横浜で、スーさんと安彦さんと、中古物件の一戸建て建物調査へ。
オーダーフォームには、「換気システムが導入されているため、換気システムに詳しい方希望」とあったため、どんな物件なのかと思っていました。
物件は、築10年超。
ご依頼者が購入され、どこをメンテナンスしたら良いのか?というご依頼です。
床下は、高いところで80cm。これはとても立派。
基礎断熱にしており、土台も乾燥しています。(個人的には床断熱工法よりも基礎断熱工法に大きなメリットを感じています。)
床下には何やら大きな装置が。ムムム、換気装置はこれか。ちょっと難しそうなので後回し。
床下には、基礎のひび割れがありました。
しかし、ここでおっ!と思ったのが、前の住人の方が記入していた、ひび割れの計測年月日。
ひび割れの端部に、計測年月日が書かれています。
ひび割れだけでは、いつに入ったものなのか分かりませんが、これならバッチリ!
10年以上前からひび割れは伸びていませんので、これは大丈夫。
床下には、床下の木材含水率や、湿度を記録したシールも貼ってありました。
ご依頼者の手元の資料には、建築中の写真もありました。
住宅の履歴が残っていると、調査も楽です。
次に小屋裏。
2階にある換気装置のスイッチを入れると、小屋裏からウィーンという音がします。
小屋裏には、「これか、換気装置は」という、とても大掛かりな換気装置。
150mmと50mmのダクトが、小屋裏の7割以上を占めている印象です。
最近の一戸建てに入っている全館空調よりも大掛かり。
換気装置には、熱交換器がいくつか。
いずれも、合板で箱を作ったお手製。合板の固定はビス。
熱交換器の手前には、予備のフィルターもあります。紙製のフィルタであることから、全熱交換です。このフィルター、1つ3~4万円ほどするということ。
しかし、数十本のビスを外さないと交換できません。
このような熱交換器が複数あるので、メンテナンスの手間もコストも大変そうです。
換気装置の奥を見てみると、合板に囲まれたエアコンが!
これで、全館空調するつもりだったのでしょうか。
でも、残念ながら、物件の面積と性能に対してエアコンの能力が小さすぎます。
調査を進めていくにつれて、前の所有者の住まいへのこだわりがわかります。
家には、温度計測用の配線が30箇所近く配置されていました。データを集めていたのかも知れません。
しかし、「この家は温かくならない」と悩んでいた感じが伝わってきます。
シングルガラスを強化するための、二重サッシ。
自分で貼ったと思われる、基礎部分の断熱材。
追加されたエアコンなどです。
この物件の熱交換が入った換気システムが上手くいかない理由は、工事中に撮影された写真から分かりました。
そもそも、建物の断熱性能が十分ではなかったのです。
建物の省エネ化には換気装置に熱交換を入れるのが重要だと思っている方が多い思いますが、私の中では重要度は下。
サッシ、壁、天井、床などに予算を重点配分して、余った場合に入れる程度で良いと思っています。
面倒な話は省きますが、そもそも建物の気密性能が出ていないと、熱交換装置は有効に働きません。
「熱交換装置が有効なのは、給気口から入ってきた空気のみ」という本質的な部分です。
そのため、C値が5cm2/m2とか、2cm2/m2程度の気密性能では、まだまだ熱交換装置は有効に働きません。ほとんどの空気は、熱交換器を通らずに室内を出入りしているからです。
こちらの物件では、壁の断熱は外張り断熱ですが、厚みはわずか25mmのポリスチレンフォームで、性能の高い3種ではなく1種でした。
サッシは、アルミサッシ+シングルガラス。Q値(熱損失係数)は、4を超えていると思います。
結果として、熱の逃げる量は、換気によるものよりも、壁やサッシからの方が圧倒的に多く、換気装置にたくさん熱交換を入れても効かなかったのです。
この物件の換気による熱損失は、建物全体の2割にも満たないでしょう。
新築当時、このお手製換気装置には300万以上はかかっていたと思います。。
現在、山武やダイキンのメーカー製全館空調を入れたとしても、こんなにかかりません。
新築当時、換気装置に使った費用を、サッシや壁などの断熱材に使っていてくれたら・・・。
問題は調査の後。
まずは使っていない配管やエアコンを小屋裏から撤去。
換気装置も単純化できるので、交換したら小屋裏はずっとシンプルに。
しかし、今ある換気ダクトの、どれが不要でどれが必要なのか、見極めるだけでも大変そうです。
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