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引渡し済み物件の現場監督さんからの電話。「この家、凄いです!」

2007年08月27日

午前中に私用を終えた後、午後から千葉の現場へ。
予定より早めに指摘箇所の是正が終わったという連絡を元に、現場の確認です。

現場はしっかりと是正が終わっていました。
帰りはいつもと違うルートで事務所に。JR八丁堀駅って、ちょっとさくら事務所からは距離ありますね。でも、運動不足の私にはちょうどいいかも。

夕方からは、さくら事務所のメンバーで、一戸建て関係の会議。

会議の途中、既に引渡しが終わった品質チェック物件の現場監督さんから電話がかかってきました。
さくら事務所の設計コンペ第一号の物件です。

「もう終わった現場なのに何だろう?」と思い電話に出ると、いつも元気な現場監督さんが、いつも以上に元気な様子。

あの現場で、24時間換気の配置や基礎断熱を提案されたのは、大下さんだそうですね。あの物件、凄いです!

「え?どういうことですか?」と聞き返すと、要点は以下のようなものでした。

  • 工事前、いつもやっていない設備等が入っていたので、その効果は疑問視していた。
  • 今日、定期メンテナンスの為に建物の中に入った。
  • 室内の温度差が、これまで引き渡した物件のどれよりも小さい。
  • 玄関から入って涼しいが、リビングが寒すぎることも無い。
  • これまで引き渡した物件のどれよりも、空気がサラッとしている。
  • これまでの建物とは、別のよう。
  • なのに、エアコンはドライの微弱設定で運転

この物件には、全館空調は入れていません。
ちなみにエアコンの設定については、私が先週ご依頼者宅にお伺いしたとき、エアコンの設定温度や、風向きについてアドバイスをしています。

夏は、暑いといっても室内外の温度差は10℃未満。冬のように20℃近くの温度差はありません。
この物件の断熱性は高いので、冷房で重要なのは温度(顕熱)を冷やすエネルギーではなく、除湿となる潜熱。
この物件では基礎断熱を採用したことや、面材を張っていることで気密性能が高くなっているため、防湿性能も上がっていると思います。
結果として、冷房運転ではなくドライ運転でも建物は快適に。
ちなみに2階はリビングの2.2kWのエアコン(6~9畳用)で、その3倍以上の面積を冷やしています。
省エネ住宅に詳しくない設計者であれば、200V仕様の、4.0kW以上のものを入れていたことでしょう。建物にお金がかかっている分、設備でその費用を回収しようという狙いです。
 

さくら事務所の設計コンペでは、ご依頼者からコンペの料金をもらっているので、施工業者さんなどから、バックマージンなどは一切受け取っていません。(多くの設計コンペでは、ご依頼者が無料に近く、業者さんからバックマージンを受けることが多い)

そのため、設計コンペでは、「ダメなものはダメ!」などということを、本音トークで話しています。
また、設計段階からチェックを行なうことができるため、着工前に「こうした方が良い」という点は、実際の設計に生かして頂いています。

この物件でも、この施工業者さんが普段は行なっていない設備を、私の意見でいくつか採用して頂いています。
一見、無茶にみえたかも知れませんが、私にはバックデータと理論的な裏づけあったので、心配していませんでした。
その結果、出来上がった物件が、現場監督さんが体感されたように、いつもの建物とは違っていたのでしょう。

現場監督さんであれば、いつもその会社の建物をよく分かっていますので、建物に入ってその違いがすぐに分かったのでしょう。
次からの物件でも、この経験を生かして欲しいです。

しかし、監督さん!
私はこの物件、夏よりも冬に自信があります。

なぜなら、この物件には、床下暖房があるから。

床下放熱器

床下放熱器。室内に出ないのでスッキリ!
しかも、室内に出るタイプの放熱器よりもずっと安価です。
ちなみに、風は出ません。自然対流です。

熱源は温水。
なので、ガスでも電気でもヒートポンプでも、エコキュートでも、ガスコージェネでも、太陽熱でも何の熱源でもOKです。
熱源の交換時期には、その時に最も安い熱源を選べます。

上から見るとこんな感じ

上から見るとこんな感じ。
冬には暖かい空気がここから上がってきます。
夏季には、ここから室内の空気が床下に流れます。なぜなら床下には、空気を引っ張るための24時間換気ダクトが3本入っているから。
ちなみにこの物件の場合、1日に10回程度、床下の空気が入れ替わります。

結果として、床下のジメジメ感はなく、カラッと乾燥。床下も室内と同じ環境になります。

年間を通じて、温度・湿度共に安定。

タオル掛け兼放熱器

洗面室には、タオル掛けを兼ねた放熱器を配置。

洗面室が寒くなることはなく、タオルもすぐに乾きます。ヨーロッパでは一般的。
浴室に暖房機が無くても、問題なし。

放熱量の設定は、廊下に設けられた集中コントローラーでもできますし、写真の放熱器右下にあるバルブでもできます。

床暖房と違い、床下全面をあたためることが出来る床下暖房は、床暖房のようにリビングと廊下の温度差がありません。
また、面積が広いこと(1階全面を暖める)ことで、温水の設定温度を低くすることが出来ます。
また、輻射暖房なので、エアコン暖房よりも快適性が上です。


ご依頼者のT様。
寒い時期、現場監督さんや大工さんを交えて、体感会みたいなものを開いて頂けると嬉しいです。

全館空調のダクトの設計には、ノウハウが

2007年10月13日

設計コンペで決まった物件に、配管や内装下地の確認へ。

物件は次世代省エネ基準の2倍程度の優れた省エネ性。
先日の気密試験でも、C値=0.30cm2/m2という、優れた性能が確認されました。鉄骨系の建物の10倍以上の性能。

建物の省エネ性が高ければ、個別空調よりも全館空調の方が快適面でのメリットが。ランニングコストも高くありません。

 写真は全館空調用(兼換気用)のダクト。中にグラスウールが入っているので、直径が太いです。
そのため、設計の時から、ダクトのスペースを確保し、梁や床根太の位置・方向にも注意する必要があります。この辺りはノウハウですね。

ダクトを細くすると、空気の抵抗が増えて電気を多く必要としてしまうので、省エネの観点からあまり細くすることも出来ませんしね。

灯油1リットル 100円時代の熱源単価(2007-2008年版)。ペレットストーブとは?

2007年12月18日

先日、車の給油のためにガソリンスタンドに行ったところ、ポリ容器を持って灯油を買いに来ている人がいました。
灯油のスタンドを見てみると、1リットル105円という表記が。都内23区内のガソリンスタンドとはいえ、少し前のガソリンと変わらない値段です。

暖房費を安く済ませるため、昨年と同様、熱源単価の比較を載せてみます。計算条件は、昨年と同じです。

1kWh当たりの熱源の単価(設備効率を含む)
電気 2.4円  深夜電力利用のエコキュート(COP=4.0×自然放熱80%)
電気 3.4円  COP=6.5のヒートポンプエアコン
電気 5.5円  COP=4.0のヒートポンプエアコン
電気 7.3円  COP=3.0のヒートポンプエアコン
灯油 10.4円  FF式灯油ストーブ(1リットル=90円の場合)
蓄熱式暖房機 10.7円  深夜電力利用の蓄熱式暖房機
灯油 11.5円  FF式灯油ストーブ(1リットル=100円の場合)
灯油 12.6円  開放式灯油ストーブ(1リットル=90円の場合)
灯油 12.7円  FF式灯油ストーブ(1リットル=110円の場合)
灯油 14.0円  開放式灯油ストーブ(1リットル=100円の場合)
灯油 15.4円  開放式灯油ストーブ(1リットル=110円の場合)
LPガス 17.9円  都市ガスを使ったファンヒーター
温水式床暖房 19.8円  都市ガスを使った温水式床暖房
電気 31.4円  電気カーペット、電気こたつ、電気式床暖房など
LPガス 32.3円  LPガスを使ったファンヒーター
LPガス 35.8円  LPガスを使った床暖房

灯油の値段がかなり高くなっているので、厳寒地のようにエアコン暖房が使えない地域以外では、エアコンを使うのが最も安上がりです。
エアコンは、外気が寒いほど効率が落ちますが、本体の効率が COP=6.0程度の高性能エアコンであれば、効率が半分になったとしてもCOP=3.0で済みます

最近、おがくずや製材の廃材を圧縮成型した固形燃料「木質ペレット」を使う、ペレットストーブの出荷量が増えているそうです。

エネルギーの単価は、ペレットはやや高価であったため、ランニングコストは灯油に劣っていましたが、最近の灯油価格高騰のため、大差が無くなっています。(むしろ安い場合も?)

木質ペレットを燃やした場合、灯油よりも大幅にCO2の排出量を減らすことができます。(正確には燃焼時にCO2を排出するものの、その木材が育つまでに吸収したCO2を排出しているだけのため、トータルのカウントはゼロ)

北海道、岩手県、山形県、埼玉県、長野県、福島県などの一部自治体では、ペレットストーブの購入時に補助金を出しているところもあります。
ご興味のある方は、一度調べて見ると良いかも知れません。

なかなか難しい「蓄熱暖房」。エコキュートの床暖房や、クレダ、アルディ(白山製作所)、ユニデール、スティーベルほか

2008年08月04日

※真夏なのに、暖房のお話です。
かなり長文ですので、気合を入れるか、飛ばしてください。


先日、福島から「一戸建て 設計図面・見積りチェック」をご利用されたご依頼者がみえました。
サービスご依頼の理由は、私のこのブログをご覧になったからだそうです。

 

その記事は、「床下暖房」のものでした。
ブログには床下暖房についてあまり詳しく書いておらず、恐縮ですが・・・。
サービスのご利用、ありがとうございました。


一戸建て 設計図面・見積りチェック」をご利用された物件には、深夜電力でお湯を作り、そのお湯で床暖房やパネルヒーターを使用するエナーテック(株)の電気温水蓄熱器システムが検討されていました。

お湯を作る方法はエコキュートのようなヒートポンプではなく、ヒーターを使った(いわゆる)電気温水器。
決定的にエコキュートと違うのはその貯湯量。
2,000 ~ 2,700リットルと大きなもので、検討されていたタイプは2,700リットルのもの。
一般的なエコキュートの貯湯量が360~470リットルですから、エコキュートのタンクが 6台くらいあることになります。


一戸建て 設計図面・見積りチェック」の中で問題になったのは、暖房に使うための温水の蓄熱量でした。

タンクの中には、90℃の温水が2,700リットル(2.7m3)入ります。
カタログの中で、床暖房などには35~40℃の温水を利用とありましたので、温水の温度差は50℃ほど。

 

蓄熱量の求め方

蓄熱量は、以下の式で求めることが出来ます。

蓄熱量 = 密度 × 体積 × 比熱 × 温度差

今回の場合、

蓄熱量 1000[kg/m3] × 2.7[m3] ×1.0[kcal/kg℃] × (90℃-40℃)
  135,000[kcal]
  157 [kWh]

となります。

問題がこの蓄熱量。


今回の電気温水器は、5時間通電タイプですので、残り19時間をこの蓄熱量でまかなうことになります。

すると、1時間当たりの放熱量は単純計算で、157[kWh] ÷ 19時間 = 8.2kW
一般的な広さの物件であれば、十分な放熱量です。

しかし、物件規模が大きいことと、最低気温が低いことから、ギリギリ足りない程度の蓄熱量だということが分かりました。(建物の断熱仕様は特に悪くありません。)
タンクの2,700リットルのお湯が、昼間の放熱で40℃まで下がってしまうと、夜にお風呂に入る際、温度がやや低めです。
これ以上タンクは大きく出来ないので、建物の断熱性能を上げるか、他の熱源を検討することになりました。

 

余談ですが、5時間通電の夜間蓄熱式タイプは、割引額が大きくなります。
今回の2,700リットルタイプの場合、月々 8,000円程度の割引となります。
この割引は年間を通じてですので、ランニングコストは有利です。

 

床暖房対応のエコキュートは?

ここで、ふと思ったのが、床暖房対応のエコキュート。
一部のエコキュートで採用されており、夜に作ったお湯を使って床暖房するというもの。

タンクの容量が6倍でも厳しいのですから、当然、普通のエコキュートも厳しくなります。

エコキュートのタンク容量を大きめである470リットルとすると、蓄熱量は約27[kWh](90℃保温の、40℃利用の場合)
エコキュートは8時間通電ですから、放熱時間は 16時間。
1時間当たりの放熱量はわずか1.7[kW]と、最も小型のエアコンよりも暖房能力が低く、コタツ2台分くらいにしかなりません。
実際、このような床暖房対応エコキュートの暖房部分の熱交換装置は、2kW程度しかないようです。蓄熱量を考えると適切な能力です。

そのため、昼間に床暖房を多く使うと、タンクの中の温水温度が低くなるのは明らかで、早ければ昼過ぎくらいに追い炊きになるでしょう。
追い炊きになると、深夜電力のメリットを受けられなくなります。

しかし、深夜電力のメリットを受けられないとしても、ヒートポンプ技術の恩恵は受けられますので、電気ヒーター式の床暖房と比べるとランニングコストは安価です。

北海道では、床暖房だけでなく、パネルヒーターにも対応している、暖房・給湯一体型のエコキュートが6月に発表されています。
これは、昼間にも室外機が動くことを前提にしています。

暖房給湯一体型 「湯快暖快エコキュート」
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/06/0611.html

 

蓄熱式の暖房を考える

蓄熱量は、
蓄熱量 = 密度 × 体積 × 比熱 × 温度差

で決まると先に書きました。

蓄熱暖房では、この項目のいずれかに重きをおいています。

 

電気温水蓄熱器はどうか

これまでに書いた、エナーテック(株)のシステムでは、水の大きな比熱を生かしています。
水は、物質の中では比熱が大きく、コンクリートの4倍程度あります。
比熱と、大きなタンクによって、蓄熱量を増やそうという考えです。

しかし、その大きなタンクのため、地価が高い都市部での設置は困難です。
最も小さい2,000リットルタイプでも、1畳ほどの面積を占めてしまいます。
幅は90cm程度ですが、都市部では隣地まで50cm程度ですので、なかなか難しいでしょう。

 

蓄熱式床暖房はどうか

コンクリートのスラブに蓄熱させる、蓄熱式の床暖房があります。
コンクリートの中に温水が通る配管を通したり、ヒーターを埋め込んだりするものです。

これは密度と体積にポイントを置いています。コンクリートであれば、基礎部分に10m3以上の体積があるのが普通です。
10m3も蓄熱体として確保できるのは、一般住宅では基礎コンクリートくらいでしょう。

しかし、温度差を大きくすることが出来ないのがデメリット。
せいぜい、蓄熱時の温度は40℃以下でしょう。温度差という点で足を引っ張られます。
そのため、トータルの蓄熱量としては、一戸建てではそれほど大きくできません。


例えばコンクリート床スラブの厚みを一般的なベタ基礎よりも厚い 200mm、床面積を 45m2、スラブの温度を35℃(室内は20℃)とすると、蓄熱量は76[kWh]ほど。
先の、2,700リットルタンクを持つ電気温水蓄熱器の蓄熱量は157 [kWh]ですから、半分以下です。
コンクリートが蓄熱できるといっても、比熱と温度差が小さいために、一戸建ての基礎程度では思ったより蓄熱できないものですね。

 

電気蓄熱式暖房機(蓄熱暖房機)はどうか

クレダ、アルディ、ユニデール、スティーベルが有名な、レンガに蓄熱させる電気蓄熱暖房機では、温度差にポイントを置いています。
レンガの温度は、700℃近くになってしまうのですから。
これは、体積が大きいと、場所を取ってしまうからという理由もあります。
小さくしたとしても、蓄熱式暖房機は、200kgを超えることは普通で、かなり重たいです。

しかし、700℃とは高温です。
火がついたタバコくらいの温度で、木材の発火温度のずっと上です。
蓄熱し終わった早朝に大きな地震が起きた場合、蓄熱式暖房機が倒れてしまうと、火災になる恐れがあるといえます。

 

電気蓄熱式暖房は、電気の最も「下手」な使い方。環境負荷大。

これまで、いろいろと蓄熱式暖房について書いてきました。

ここで皆さんに知っていただきたいことがあります。
実はこれまでに書いてきた、深夜電力を使った電気温水蓄熱器、蓄熱式床暖房、電気蓄熱式暖房機は、環境の面からはお奨めできません。
なぜなら、電気ヒーター式の熱源というのは、電気の最も非効率で「下手」な使い方だからです。

石油から電気を作った場合、家庭に届くエネルギーはその3割ほどです。
電気をそのまま熱に変えると、効率は石油が当初持っていたエネルギーの3割を切ってしまいます。
だったら、石油を自宅でそのまま使った方が、3倍以上効率的です。
このように、コンピューターを動かしたり、電子レンジを使ったり、洗濯機を回したりできる電気を、単純に熱に変えて使うのは、最も下手な使い方です。

 

深夜電力の利用 = 原子力の利用

深夜電力は昼間の3分の1の料金で済みます。
これは、夜に電気を作ると電力会社で働いている人が少ないから安い・・・という訳ではなく、原子力発電は能力調整が出来ないため、その分を安く売っているに過ぎません。

つまり、深夜電力を使っている人というのは、原子力発電の電気を使っている人です。
原子力発電に反対であれば、深夜電力は使わないべきです。

 

電気でしか使えない、ヒートポンプ技術を使おう

深夜電力の割引と電気蓄熱式の効率の悪さを例えるなら、燃費の悪い大排気量の自動車に、ガソリン割引券を使ってガソリンを入れているようなものです。
ガソリン割引券の割引率が悪くなってしまえば、当然ながらランニングコストは増えます。

今後のエネルギー情勢によって、深夜電力の料金割引が大きく減ってしまった場合、最も困るのは深夜電力を使った電気蓄熱式暖房を採用した人でしょう。
効率の悪い電気の使い方をしていますので、料金が高くなったときに、一番損をしてしまいます。


電気蓄熱式の暖房の場合、ヒートポンプ技術を使えば、環境負荷はずっと小さくなります。
ヒートポンプ技術を使うと、投入したエネルギーの数倍のエネルギーが得られるからです。
例えば暖房の場合、石油をそのまま燃やすよりも、石油を電気に変えてその電気でヒートポンプを動かします。
すると、発電の際に燃やした灯油が持っていたエネルギー以上の温かさが得られます。


電気温水蓄熱器は、ヒートポンプ技術に簡単に置き換えられます。
単に、エコキュートのタンクを大きくすれば良いだけですから。

業務用のエコキュートでは、3,000リットルタンクから、500リットルタンクで増やすことができ、置き場所の問題さえクリアできれば今でも使えます。
もし、深夜電力の割引が少なくなったとしても、ヒートポンプ技術によって電気代はヒーター式の3分の1以下でしょう。

コンクリートスラブを温水で暖める方式の、蓄熱式床暖房もヒートポンプに置き換えられます。
温水をヒートポンプで作れば良いだけです。ヒーター式の床暖房は置き換えられません。

レンガに蓄熱させる、電気蓄熱式暖房はヒートポンプ技術に置き換えられません。
700℃まで、ヒートポンプでは温度を上げられないからです。
一般的なヒートポンプの熱交換機部分にはアルミが使われますが、700℃はアルミの融点以上で解けてしまいますので使えません。

 

今後の蓄熱暖房

蓄熱は、熱容量を実際に計算すると、なかなか難しいことが分かります。
蓄熱で問題となるのは、どの方法でも蓄熱させる材料です。
潜熱が使える材料を取り入れることで、蓄熱体の体積は減らせると思います。

深夜電力による電気代3分の1が狙いたいのであれば、ヒートポンプでCOP=3の機種を使っても結果は一緒です。
今後の蓄熱暖房を、より効率的で、環境負荷を小さく考えるのであれば、ヒートポンプは欠かせないでしょう。

最近では、氷点下25℃の地域でも使えるヒートポンプなど、寒い地域でもヒートポンプが使えますので、新商品には注意していかなくてはなりませんね。

熱損失係数(Q値)・暖房エネルギー計算プログラムの、QPEX Ver2.0が届きました。

2008年08月25日

少し前にバージョンアップしたのは知っていたのですが、熱損失係数(Q値)・暖房エネルギー計算プログラムの、QPEX Ver2.0をようやく買いました。


新住協 熱損失係数・暖房エネルギー計算プログラム QPEX これは、室蘭工業大学 建築システム工学科 鎌田研究室が開発したプログラムで、新住協というNPO法人が売っています。
省エネ住宅の技術開発で有名な団体です。

ただし、首都圏周辺の工務店や設計事務所は全くといっていいほど加入していません。それほど断熱に興味が無い、わかっていないことの裏づけでしょう。
(数多い断熱系のフランチャイズに加盟するより、新住協の方がずっと安価で、高い技術が得られるように思いますが)

NPO法人 新木造住宅技術研究協議会
QPEX Ver2.0ができました
 http://www.shinjukyo.gr.jp/qpex3.html

ちなみに、QPEXの開発を行った鎌田紀彦教授のことを、「断熱の神様」と呼ぶ人もいます。
私も以前、鎌田教授による講習を受けにつくばまで行ったことがありますが、 実務にあれだけ詳しい先生も珍しいと思います。


QPEXですが、これまで私はVer1.0を使っていました。
Ver2.0になって基礎断熱のバリエーションが増えたり、暖房費を求める気象地点が増えたり、外貼り断熱、付加断熱に対応したりしています。

 

熱損失係数(Q値)や暖房負荷を求めるプログラムは他に、(財)建築環境・省エネルギー機構 IBECのSMASHや、気密測定装置で知られているコーナー札幌の、省エネ判断というソフトがあります。


プログラムの価格ですが、SMASHは30万円ほど。
省エネ判断は10万円程度ではなかったかと思います。

これに対して、QPEX Ver2.0はわずか 5,000円。
QPEX Ver1.0の時は2,000円でしたが、それでもかなり安い!
専門家でなく、一般の方が自分の家の性能を知るためにも、十分に手が届く価格です。
5,000円というお金は、断熱や暖房計画を煮詰めることで、すぐに回収できてしまうでしょうからね。 

 

本日、設計コンペで決まった軽井沢の物件の打ち合わせに行きましたが、暖房計画が多めに入っていたり、断熱厚を増すことでランニングコストを下げられる箇所がたくさん見つかりました。
私の立場としては、暖房設備の計画でコストダウンして、その分だけ建物の省エネ性を高めるよう、進めなければなりません。

 

早速、QPEXで建物の断熱性能を把握し、暖房費と建築費との兼ね合いを調整することになりそうです。

(結論を言ってしまえば、軽井沢のようなとても寒い地域では、建物の省エネ性を高めるのが、暖房設備的にも、建築費+ランニングコストのトータルでも、最も安価になると思います。)

エコヌクール。ヒートポンプ式暖冷房システム。床暖房や床下暖房に

2008年11月06日

下の写真は、完成間近の一戸建て品質チェックの物件で撮影したもの。
さて、これは何でしょうか?
左側のものは、エアコンの室外機のようです。

三菱電機 エコヌクールピコ ヒートポンプ温水器

そもそも、ブログのエントリータイトルでバレバレのような気もしますが、これは、三菱電機のエコヌクールという商品。

空気の熱でお湯をつくり、床暖房や床下暖房、パネルヒーターの熱源として使うものです。

原理は、普通のエアコンと全く同じ。
違うのは、エアコンは温かい風を室内に送るのに対し、エコヌクールは温水を送り出すということです。

 

システムの簡単な説明を。
まず、室外機によって、空気中の熱を奪って熱交換器に移動させます。

エコヌクールの仕組み


専門的になりますが、この時の冷媒は普通のエアコンと同じR410Aです。CO2冷媒ではありません。(用途的にCO2冷媒は不向き)


熱交換器は、写真にあるように発泡スチロールの中。
少しでも放熱ロスを少なくするために、断熱材に包まれている訳です。

エコヌクールの熱交換器

熱交換器を通った温水は、下側に設けられている配管から出てきます。

エコヌクールの温水取り出し

専門的に言うと、配管の取り出しはR3/4。
架橋ポリであれば、20Aで取り出し。

配管の方式は、開放型と密閉型が選べますので、パネルヒーターもOK。


エコヌクールの標準では、今回のケースのように、熱交換器のすぐ下にヘッダーと熱動弁を配置します。
放熱ロスを1ワットでも減らしたい場合には、熱交換器をヘッダーごと建物の中に入れてしまえば、放熱ロスは 室外機 ←→ 熱交換機の配管部分のみとなります。


温水温度は最高で55℃です。
(エコヌクールピコのみ、60℃という設定があります。)
床暖房としては十分な温度。パネルヒーターにはやや低めの温度ですが、建物の断熱性能が出ていれば、大丈夫。



建築に関わっている人でもあまり知らない商品ですので、専門家向けにやや難しく書いていますが、結局何が凄いのか?

それは、ランニングコストです。

温水式の床暖房というと、ガスか?灯油か?などと言われますが、本質的な部分で言えば、「お湯が流れれば、熱源は何でもいい」のです。

だったら、ランニングコストは安いほど良いと思います。

 

ランニングコストは、都市ガスの約3分の1。灯油よりも安い

ランニングコストは、都市ガスの3分の1程度です。
今年は去年よりも灯油が安いですが、それよりもエコヌクールの方が安価です。

 

何も燃やさないので安全

エコヌクールは、都市ガスや灯油のように火を使うことがありません。
そのため、火災の危険はなく、温水の温度も55℃と比較的低温のため、安全です。

 

立ち上がりはどうなの?

床暖房といえば、よく言われるのが立ち上がりに必要な時間。
しかし、私はあまり気にしません。

そもそも、床暖房をメインの暖房とするのであれば、頻繁にオンオフするのではなく、ずっとつけっぱなしが理想。

「それだと暖房費が」
と思われるかも知れませんが、先に述べたようにランニングコストは、一般的な都市ガスと比べて3分の1程度。

逆に言えば、「同じコストでも3倍の時間、暖房できる」のです。
つまり、都市ガスの床暖房で8時間使う予定であれば、同じ費用で24時間暖房が可能となります。

24時間暖房となれば、立ち上がりの時間は関係ありません。

 

寒い地域ではどうなの?

氷点下25℃まで使えますので、北海道でも使えます。
ただし、効率は低下します。

エコヌクール 熱源機最大能力特性

上のグラフは、エコヌクールの技術資料によるものです。
ヒートポンプの特性上、外気温度が低下するほど能力が低下してしまいます。

しかし、日本の人口の約8割が住む次世代省エネルギー地域区分IV地域以南では、氷点下になる日は少ないのです。
建築地の外気温を調べ適切な機種を選ぶ他、建物の断熱性能を高めることで十分対処できる範囲だと思います。


また、あまり言われませんが、ヒートポンプ式の暖房能力は、外気温度が7℃のときの性能です。
7℃を上回る外気温度の場合、カタログ値よりも性能が高くなり、省エネ性が増します。

最近の気温のように、最低気温が10℃~20℃程度の場合には、効率がカタログよりも良くなっているはずです。

これは、外気温と燃料の単価に関係がない、灯油・ガスとの大きな違いかも知れません。

 

深夜電力を使った、蓄熱式床暖房と比べてどうなの?

深夜電力を使い、コンクリートに埋め込んだ電熱ヒーターを暖め、床暖房として使う蓄熱式床暖房というものがあります。


深夜電力を使うと、昼間の3分の1の電気代で済みますから、一般的にコストが安くなるとされます。
しかし、深夜が安くなる代わりに、昼間の電気代は高くなります。

(深夜電力は、発電所で深夜に電気を作ると 安くなるのではなく、単なる商売上の安値販売です。) 


ヒートポンプを使った場合、深夜電力のように時間帯に関係なく、電気代は電気ヒーターなどの暖房と比べて、3分の1 ~ 4分の1になります。

深夜電力とヒートポンプを同時に使うと、電気代は9分の1程度になります。
ヒートポンプを使った「エコキュート」のランニングコストが、1ヵ月で1,000円程度とされるのは、この理由のためです。


ヒートポンプで暖房をする場合、時間帯に関係なく実質的な電気代が安くなりますので、深夜電力はあまり考えなくても良いのではないかと思います。


ヒートポンプの特性を考えれば、気温の下がる深夜よりも、あたたかい昼間に動かした方が効率は上がります。

 

実は、冷房にも使えます

エコヌクールはエアコンと同じ原理なので、冷水を作ることができ、技術的には冷房にも使えます。


ただし、普通の床暖房で冷房することは無理です。
部屋が冷えるほど床面を冷やすのは可能ですが、床面が結露してビショビショになってしまうからです。

床面が結露しないほどに冷やした場合、相対的に室内の湿度が上がってしまいますので、 快適とはいえないかも知れません。


冷房の可能性としてはパネルヒーターがありますが、結露水が出ますので、水の対策が必要です。

 

ヒートポンプの効率は、これからまだまだ上がる

エコジョーズと呼ばれるガスの高効率給湯器の効率は、90%ほど。
既に、エコジョーズの排気温度は50℃程度と低温になっていることや、ガスの燃焼の時には、ガスの持つエネルギーが光や音に変わってしまいますので、これ以上の効率アップは難しいでしょう。
ましてや、効率が100%を超えることはあり得ません。


これに対して、エコヌクールのようなヒートポンプ温水器の効率は、300%~400%程度。外気温が下がって悪くなったとしても、100%は軽く超えます。

温水用のヒートポンプの効率は、理論値では現在の2倍以上に高められますので、600%~800%のような、さらなる省エネ化が期待できます。
少なくとも、10年後の同様の機種は、現在よりも省エネになっています。


まだまだ、効率の向上によるコストの削減が見込めるのがヒートポンプ技術なのです。

ヒートポンプ式温水暖房のデメリットは何?

ヒートポンプ式温水暖房の一番の問題点は、「商品そのものが知られていないこと」かも知れません。 

そもそも、建築の関係者でも、ヒートポンプの基本的原理を理解している人が少ないように思います。


この他、商品の製造元が少ないのがデメリットです。
結果として、競争原理が働かず、価格競争が起きにくいといえます。
ちなみに、楽天市場で調べてみると、エコヌクールの熱源機は、一式で30万円ほど。 


現在、暖房用のヒートポンプ熱源を製造しているのは、私が知る限り以下の通りです。

 ・三菱電機 エコヌクール
 ・ダイキン ホッとエコフロア
 ・長府製作所 温水床暖房付きエアコン

この他、エコキュートに床暖房が付いているのもありますが、能力的には、エコヌクールやホッとエコフロアより小さくなります。


専門的になりますが、この中で密閉型の回路(循環液が空気に触れないためパネルヒーターが使える)を組めるのは、エコヌクールのみです。


原理はエアコンと一緒なのですから、現在、エアコンを製造している会社であれば、ヒートポンプ温水器も作れるはず。
もっと多くの会社が、参入して欲しいものです。個人的には、厳寒地でも強力なヒートポンプエアコンを作っている、日立や富士通ゼネラルに期待します。

 

長くなりましたが、このような商品が出ることで困るのはガス会社でしょう。
ガスの床暖房のメリットのほとんどは、単なる温水床暖房のメリットですので、お湯の温度が同じであれば、結果も同じです。

それでいてランニングコストが安くてオール電化にも出来るのですから、今後、ガス会社は厳しくなりそうです。

床下暖房の放熱器

2009年04月02日

サンポットの床下放熱器 床下暖房の放熱器。

放熱器の台数がとても多い現場なので、接続の準備だけでも大変そうです。

コンクリート埋設式の床暖房工事中。架橋ポリエチレン管の取り付け

2009年04月03日

コンクリート埋設式の床暖房 架橋ポリエチレン管によるコンクリート埋め込み式の床暖房工事。

 

完成すれば、床暖房によってあたたかい洗い場・浴室になるでしょう。

 

オリジナルの給気加温装置も入っているので、下手な宿泊施設よりも、冬季の洗い場や浴室はずっと快適です。

 

それにしても、この職人さん達、工事がとても慣れている。
聞いてみると、床暖房と床下暖房工事の下請けで入った設備業者さんだということです。

このような、コンクリート埋設式の床暖房工事もよくやるとのこと。
配管の割付も、頭の中で、パパッと行っていました。(慣れないとムズカシイ)

 

今回、この物件で床下暖房の熱源として使う、ヒートポンプ式の温水床暖房システム、「エコヌクール」の認定施工店で、これまでに数十件の物件で工事を行っており、とても安心して任せられます。

 

元請けの設備業者さんより、下請けの設備業者さんの方が、スキルも経験も上のような・・・。今度お願いすることがあったら、こちらの業者さんに直接お願いしたい感じ。

 

そういえば、この職人さん達が使っていた、架橋ポリエチレン管の接続部材、「エスロカチット」という商品、とても簡単で良い商品でした。

ジョイント1個当たり、2,000円もするそうですが、「安心を買いたいので」という理由で採用されているそうです。

床下暖房の放熱器

2009年05月18日

床下暖房の放熱器 少し見づらいですが、窓の下に配置された床下暖房の放熱器。

 

 暖房は、
「熱的に弱いところを暖める」
のが基本。

建物でいうと、熱的に弱いのは、ペリメーターゾーンと呼ばれる外壁周りになります。

 

一般的な、パネル敷き込みの床暖房は、施工上、窓や外壁から30cm程度離す必要があるので、ペリメーターゾーンの加温には弱いといえます。
そのため、暖房の基本からは少しずれているといえます。
(スラブ式の床暖房で、敷設率が100%近ければ別ですが)

 

床下暖房ではなく床上にパネルヒーター設置でも良いのですが、夏に邪魔なります。

 

コストで比べると、床下暖房の放熱器はパネルヒーターの半額以下。
でも、製造法上、床下暖房の放熱器の方が単純のために長寿命です。

 

床下暖房の問題点といえば、建物の断熱・気密性能を高くする必要があることと、多くの建築関係者が知らないということでしょう。

床下暖房の温度制御。サンポット製コントローラ

2009年05月29日

軽井沢。

 

工事も終盤。6月には内覧会です。
現場の近くでは、坂東栄二さんの番組のロケ(生放送)が行われていました。気温が低く、雨の中での撮影は大変だったでしょう。

 

現場に着くと、床下暖房が試験運転中。
暖房が入っているエリアは、あったか。

 

この物件の暖房で私が目指したのは、「暖房しているのがわからないあたたかさ」


「明らかにここに熱源がある」と分かるような暖房は、計画としても快適性としても上手くないと思うのです。

 

本物件の暖房エリアは、床下暖房+床暖房の組み合わせで、建物全体の100%。暖房が入っていない範囲はありません。

暖房範囲を広げることにより、床の表面温度を下げられますので、上昇気流も少なく、快適性が上がります。


ご依頼者にとっても、この建物を訪れるゲストの方にも、最高の空間になって欲しいと思います。

 

 

熱源となる、ヒートポンプ温水熱源、エコヌクールの温水温度はこの日の設定では50℃。
最大55℃のお湯が作れますが、50℃で十分あたたかくなっていました。
むしろ暑いくらい。職人さんは窓を開けて作業しています。

 

サンポットのルームリモコン 写真は、エコヌクールのメインリモコン(左)と、サンポットのルームリモコン(右)。

 

エコヌクールの技術資料には載っていない温度コントロールの方法です。

 

私自身、初めての組み合わせで心配もあったものの、技術的に大丈夫だと確信して採用して頂きました。
最終的には、細かな微調整を内覧会のときなどに行ってからお引渡しでしょう。

 

この物件の建築を通じて、私が嬉しいと思うのが、工事に関わった関係者の、断熱・省エネ・暖房の意識が変わったことでしょう。

詳細設計を行った設計事務所の方は、未経験の暖房方式でありましたが、これまでの経験を生かして、難しい納まりを考えてくれました。

 

元請の大手ハウスメーカーの担当者も、断熱について深く理解して頂きました。この後に続く物件にも、本物件の良いところを採用して欲しいと思います。

除湿を考える。コンプレッサー式・デシカント・ゼオライト式の除湿機か、再熱除湿式のエアコンか?

2009年07月13日

梅雨から秋の長雨まで、日本では湿気が多い時期があります。
そのときに必要なのが、「除湿

除湿といっても、いろいろな方法があり、何が最適なのか分からないのでいろいろと調べてみました。

除湿の4つの方法

除湿の方法についてですが、冷却方式、吸着方式、吸収方式、圧縮方式の4つに分けられます。
また、それぞれの方式において、複数の方法があります。

除湿の方法


この中で、一般的なものは、冷却方式と吸着方式です。

一般の方が使う除湿の方法は、除湿機とエアコンだけだと思いますので、これをまとめると次のようになります。

 

除湿機とエアコンによる、機器別の除湿方法

 

機器別の除湿方法

 

それぞれについて、説明を書きます。

 

コンプレッサー式の除湿機

一般名称   コンプレッサー式除湿機 
 別の呼び名  (代替)フロン式
 除湿の方式  冷却方式(結露させる) 
 除湿に必要な熱  冷熱 
 エネルギー効率  80%程度 
 室温の変化  室温が2~4℃上がる↑ 
 

コンプレッサー式の除湿機は、基本原理はエアコンと同じ。
圧縮機を使って冷たい部分を作り、そこに結露させることで除湿させます。

コンプレッサー式の除湿機は「冬季の除湿量が減る」ということがデメリットだとされています。
しかし、気温が低いときは、そもそも空気中の水蒸気も少ないもの。
温度10℃・80%の空気を20℃まで暖めると、湿度は43%まで下がります。
室内の除湿目的であれば、そもそもこの指摘そのものがナンセンスな気がします。

居室においては、10℃を下回る条件というのは、快適性からも良くありません。


コンプレッサー式除湿機のメリットは、比較的除湿量が多いこと。
そして、それなりに省エネです。機械の効率的には、80%前後。

 

デシカント(ゼオライト)式の除湿機

一般名称   デシカント(ゼオライト)式除湿機
 別の呼び名  オールシーズン対応除湿機
 除湿の方式  吸着方式(乾燥剤に吸湿させる) 
 除湿に必要な熱  高温熱
 エネルギー効率  50%程度 
 室温の変化  室温が4~7℃上がる↑ 

 

「オールシーズン対応」などと書かれているのが、デシカント式の除湿機です。ゼオライト式とも言われます。
コンデンス式というのもありますが、価格が高く、作っているメーカーも少ないので、一般的ではありません。


お菓子に入っている乾燥剤の例 デシカント式は、吸着方式の分類となり、お菓子や海苔、お煎餅の中に入っているような「乾燥剤」を使った方法です。
乾燥剤は、一定量の湿気を吸ってしまうと、それ以上吸わなくなってしまいますから、乾燥剤を温めて湿気を飛ばします。
これを、「再生」といいます。

余談ですが、家の床下に炭を入れて除湿を試みる人がいますが、「乾燥させる」という工程がないため、永久的な除湿は不可能です。
床下に入れた炭は、一定量の湿気を吸ったらそれ以上吸えません。当然です。ドラえもんの四次元ポケットでないのですから。

話がずれました。

一般的なデシカント式除湿機の場合、再生のために、80℃以上の温度が必要です。
そのため、デシカント式除湿機の中には電熱ヒーターが入っており、乾燥剤を暖めるのですが、ここがエネルギーを多く使います。

乾燥剤を暖めるために電熱ヒーターを使うことから、室温が高くなります。
また、ゼオライトなどの乾燥剤は、吸湿するときに発熱しますので、これも室温が高くなる原因です。
(煎餅などの袋にシリカゲルと呼ばれる乾燥剤が入っていますが、その表面に「水濡れ厳禁」などとあるのは発熱するためです)

 

夏の時期、「湿気を取りたいから」として締め切った部屋で使おうとしても、部屋が暑くなるデメリットから、まず使えません。

 

デシカント式除湿機のメリットはオールシーズン使えるということ。
しかし、消費電力が大きい割には除湿性能は低め。機械の効率的には、50%前後と、コンプレッサー式を下回ります。

 

エアコンのドライ運転(弱冷房ドライ)

一般名称   ドライ運転
 別の呼び名  弱冷房運転ドライ
 除湿の方式  冷却方式(結露させる) 
 除湿に必要な熱  冷熱 
 エネルギー効率  450%前後 
 室温の変化  室温が下がる↓

 

エアコンの冷房運転というのは、除湿も行っており、かなりの省エネ運転です。温度が下がっても良いという条件であれば、一般向けの除湿機器としては、圧倒的に高いエネルギー効率です。

 


エアコンのドライ運転(弱冷房運転ドライ)は、結露によって除湿を行っています。

本格的な夏ではなく、梅雨の時期など少し暑いときに使うのがエアコンのドライ機能。
実はこれ、単に冷房を弱くして運転しているだけですので、冷たい風がでてきます。
あまり冷たい風を出しすぎると冷房になってしまうため、力をセーブしているのがエアコンのドライです。

 

例えるなら、

 

食べ物(湿気)がたくさんあるバイキングで、
「太ってしまうから(寒くなってしまうから)」
という理由で、食べるのをセーブしているようなものです。


実は、もっとたくさん食べられる(湿気を除去できる)のですが、あえて止めているのです。

 

エアコンのドライ運転や、冷房運転では、湿度は成り行きです。
エアコンのリモコンを思い出して下さい。一般的に温度(℃)の設定はありますが、湿度(%)の設定は無いでしょう。


最近のエアコンは、10年くらい前のエアコンの、2~3倍省エネになっています。
これは、吹き出し口の温度を昔よりも温かくしているからです。
昔のエアコンは、吹き出し口が結露するくらい冷たい風を出していましたが、今はそのようなことはありません。

 

最近、エアコンの省エネ化のため、吹き出し温度を温かくする反面、結露の量が減るために除湿機能が低下してしまうという問題が出てきました。
つまり、昔のように冷房をしても湿度が下がらないのです。

 

省エネ化による除湿量の低下と、湿度コントロールを実現する機能として、最近のエアコンの上位機種には、次に示す「再熱除湿機能」が付いています

 

再熱除湿式のエアコン

一般名称   再熱除湿ドライ
 別の呼び名  寒くならない除湿、さらら除湿、カラッと除湿、フルシーズン除湿
 除湿の方式  冷却方式(結露させる) 
 除湿に必要な熱  冷熱温熱の両方 
 エネルギー効率  150%前後 
 室温の変化  変わらない →

 

再熱除湿とは、エアコンのドライ運転と同様に、結露によって除湿しています。

普通のドライ運転と違うのは、冷たい風を室内に送り込まないよう、外気であたためてから室内に空気を吹き出すことです。
そのため、部屋が寒くならないのに、除湿をすることが出来ます。

 

例えるなら、

食べ物(湿気)がたくさんあるバイキングで、
「太ってもいいから(寒くなってもいいから)たくさん食べてしまおう。後で、スポーツジムに行って、運動して痩せるから(あたためるから)いいわ」
という感じでしょうか。

 

再熱除湿では、普通の冷房やドライ運転と比べて、3倍程度の電気代がかかります。
この電気代のアップを、「空気を暖めているから」と説明しているサイトなどがありますが、間違いです。

 

吹き出し空気を暖めるための熱は、室外機から排出される熱を移動させているだけですので、発熱のための電気代はかかっていません。
これだけで、電気代は3倍にはなりません。

 

電気代がかかる理由は、
「結露の量を増やすために、冷媒の温度を低くしているから」です。
また、熱交換器の面積が、再熱除湿中は半分になってしまうことも、原因の1つです。

 

再熱除湿の除湿量は後で示すように、かなり多いです。
電気代は、エアコンの冷房運転と比べるとかかるものの、除湿機と比べたらずっと高効率。
機械の効率としては、150%程度になります。

梅雨の時期になると、エアコンのドライは電気代を使うかどうか?という記事が新聞などに載ります。

 

確かに、再熱除湿機能のついたエアコンは、一般的な弱運転ドライよりも電気代を使います。

しかしそれでも、除湿機と比べたらずっと高効率です。

なお、再熱除湿機能がついたエアコンのリモコンには、湿度(%)設定ができるものが多いです。
逆に言うと、湿度(%)設定ができるエアコンには、再熱除湿機能が付いています。

 

主なエアコン製造元のうち、再熱除湿機能が搭載されている機種は以下の通りです。

●日立
 Xシリーズ
 Sシリーズ
 Eシリーズ
 (M、Lシリーズは再熱除湿なし)

●ダイキン
 Rシリーズ
 Sシリーズ
 Pシリーズ
(C、Nシリーズは再熱除湿なし)

●富士通ゼネラル
 Zシリーズ
 Sシリーズ
(R、Jシリーズは再熱除湿なし)

●三菱電機
 ZXVシリーズ
 JXVシリーズ
 (BXV、AXV、SVシリーズは再熱除湿なし)

●パナソニック
 Xシリーズ
 Vシリーズ
 Rシリーズ
 (SX、EX、F、Hシリーズは再熱除湿なし)

●東芝
 PDRシリーズ
 PDシリーズ
 (PDX、PV、PDRNシリーズは再熱除湿なし)

●シャープ
 Y-SXシリーズ
 W-SVシリーズ
 (Y-SV、Y-SC、W-SEシリーズは再熱除湿なし)

 

 

デシカント式のエアコン

一般名称   DESICA(デシカ)
 別の呼び名  水配管レス調湿外気処理機
 除湿の方式  吸着方式(乾燥剤に吸湿させる)
 除湿に必要な熱  40℃程度の中温熱
 エネルギー効率  350%~420%前後 
 室温の変化  室温(顕熱)は別の機器で調整


ダイキン デシカDESICA ダイキンから出ているDESICA(デシカ)と呼ばれる機種は、一般向けではなくビル向けの設備ですが、除湿について画期的な商品です。

 

方式としては、商品名から分かるようにデシカント式の装置です。 
しかし、乾燥剤の再生温度が、一般的な80℃以上の半分となる40℃と低温。

 

日本の夏の外気が30℃後半になることを考えると、40℃で再生できるというのはこれが限界。
これ以下にすると、外気37℃~38℃程度の場合に除湿ではなく、湿度を放出してしまうからです。

 

再生にはヒーターを使わず、ヒートポンプ技術を使っています。
そのため、低ランニングコスト。
エネルギー効率は350%~420%ほどで、デシカント式除湿機と比べたら、6倍程度の高効率です。

40℃程度の熱源であれば、夏季の太陽熱温水器でも十分すぎる温度ですから、「太陽熱で除湿」ということも技術的には可能でしょう。 

 

現在はビル用かつ受注生産品のデシカですが、一般エアコン向けの商品が開発されたら、除湿の効率が高くなりそうです。  なんとかなりませんか?ダイキンさん。

 

除湿機とエアコンの、除湿能力の比較

除湿機とエアコンの、除湿能力の比較をしてみます。

 

それぞれ、比較した機種は以下の通りです。
価格.comのランキングで人気があり、Webサイト上で情報が細かく載っている機種を元に選んでいます。その他の細かい理由はありません。

 再熱除湿エアコン:日立 RAS-X40Y2
 コンプレッサー式除湿機:CORONA CD-Hi185
 ゼオライト式除湿機 :三菱 MJ-Z70DX

 

まずは1日当たりの除湿量の比較です。
エアコンとコンプレッサー式除湿機の除湿能力は、室温27℃・湿度60%のものですが、ゼオライト式(デシカント式)除湿機の除湿能力は、(他社でも)室温20℃・湿度60%での条件と、基準が異なっています。

 

ゼオライト式(デシカント式)除湿機は、発熱量が多いので、27℃の環境で使うことはないということでしょうか。(室温が30℃を超えてしまうため)

 

この計測条件の違いから、ゼオライト式(デシカント式)除湿機と他の機種を直接比較するのは無理がありますが、参考まで。

1日当たりの除湿量の比較

これを見ると分かりますが、エアコンの除湿能力は除湿機よりも圧倒的です。

除湿を考えるなら、普通の除湿機よりも再熱除湿機能が付いたエアコンが有利です。

 

しかしこのグラフには消費電力がありませんので、消費電力で除湿量を割ると以下のグラフになります。

 

消費電力1W当たりの除湿量[mL]

これを見ても、再熱除湿エアコンが、一般向けの除湿装置としては最も高効率であることが分かります。

エアコンよりも除湿機の方が消費電力が低いと思われていますが、除湿機は効率も低いため、単位電力当たりの除湿量も悪いのです。

 

ちなみに、先に出たDESICA(デシカ)や、普通のエアコンの冷房運転は、再熱除湿のさらに 2.3倍以上の効率ですから、普通の除湿機とは、比較にならないくらいの高効率です。

 

除湿機とエアコンの、除湿に関するまとめ

除湿機とエアコンの、除湿に関するまとめをすると、以下のようなことが言えます。

  • 一般に「除湿は除湿機」と言われますが、効率・能力、ランニングコストいずれでも、エアコンが除湿機を上回ります。
  • 除湿について聞いたとき、単純に除湿機を薦めてくる建築関係者には注意しましょう。エネルギーについて疎い可能性があります。
  • エアコンは非常に優れた除湿機です。
  • エアコンが設置できる場所については、除湿機よりもエアコンを使って除湿するのが理想です。
  • エアコンのドライ運転が、冷房よりも電気代が高いか安いかは、再熱除湿を使っているかどうかによります。
  • 再熱除湿運転は、除湿として考えると高効率ですが、冷房としてはコストが高くなります。暑い場合には、再熱除湿運転のドライではなく、弱冷房運転のドライが良いでしょう。
  • 洗濯物を室内干しする部屋には、再熱除湿機能が付いたエアコンを選ぶことをオススメします。除湿機よりも早く洗濯物が乾きます。
  • 再熱除湿機能が付いたエアコンは、各社から販売されています。

 

このエントリーの参考資料
 室内環境と湿度 ~効果的な除湿とは~ 九州芸術工科大学 客員教授 北原博幸[PDFファイル]

「こんな光熱費はありえない」RC外断熱の居住者から

2009年07月30日

約1年前にお引渡しが終わった、過去のご依頼者からメールを頂きました。

 

外断熱の施工風景 物件は、都内に建つ鉄筋コンクリート(RC)外断熱。
断熱材の厚みは80mm前後(外壁仕上げにより異なる)、サッシはオール樹脂のLow-Eペアガラス。
右の写真は、当時の施工の様子です。

 

こちらの物件は当初、普通の内断熱の建物でしたが、弊社にご相談いただいたことで、(ごり押しで?)外断熱に変更となりました。 

 

メールによると、1年点検を行なった際、設計者にガス・電気代をお伝えすると、ビックリされたとのこと。
「この光熱費はありえない(ほど安い)」
とおっしゃっていたそうです。

 

物件の床面積が普通の一戸建ての4棟分くらいありますので、絶対的な金額だけで見ると普通の一戸建てより高いものの、1平方メートル当たりの光熱費で考えると安め。

100m2の一戸建てに換算すると、電気とガスの光熱費が、8月で10,000円未満、冬の1月で 12,000円未満に収まることになります。
ちなみに現在、暖房はガスの床暖房がメインになっています。設備の更新の際、暖房の熱源をガスからヒートポンプ温水器にすることでもっと安くなるでしょう。

 

外断熱を採用したことで、建築費のアップにはなりましたが、光熱費の削減、建物の耐久性の向上、快適性の向上という面で、大きなメリットになったのではないでしょうか。

 

RC外断熱を採用して頂いたご依頼者、設計者、施工者に感謝します。

暑い夏の内覧会ですが・・・。床下暖房用のガラリ

2009年08月16日

渋谷区で、一戸建て 工事現場 施工品質チェックの内覧会立会いへ。

 

日曜日かつ、お盆休みということで、道路はスイスイ。
いつもこんなに空いていと助かるのですが。

 

天気は快晴。
気温は高いものの、湿度が低めで過ごしやすい。

 

床下暖房のガラリ 写真は、床下暖房用のガラリ。
この下に放熱器が置いてあり、自然対流によって暖かい空気が回ります。


この物件で床下暖房を薦めた訳ではありませんが、過去のご依頼者の物件で採用して頂いた経験から、こちらの業者さんが採用して下さいました。

 

真夏のチェックではありますが、冬は暖かいと思います。
ガスがまだ開通していないため、実際のテストは後日になります。

大きすぎるエアコンは非効率

2009年12月04日

建物の省エネルギーを進めていくと、個別エアコンを各部屋に配置した場合、「エアコンの能力が大きすぎる」という問題に、必ずぶつかります。

 

建物の保温性を高めていくと、エアコンのカタログ値に書かれている面積の、2~3倍程度は、簡単に冷暖房できてしまうからです。

 

例えば一般市販のエアコンで最も小さな能力のものは、2.2kWという能力のものです。ちなみにこのエアコンの定格は通常、冷房能力で決まることが多く、暖房能力はこれを超えます。
そのため、2.2kWのエアコンでも、暖房能力は2.5kW程度出ます。

 

省エネに詳しい建築関係者が、できる限り建物や部屋の負荷に応じた小さなエアコンを選びたいのに対し、家電量販店などの販売員は、できる限り能力の大きなものを売りたがります。

建物そのものの省エネに詳しくないこともありますが、大きなものを売った方がクレームは少なく、利益も上がるからです。

 

しかし、冷暖房負荷に対して大きすぎるエアコンは、稼働率が下がり、効率の面で不利になります。

 

独立行政法人 建築研究所
住宅にかかわる省エネルギー手法の可能性
環境研究グループ  上席研究員  桑沢  保夫
http://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h19/panel/1.pdf


一部抜粋します。
同じ能力のエアコンを、居間と寝室に設置して、効率を比較した実験に関するものです。

 

居間で測定した結果は、カタログ性能程度と見ることが出来るが、寝室で測定した結果は、平均的にはカタログ性能の半分も出ていないと言うことがわかった。
これは、エアコンの性能が、外気温だけではなくて、そのときの負荷にも影響されているためである。
寝室は居間に比べて面積も小さく、また使用時間帯は外気温の低い夜間が多いため、冷房負荷が小さかったのに対して、設置されたエアコンの能力が大き過ぎたために、その能力を十分に発揮できるような領域ではなくて、より小さい負荷で動く時間が長くなり、結果的に低い効率しか出せなかったのである。

上記PDFファイル 9ページ目

 

この資料には、この他にも技術者としての本音がズバズバ書いてあり、個人的に読んでいても面白いです。

 

従来の(ヒートポンプ式でない)電気温水器について

ちなみに、ノルウェーなどのように水力発電等の比率が高くこの係数が非常に小さい国であればともかく、我が国において電気温水器を使用してしまうと、それだけで通常の家庭で消費する一次エネルギーすべて、もしくはそれ以上に相当する量を使ってしまうことになるため、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減の面からは、最悪の選択肢である。

上記PDFファイル 5ページ目


電気式の床暖房について

なお、電気ヒータで水を直接加熱して床暖パネルに流すタイプもあるが、これも電気温水器と同様、二酸化炭素排出量削減および省エネルギーの面からは論外である。

上記PDFファイル 10ページ目

 

全く同感です。


「一次エネルギー」という評価で考えると、深夜電力を使った従来型の電気温水器、電気直焚きの蓄熱暖房、電気をそのまま熱に変える床暖房や、電気ヒーター(ハロゲンヒーター)というのは、絶対的に不利です。

 

私はこれからの時代、

「熱は作るものではなく、移動させるもの」

だと考えています。

従来型の電気温水器、電気直焚きの蓄熱暖房、電気ヒーターはいずれも熱を作るもの。
省エネルギー性に優れたものは、エコキュート、エアコンのように熱を移動させる装置です。

 

話がずれましたが、エアコンの選定は適切に。

輻射冷房のギモン

2010年02月18日

パネルヒーター形の、輻射冷房について調べています。
15℃~20℃の冷水を流して、輻射冷房するというもの。

 

しかし、素朴な疑問。
冷水温度 15℃という温度が高すぎないか?

 

ファンコイルを使った冷房では、冷水の温度は10℃以下。
そのくらいの冷水を使わないと、空気中の水分を結露させることが出来ず、湿度が下がらないから。

露点温度表によると、15℃の冷水で温度と湿度をコントロールできる環境は、表の青色の範囲のみ。

露点温度表
露点温度表

湿度をできるだけ落とした場合、27℃・50%までは実現可能。

 

ただし、この条件の不快指数は74.4となり、判定は、
「暑くない」というレベル。
「快適」とされる、不快指数65~70の範囲からは外れます。

 

温度を1℃下げ、26℃・50%という環境にするためには、冷水温度を14.8℃より低くする必要があり、15℃の冷水では実現できません。

 

いつもお世話になっている、ある設備設計者にこの件を相談。

 

「以前、採用したことがあるが、湿度が下がらなくて困った」という話。
やっぱり?結局、除湿機を入れたら快適になったとか。

 

ちなみに、製造元に問い合わせると、技術データは一切非公表。
なんだかなぁ。

ヒートポンプ+LPガスでハイブリッド給湯暖房

2010年03月10日

ヒートポンプ+LPガスでハイブリッド給湯暖房

エア・ウォーター・エネルギー(株)は、電気熱源の空気熱ヒートポンプに、LPガス熱源のエコジョーズを組み合わせ、外気温に応じて最適な運転モードを選択する、ハイブリッド給湯暖房システムを発売した。

システムは、負荷の小さい春秋は、ヒートポンプ100%で暖房し、厳寒期にはエコジョーズ100%で暖房するもの。
CO2排出量は、オール電化や灯油熱源と比べて、25~43%削減できるという。

http://bit.ly/9RJX8S

商品の写真を見ると、ヒートポンプには三菱電機のエコヌクールが使われているようです。

 

エコヌクールは、氷点下25℃まで対応していますが、ヒートポンプの特性上、寒くなるほど効率は落ちてしまいます。

 

この商品は、寒くなる時期には、LPガスを燃焼させるエコジョーズを使って暖房するというもの。

 

初期コストは灯油セントラルや、電気温水器を使うオール電化と同等で、ランニングコストは灯油セントラルと比べて1割ほど安いとされています。

なかなか面白いと思います。

 

「本当!?」と言われるかも知れませんが、同じアイデアは私にもありました。

 

エコヌクールを使った温水温度は、55℃が最大ですが、パネルヒーターを使った場合、厳寒期には、あと+10℃ほどあると、設計上も運用上も助かると思っているからです。

 

エコヌクールで得られた温水を、65℃まで上げるのは灯油ボイラーなどを補助的に使えば簡単です。
しかし、システム上、帰りの温水温度をエコヌクールで計測しているでしょう。
その為、行きの温水温度よりも、帰りの温水温度が高くなってしまうと、エラーになってしまい、単純に組み合わせるのはNGだと思っていました。

 

今回の商品は、どのように実現しているのか詳細は分かりませんが、その部分の問題をクリアして、商品にしているようです。単純に、配管を完全切り替えかも知れませんが。

 

エコジョーズは、潜熱回収型と呼ばれる、ガスの給湯器です。
ガスではなく、灯油の潜熱回収型給湯器は、エコフィールと言います。

 

LPガスを使うより、灯油を使った方が安上がりになると思いますが、
エコフィールでは、暖房用の良い商品が出回っていません。
(給湯用のものは複数あり)

 

暖房用のエコフィールが出ると、厳寒地ではエネルギー効率が高くなって、良いと思うのですが。

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