先月軽井沢に行ったとき、星のやに寄る機会がありました。(泊まった訳ではありません)
星のやは、企業再生のカリスマとして知られる、星野佳路さんが代表を務める星野リゾートの宿泊施設の1つで、以前にNHKのプロフェッショナルの流儀でも取り上げられました。
以前から、この施設は見てみたいと思っていました。
なぜなら、星のや 軽井沢は、環境への取り組みに積極的であることを知っていたからです。
星野リゾートの社内か、あるいはサポートする会社に、建物や設備の省エネルギーに詳しい人が居るのは間違いないと思っています。
まず、星のやでは、送迎などの車に使うガソリン以外、灯油や石油などを一切燃やしていません。
厨房用のLPGは使っているものの、暖房や温泉温度の管理には、地中熱のヒートポンプを使っています。
一般的なホテルや宿泊施設は、暖房に重油や灯油を燃やしていますので、大きな違いです。
ヒートポンプはエアコンで一般的です。
エアコンで暖房する場合、外気の温度利用していますが、外気温が下がるほど効率が下がってしまいます。
しかし、地中であれば、真冬の時期でも氷点下になることはありませんので、効率が保てます。
星のやでは、地中から熱を取り出すための井戸が深さ400mあり、取り出す温度は25度のようです。
外気温度と比べると、かなり有利です。
400mもの井戸を掘るとかなりのコストがかかるので、初期費用の面から地中熱ヒートポンプは一般的には使われません。
しかし星のやは、宿泊施設+温泉という熱需要がとても多い建物ですので、投資回収費用は、わずか約 2年。
初期費用がかかっても、すぐに回収できてしまうということです。
2年を経過した後は、一般的な灯油や重油でのボイラーで運転した場合との差額が、そのままコストダウンになります。
ヒートポンプは、地中熱だけでなく、温泉の排湯でも使われています。
これは、流し終わったお湯を、そのまま捨てるのではなく、排湯槽にお湯を溜めてヒートポンプで熱を奪った後、捨てるというもの。
放流温度が下がりますので、河川の環境保護にも役立ちます。
排湯は40℃近くありますので、外気を利用するヒートポンプよりもさらに有利です。
星のやの建物を実際に見たのは、少しだけなのですが、建物そのものの省エネに配慮していると分かるのが、右の写真。
枠は木製。そして、サッシはトリプルガラスです。
風除室でさえ、Low-E ペアガラスが使われていました。
全部を見たわけではありませんが、南側は日射取得を増やすためにトリプルガラスにしているのかも知れません。
余談ですが、このサッシ部分、木製の枠部分と、水切りの板金の位置関係が間違っているような・・・。
もう1件、星野リゾートで凄いと思ったのが、北海道 トマムにあるツインタワーの外断熱改修。
2004年に星野リゾートが、このツインタワーを含む、アルファリゾート・トマムの経営を引き継いだ後、外断熱に改修してしまいました。
その理由は、築後15年以上を経過し、外壁のプレキャストコンクリートの凍害被害が大きくなり、タイルの剥落などが起き、年間の補修費が700~1,000万円かかるからだとされています。
そもそも、氷点下 -30℃になる地域に、内断熱の仕様を採用した当初の設計もどうかと思いますが、全て外断熱に改修してしまった星野リゾートは立派だと思います。
ちなみにこの改修で、暖房負荷は30%減、修繕コストは30年間で 4億5,000万円の減になるそうです。
星野リゾートの他の施設において、どのような取り組みが行なわれているのか分かりませんが、他のリゾート会社でも、同様の取り組みを行なっていただきたいものです。
参考リンク
温泉排湯熱・地中熱ヒートポンプ利用 星のや軽井沢
http://www.zeneral.co.jp/pdf/hoshinoya.pdf
ゼネラルヒートポンプ工業(株) 温泉排湯利用ヒートポンプシステム
(星のやのケースは19ページ目)
http://www.geohpaj.org/information/doc/shiba.pdf
エネルギーは足下にある 地中熱という膨大な資源を活用せよ
http://www.thinktheearth.net/jp/thinkdaily/report/rpt_26.html
星のや エネルギー設計 松沢隆志さん
http://www.hoshinoya.com/concept/energy.html
「トマム」の象徴、超高層ツインタワーが鮮やかに変身
http://www.nikkeibp.co.jp/news/const08q2/575932/
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