の業者さんが行います。

◆家全体で、断熱材の重みが1トン以上になることも◆
セルロースファイバーを壁に使うときは、1m角で55kg前後の重さのものがよく使われます。
前回、グラスウールのお話をしましたが、グラスウールは10~24kgのものが一般的であることを考えると、かなり重たく、ぎっしりと詰まっていることがお分かりいただけると思います。

そのため、家全体でセルロースファイバーの重みが1トンを超えることも珍しくありません。

工事の費用は、グラスウールと比べると高くなります。

断熱材の種類5 発泡系断熱材(イソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、炭酸カルシウム板、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームなど)

2005年10月17日

★発泡系断熱材
これまでは、グラスウールやロックウールのような繊維系断熱材について書きました。

今回からは発泡プラスチック系断熱材についてです。

◆発泡系断熱材の種類◆
発泡プラスチック系断熱材で主なものは、以下の種類です。

 ・ポリスチレンフォーム(ビーズ法・押出し法)
 ・硬質ウレタンフォーム
 ・ポリエチレンフォーム
 ・発泡ガラス
 ・炭酸カルシウム板
 ・フェノールフォーム

何だか、カタカナばかりで覚えにくいですね。

◆ポリスチレンフォームには、2種類ある◆
発泡プラスチック系の断熱材としてよく使われるポリスチレンフォームには、製造方法の違いで大きく

  ・ビーズ法
  ・押出し法

の2種類があります。

◆ビーズ法ポリスチレンフォーム◆
ビーズ法ポリスチレンフォームには、様々な別称があります。
最も一般的なものは、発泡スチロールという名称でしょう。

他にも、
 ・発泡スチレン樹脂
 ・発泡ポリスチレン
 ・フォームスチレン
 ・ポリスチレンフォーム
とも呼ばれます。

略称として、EPS(イー・ピー・エス)と呼ばれますので覚えておきましょう。
「Expanded Poly-Styrene」の頭文字を取ったものです。

ビーズ法ポリスチレンフォームは、建築材料としては断熱材だけでなく、畳の芯材としても使われています。

【特色 - ビーズ法ポリスチレンフォーム】
 ・湿気を通しにくい
 ・軽い
 ・水に強い
 ・色々な形状にすることができる
 ・生産が簡単

発泡プラスチック系断熱材は、繊維系断熱材と比べて水に強く、湿気を通しにくいという性質を持っています。
ビーズ法ポリスチレンフォームも同様に、水に強く湿気を通しにくい性質です。

金型に充填して作ることから、金型の変更によって色々な形状にすることができます。
石油化学製品であることから、建築に用いられるものには、難燃剤が入っています。

シロアリの害を受けやすいため、基礎断熱に使う場合には対策が必要です。

オーストリア・グラーツの建材売り場にあったEPS
オーストリア・グラーツで見た建材売り場で見た、ビーズ法ポリスチレンボード
オーストリア・グラーツで見た建材売り場で見た、ビーズ法ポリスチレンボード

オーストリア・グラーツの建材売り場にあった、押出し法ポリスチレンフォーム(EPS)です。
製造元のホームページは、→ http://www.austrotherm.com/

EPSを使った外断熱改修工事の現場(ウィーン市内)
EPSを使った外断熱改修工事の現場(ウィーン市内)
EPSを使った外断熱改修工事の現場(ウィーン市内)

ウィーン市内で見かけた、ビーズ発泡ポリスチレンフォーム(EPS)を使った外断熱改修の現場写真です。優に築50年以上は経っていると思われる建物でした。断熱材の厚みは70mmです。

EPSを貼り終えた箇所を遠くから見た様子
EPSを貼り終えた箇所を遠くから見た様子

断熱材を貼り終えた箇所を遠くからみるとこのようになっています。この後に仕上げ材が施工されます。

断熱材の種類6 ポリスチレンフォーム

2005年10月21日

押出し法ポリスチレンフォーム
押出し法ポリスチレンフォームは、ビーズ法とほぼ同じ材料ですが、発泡剤と整形の方法が異なります。
木造の外張り断熱工法によく使われている材料です。また、基礎断熱や床断熱にも使われます。
表面を触った感じは、ビーズ法よりもツルツルしています。

 

略称として、XPS(エックス・ピー・エス)と呼ばれます。
eXtruded Poly-Styrene の頭文字の略です。

 

性質としては、ビーズ法とほぼ同じですが、ビーズ法と比較すると以下のような特色があります。

【特色 - 押出し法ポリスチレンフォーム】
 ・ビーズ法より固い(耐圧力がある)
 ・ビーズ法より断熱性能が高い
 ・ビーズ法より、価格は高め

 

ビーズ法より固いというメリットを生かし、道路の凍結防止として、土木工事の世界でも使われています。

 

一戸建てで使うときは、押出し法の方が、ビーズ法と比べて4割程度断熱性能が高いため、押出し法のものを使うのが良いでしょう。

 

ビーズ法は製造が簡単ですので、小さな工場・会社でも作れます。(つまり、調達しやすい)
押出し法は設備や工場が大きくなりますので、製造しているのは大きな会社が多いといえるでしょう。

 

鉄筋コンクリートの外断熱では、ビーズ法のものが使われていますが、これはモルタルとの接着性が押出し法よりも高く、価格も安いということがあるのではないでしょうか。

 

 

2009年12月追記
押出し法ポリスチレンフォーム(XPS)には、難燃剤としてHBCDヘクサブロモシクロドデカン)と呼ばれる臭素系の難燃剤が含まれています。
この、HBCDにより、押出し法ポリスチレンフォーム(XPS)の防火性を高めているのですが、このHBCDは近年、難分解性、環境残留性、生物蓄積性、高毒性が懸念されています。

 

特に北欧諸国(特にスウェーデン)ではHBCDに関する評価が厳しく、使用だけでなく製造に関しても、反対しています。

日本では現在、HBCDについてあまり議論されていませんが、HBCDは建設業界で広く使われており、今後問題が出てくる可能性があります。
なお、現時点で、HBCDに代わる物質は見つかっていません。

 

臭素科学・環境フォーラム(日本)
HDBC FACT SHEET 2009年6月版
http://www.bsef-japan.com/index/files/090714-HBCD_FS_Final_j.pdf

断熱材の種類7 発泡系断熱材(イソシアヌレートフォーム、硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、発泡ガラス)

2005年10月24日

◆発泡プラスチック系断熱材の種類◆
 今回は以下の断熱材についてです。

 ・硬質ウレタンフォーム
 ・ポリエチレンフォーム
 ・発泡ガラス

◆硬質ウレタンフォーム◆
ウレタンフォームは、ボード状のものと現場発泡の2種類があります。
発泡剤には以前は特定フロンが使われていましたが、代替フロンに移行しています。水発泡のものもあります。

断熱性能は高いのですが、経年劣化が大きい断熱材のため、長期的に2割前後、断熱性能が低下するとされています。
(ちなみに発泡プラスチック系断熱材の多くは経年により断熱性能が低下します。)

ただし、パネル状に加工してあり、柱の間に組み入れるタイプのものは、経年劣化への対策が施してあるため、現場発泡のものと比べると経年劣化は少なくなっています。

今、日本で建てられている内断熱マンションのほとんどは、現場発泡硬質ウレタンによる吹き付け工法です。施工中は火災の危険があるため、火気厳禁です。

木造でも、硬質ウレタンで吹き付ける工法があります。気密性が高くなるとされていますが、気密性能で比較すると、外張り断熱の方が一般的には上です。

木造における現場発泡 硬質ウレタンフォームの施工例
木造における現場発泡 硬質ウレタンフォームの施工例

木造における、現場発泡 硬質ウレタンフォームの施工例です。柱と柱の間を充填するように吹き付けていきます。
施工後の断熱材に火を近づけると燃えますが、火を離すと勝手に消えます(自己消火性といいます)

▲ウレタン変性 イソシアヌレートフォーム▲
硬質ウレタンフォームの仲間の断熱材です。名前が難しいですね。

硬質ウレタンフォームと比べて、耐火性が高く、燃えたときに発生するガスや発煙量が少ないという特徴があります。
不燃材料に指定されています。

イソシアヌレートフォームに、防湿材を貼り付けられたものがよく木造の外張り断熱に使われています。

◆ポリエチレンフォーム(高発泡ポリエチレン)◆
物性は前回のポリスチレンフォームと似ています。

断熱性能としては、
 ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)とほぼ同じ、
 押出し法ポリスチレンフォーム(XPS)と比べるとやや劣る程度です。

この断熱材の一番のメリットは「弾力性がある」こと。
床の下地になる、根太(ねた 又は ねだ)の間に入れたときなど、弾力性によってすき間ができにくくなります。

壁や屋根部分にも入れられますが、床の断熱として使われることが多いようです。

◆発泡ガラス◆
ガラスを炭素で発泡させたものです。
断熱性能は高くありませんが、燃えず、シロアリに強く、湿気を通しにくい材料です。
原料がガラスのため、経年変化もありません。
地下室や基礎の外断熱に向いていますが、畳1枚の大きさで4万円前後するなど、価格が非常に高いためあまり使われません。

断熱材の種類8 発泡系断熱材(炭酸カルシウム板、フェノールフォーム)

2005年10月28日

★発泡プラスチック系断熱材
今回も前回、前々回に引き続き、発泡プラスチック系断熱材についてです。
断熱材の説明は今回で最後になります。

◆発泡プラスチック系断熱材の種類◆
 今回は以下の断熱材についてです。

 ・炭酸カルシウム板
 ・フェノールフォーム

◆炭酸カルシウム板◆
炭酸カルシウムを発泡させたものです。
燃えにくく、シロアリに強く、湿気を通しにくい性質は発泡ガラスと似ています。
地下室や基礎の外断熱に向いています。

コンクリートとの密着性が高いため、型枠代わりに炭酸カルシウム板を使い、外断熱工法とする方法もあります。

価格は発泡ガラスの半分程度ですが、それでも他の断熱材と比べるとずっと高価です。

◆フェノールフォーム◆
非常に高い断熱性能を持ち、その断熱性能は、空気以上。
建築向けの断熱材の中ではナンバー1の性能です。

例えば、フェノールフォーム50mmの断熱性能は、

 ビーズ法ポリスチレン(EPS)換算で100mm、
 グラスウール 単位重量24kg換算で 95mm
 押出し法ポリスチレン(XPS)換算で 70mmになります。

このように、他の断熱材と比べて必要な厚みが薄くて済みます。
最近人気のある断熱材です。ネオマフォームという商品名のものが良く使われている印象です。

経年劣化が少なく、炎を当てても炭化するだけと火災に強いため不燃材料に指定されています。

▲▽フェノールフォームのデメリット▽▲
デメリットとして、吸水性の高さと濡れたときに酸性を示すことがよく言われます。

確かに吸水性は他の発泡プラスチック系と比べるとやや高いですが、木材よりずっと小さいので、私は大した問題ではないと思います。

私が考える問題は、濡れたときに酸性を示すということです。
フェノールフォームの表面には、表面を守るための面材が貼ってある商品がほとんどですが、横面は露出しています。また、断熱材を切断した時の断面も、断熱材の表面が露出します。

そのため、外張り断熱でフェノールフォームを使うときは、固定のビスに防錆性能の高いものを使う必要があります。
一般的な釘では、水に濡れたときにすぐ錆びてしまうからです。

木造の基礎断熱や、鉄筋コンクリート造の建物の断熱に使われることもありますが、私が設計者であれば使いません。
何らかの条件で濡れてしまうと、断熱材が酸性を示し、コンクリートの中性化を早めてしまう可能性があるからです。

また、鉄骨造の建物に使用する際も、断熱材と鉄骨の間に合板などを挟み、フェノールフォーム断熱材を直接鉄骨に接触させないような配慮も必要であると思います。

価格はやや高いものの、高い断熱性能と性能の安定性から、良い断熱材だと思います。
ただし、物性としてのリクスは十分把握して、それに対する工学的な判断・対策は不可欠です。

これまで、たくさんの断熱材をご紹介しました。
世の中には、たくさんの断熱材がありますが、どれも一長一短で、完璧なものはありません。

使用場所や目的、予算に合わせて使い分けるのが良いでしょう。

厚さ105ミリ、柱にピッタリのグラスウール断熱材。北海道住宅新聞より

2007年09月06日

9月5日号の北海道住宅新聞より。

在来工法の柱にピッタリのグラスウール断熱材です。
在来工法の柱のサイズは105ミリか120ミリが普通です。
しかし、どの会社の断熱材カタログを見ても、在来工法・柱用の断熱材厚が100ミリしか無いのは、ずーっと疑問でした。

断熱材の厚みが100ミリだと、どうしても柱の中で断熱材とのすき間が5ミリ~20ミリ空いてしまう訳ですから。

それにしても、柱のサイズ1本取り上げてみても在来工法の寸法体系は合理的でないですね。柱寸法の主な物で、105ミリ、120ミリ、135ミリの3種類。土台が105ミリで柱が120ミリだと、土台からはみ出てしまいます。ツーバイフォーのようにもっと単純化しないと。
積水ハウスのシャーウッドみたいに全て120ミリに統一するとか。

ちなみに北海道住宅新聞は事務所で取ってます。
省エネ住宅の最新情報を得るためには最も適した媒体だと思います。
定期的に出ている雑誌や新聞で、ここまで専門的な記事が多いものは他に知りません。

省エネ住宅を学びたい方に、北海道住宅新聞はオススメです。

セルロースファイバー吹き込み中

2009年03月17日

セルロースファイバー 港区の一戸建て品質チェックの現場でコンクリートの打設立会いに立ち会った後、目黒区の一戸建て品質チェックの現場で、断熱材となるセルロースファイバーの吹き込み。

 

写真は断熱材の投入口。

 

音が結構うるさいです。

 

セルロースファイバー吹き込み中 その2

セルロースファイバー 休憩を挟んで再び、セルロースファイバーの吹き込み。

 

壁の中いっぱいに断熱材を入れていきます。

 

室内側に張ってあるシートは強く、大人が引っ張った程度では破れません。

 

繊維の方向があるので、引っ張りに強い方向と垂直方向にカッターを入れると、破れますけどね。

セルロースファイバー吹き込み中 その3

セルロースファイバー セルロースファイバー断熱材を入れるため、室内側に張ってあるシートの固定の様子。

 

かなり細かく固定してあるので、丈夫です。

 

電動のタッカーで留めていましたが、手動のものだと、かなり大変でしょうね。
タッカーは、かなりの量を消費していました。 

アイシネン(icynene)断熱材

2009年06月01日

アイシネン 一戸建て品質チェックの現場で、アイシネン(icynene)と呼ばれる断熱材の吹き付け中。

 

ウレタンの断熱材ですが、マンションに使っているような硬質のものではなく、固まってもスポンジのように柔らかです。

同種の後発には、
 ・フォームライトSL
 ・アクアフォーム
 ・モコフォーム
があります。

 

アイシネンは、後発のものより値段は高めですが、空気の透過量や吸湿性の低さなどはアイシネンの方が安全側。

 

次世代省エネ基準を満たしていない施工業者さんの標準仕様から見ると、大幅なスペックアップ。

性能差に納得して採用して頂いたご依頼者、工事を受け入れてくれた施工業者さんに感謝、感謝です。

給気口、エアコンスリーブ周りの断熱施工

アイシネン断熱材 アイシネンを吹き付けた、給気口とエアコンスリーブ周り。

 

グラスウールやロックウールでは難しい小さな隙間の施工も簡単。

 

モコモコしている部分は、後から柱の厚みで切り取って、平らにします。

 

本当は、このような吹き付け断熱材ではなく、グラスウールで省エネ住宅を作るのが安上がりです。

 

しかし、首都圏近郊では、袋入りのグラスウールばかりで、高性能住宅で一般的な裸のグラスウールを使うのがまれ。

別張りの防湿シート施工や防湿コンセントカバーを使うのもまれ。

 

職人さんを1から指導する訳にもいかないので、専門職である吹き付け断熱材や、セルロースファイバーなどの吹き込みの方が確実に思います。

木部は熱橋か否か。階間部の断熱補強

2009年06月04日

建物の断熱のことを調べていくと、木材の部分が熱橋(サーマルブリッジ、ヒートブリッジ)なのか、そうでないのか判断が分かれている場合があると思います。

 

木材は、コンクリートや鉄と比べると熱を伝えません。
しかし、断熱材と比べると、3~4倍の熱を通してしまいます。

 

建物のQ値(熱損失係数)が次世代省エネ基準ギリギリをウロウロしているレベルでは、木部の熱橋というのは大したものではありません。

 

しかし、建物全体の省エネ性を高めていくほど、木部の熱橋というのは無視できなくなります。

 

例えばダイエットのとき、おなかの贅肉がたくさんある時には、二の腕などの贅肉は気にならないでしょう。
しかし、おなかの贅肉が無くなったときには、他の部分が気になってくると思います。

建物の省エネもダイエットと同じ。
いかに、無駄なものを減らせるかということですので、性能を上げるほど細かな部分まで気になってきます。

 

先日の断熱材吹き付けの現場では、1階と2階の間に、断熱材が吹きつけられていました。

階間部の断熱補強

 

1階と2階の間、2階と3階の間などの空間を、「階間部」といいます。

この作業者の方は、階間部の断熱補強のため、写真の位置に断熱材を吹きつけています。階間部は一般的に木部だけとなり、断熱上の弱点になるためです。

 

考えてみると、一般的なグラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなどの繊維系断熱材による充填断熱では、階間部の断熱補強はできません。

このような場合には、板状の断熱材を内側から貼り付けるか、木部の間に挟みこむ施工になります。(現実的にほとんど行なわれません)

 

断熱施工の依頼の際、階間部の断熱補強は特にお願いしていません。
しかし、こちらの断熱施工業者さんは良く分かっていますので、何も言わなくても施工して頂きました。さすが、断熱の専門業者さんです。

 

以前このブログで取り上げた、熱損失係数(Q値)・暖房エネルギー計算プログラムのQPEXでも、階間部の検討項目があります。

熱損失係数(Q値)・暖房エネルギー計算プログラムのQPEX

 

建物の熱損失係数Q値が1.0を切るような建物は、ほとんどが充填断熱と外張り断熱(付加断熱)の併用です。

 

これは、建物の性能を高めていくと、木部の熱橋を防ぐための施工が必要になるためで、その方法の1つとして外張り断熱が採用されます。

 

長くなりましたが、
「建物の性能が低いレベルでは木部は熱橋というほどでもないが、建物の性能が高くなるほど、木部の熱橋は無視できなくなる」
と言えると思います。

断熱スクリーン(ハニカムサーモスクリーン)

2009年06月10日

断熱スクリーン(ハニカムサーモスクリーン) 午後から軽井沢で、施主検査の立ち会い。

 

写真はロールスクリーンのような目隠しと、窓の断熱強化を目的とした、断熱スクリーンハニカムサーモスクリーン

 

これをカーテンやロールスクリーンの代わりに取り付けると、熱的に弱いサッシ周りの断熱性を大幅に強化できます。

 

スクリーンの断面が中空になっていて、断熱性が高まる仕組み。
断熱性は厚手のカーテンよりずっと上。

 

設備屋さんが、この物件で採用した床下暖房の自然な暖かさに感動してみえましたが、この断熱スクリーンにより、快適性がより高まっていると思います。

ダンレーマット、製造中止

2009年09月30日

住宅の断熱材として、グラスウールとロックウールが広く使われています。

このうち、ロックウールは、日東紡の「ダンレーマット」という商品がよく使われています。
少なくとも関東では、ロックウール = ダンレーマットと想像するほど広く使われていると思います。


三井ホームや、エスバイエルでも、断熱材にダンレーマットを使っています。


最近知ったのですが、このダンレーマット、今年の 5月以降、在庫が無くなり次第、販売中止になっていました。

日東紡建材事業部門
 http://www.nittobo.co.jp/kw/juuken/danrei.html

ダンレーマットの他、日東紡が製造しているロックウール関連の商品も、軒並み製造・販売中止となるようです。

事業環境の急変に即応する諸施策の実施についてのお知らせ
 http://www.nittobo.co.jp/news/pdf/081225_2.pdf


これまでダンレーマットを作っていた千葉工場は閉鎖となり、既に取り壊し作業の準備が始まっているようです。


グラスウールではなく、ロックウールを使っている会社は、断熱面だけでなく、防火面からロックウールを採用している場合がありま
す。

今後、ダンレーマットを使っていた会社は、他社製品に乗り換えるか、グラスウールに切り替えていくことになると思います。

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