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住宅の履歴と、住宅の設備にこだわった家の、設備寿命後

2009年02月01日

横浜で、スーさんと安彦さんと、中古物件の一戸建て建物調査へ。

 

オーダーフォームには、「換気システムが導入されているため、換気システムに詳しい方希望」とあったため、どんな物件なのかと思っていました。

 

物件は、築10年超。
ご依頼者が購入され、どこをメンテナンスしたら良いのか?というご依頼です。

 

床下は、高いところで80cm。これはとても立派。
基礎断熱にしており、土台も乾燥しています。(個人的には床断熱工法よりも基礎断熱工法に大きなメリットを感じています。)
床下には何やら大きな装置が。ムムム、換気装置はこれか。ちょっと難しそうなので後回し。

 

 床下には、基礎のひび割れがありました。
しかし、ここでおっ!と思ったのが、前の住人の方が記入していた、ひび割れの計測年月日。

ひび割れの端部に、計測年月日が書かれています。 

 

ひび割れだけでは、いつに入ったものなのか分かりませんが、これならバッチリ!

 10年以上前からひび割れは伸びていませんので、これは大丈夫。
床下には、床下の木材含水率や、湿度を記録したシールも貼ってありました。


ご依頼者の手元の資料には、建築中の写真もありました。
住宅の履歴が残っていると、調査も楽です。

 

次に小屋裏。
2階にある換気装置のスイッチを入れると、小屋裏からウィーンという音がします。


小屋裏には、「これか、換気装置は」という、とても大掛かりな換気装置。
150mmと50mmのダクトが、小屋裏の7割以上を占めている印象です。
最近の一戸建てに入っている全館空調よりも大掛かり。

 

 換気装置には、熱交換器がいくつか。
いずれも、合板で箱を作ったお手製。合板の固定はビス。

 

熱交換器の手前には、予備のフィルターもあります。紙製のフィルタであることから、全熱交換です。このフィルター、1つ3~4万円ほどするということ。


しかし、数十本のビスを外さないと交換できません。
このような熱交換器が複数あるので、メンテナンスの手間もコストも大変そうです。

 

換気装置の奥を見てみると、合板に囲まれたエアコンが!
これで、全館空調するつもりだったのでしょうか。
でも、残念ながら、物件の面積と性能に対してエアコンの能力が小さすぎます。

 

調査を進めていくにつれて、前の所有者の住まいへのこだわりがわかります。
家には、温度計測用の配線が30箇所近く配置されていました。データを集めていたのかも知れません。

 

しかし、「この家は温かくならない」と悩んでいた感じが伝わってきます。

 

シングルガラスを強化するための、二重サッシ。
自分で貼ったと思われる、基礎部分の断熱材。
追加されたエアコンなどです。

 

この物件の熱交換が入った換気システムが上手くいかない理由は、工事中に撮影された写真から分かりました。

そもそも、建物の断熱性能が十分ではなかったのです。

 

建物の省エネ化には換気装置に熱交換を入れるのが重要だと思っている方が多い思いますが、私の中では重要度は下。
サッシ、壁、天井、床などに予算を重点配分して、余った場合に入れる程度で良いと思っています。

 

面倒な話は省きますが、そもそも建物の気密性能が出ていないと、熱交換装置は有効に働きません。
熱交換装置が有効なのは、給気口から入ってきた空気のみ」という本質的な部分です。

 

そのため、C値が5cm2/m2とか、2cm2/m2程度の気密性能では、まだまだ熱交換装置は有効に働きません。ほとんどの空気は、熱交換器を通らずに室内を出入りしているからです。

 

こちらの物件では、壁の断熱は外張り断熱ですが、厚みはわずか25mmのポリスチレンフォームで、性能の高い3種ではなく1種でした。

サッシは、アルミサッシ+シングルガラス。Q値(熱損失係数)は、4を超えていると思います。

 

結果として、熱の逃げる量は、換気によるものよりも、壁やサッシからの方が圧倒的に多く、換気装置にたくさん熱交換を入れても効かなかったのです。

この物件の換気による熱損失は、建物全体の2割にも満たないでしょう。 

 

新築当時、このお手製換気装置には300万以上はかかっていたと思います。。
現在、山武やダイキンのメーカー製全館空調を入れたとしても、こんなにかかりません。

 

新築当時、換気装置に使った費用を、サッシや壁などの断熱材に使っていてくれたら・・・。

 

 問題は調査の後。
まずは使っていない配管やエアコンを小屋裏から撤去。

 

換気装置も単純化できるので、交換したら小屋裏はずっとシンプルに。
 

 

しかし、今ある換気ダクトの、どれが不要でどれが必要なのか、見極めるだけでも大変そうです。

「防災センターでも作るつもりですか?」耐震等級に関する意識の違い

2009年02月08日

午前中に、一戸建ての契約事前相談

 

ご依頼者は、昨年にも契約事前相談をご利用された方。
以前の施工業者さんとは別の業者さんでの、物件検討でした。

 

高い耐震性を欲しいとご希望のご依頼者。
以前検討していた業者さんに、「耐震等級 3でお願いします」と伝えたところ、

「うちは標準で、耐震等級は1です。防災センターでも作るつもりですか?

というようなことを言われ、その業者さんで建てるのはやめました。

 

マンションと違い、2階建ての一戸建てであれば耐震性を高めるのが容易。
大手ハウスメーカーでは、耐震等級 3が普通。

 

今日のご依頼者も、建築する業者さんを大手ハウスメーカーに変更。
何も言わなくても当然のように、耐震等級3になりました。

 

大手ハウスメーカーの一戸建てであれば、耐震等級 3が常識。
しかし、中小の建設会社・工務店は、住宅性能表示制度を利用すること自体が少ないので、耐震等級は1が常識。

 

同じ「常識」であっても、組織や作っている物によって「常識」の尺度は違います。

 

このまま工事請負契約に進めば、耐震等級 3になっていることにより、地震保険は30%の割引。
省令準耐火のため、火災保険は当初検討していた業者さんよりも、ずっと割安。
そして、今回のご相談の結果、換気システムやエアコン能力の見直しを行うことで、数十万円の減額になりそうです。

 

ちなみに、以前検討していた業者さんのホームページを見ると、耐震性が高いという旨が書いてありました。
耐震実験として、建物の上にたくさんの人や車を載せたとしても、そもそも地震力は水平力ですから、人や車を載せた鉛直荷重と直接関係ありませんよね?

地震の力は横から。
人や物を載せる載荷実験は上からの力で、力の向きが90度違います。 

 

普通の木材の柱は、10cm角でも、6トンくらいは普通に耐えられます。つまり、柱1本に100人近くが乗ったとしても大丈夫。
イナバの物置は、100人乗っても大丈夫と言っていますが、理論的には木の柱1本でも、100人くらいは大丈夫です。

 

普通の一戸建ての柱は、1階当たり数十本の柱で支えますから、2階の床の上に満員電車のように人が乗っても、潰れて壊れることはありません。
また、車を何台も乗せられたからといって、耐震性が高いという理由にもなりません。

 

 

 2階の床組みを強くするのは耐震性に効果がありますが、1階の床組みを細かく強固にしたとしても、耐震性に大きな効果はありません。
1階の場合、床組みの約40cm下には、木造よりもはるかに強固なコンクリートのベタ基礎があります。どれだけ1階の床組みを木造で強くしても、コンクリートには勝てっこ無いからです。
1階の床組みにこだわるよりも、アンカーボルトを細かく入れて、強度の高い基礎コンクリートに力を伝える方が効果があります。

 

耐震性について、どこか力を入れるポイントを誤っているような気がしてなりません。

 

速い車を作るために良いエンジンは欠かせませんが、良いエンジンだからといって車が速いとは限りません。
住まいも同じで、高い耐震性のために良い材料は欠かせませんが、良い材料を使っているからといって、耐震性が高いとは言えません。
全てをトータルで考える必要があります。 

 

話がずれましたが、3月31日まで、生活防衛応援キャンペーンとして、契約事前相談契約後相談マンション管理相談リフォーム相談を、大幅割引中です。

様々なことを迷っている方は、この機会にぜひ。

フェノバボード-フェノール系の新しい断熱材

2009年02月10日

一戸建て品質チェックのコンクリート打設立会いを終え、フェノバボードと呼ばれる新しいフェノールフォーム系の断熱材の新商品発表会+改正次世代省エネ基準の講演会に行ってきました。

新商品の発表時間は、最後の30分程度で、あとは改正される次世代省エネ基準の解説や対談など。

 

講師は東京大学の坂本雄三教授と、断熱関係の著書で知られる南 雄三さん。

南 雄三さんの著書は何冊も手元にあり、建築技術という専門誌でもよく記事を目にします。
しかし、お話を聞くのは初めて。南さんのトークはなかなか面白かったです。

南さんの著書や記事で凄いと思うのは、断熱の歴史の流れや、工法の移り変わりなどの物事を上手く図示化されているということ。
建築技術に載っている記事を見ると、いつもそう思います。

 


南 雄三さんは、外部から見ると外張り断熱を薦めるスタンスですので、充填断熱を基本とする、室蘭工業大学の鎌田先生によく怒られるとおっしゃっていたのが面白かったです。
「そうだろうなぁ」という印象で。。。

 

フェノール系の断熱材は、これまで旭化成のネオマフォームがほとんど。
フェノール系断熱材のデメリットの1つに、「濡れると酸性を示す」というものがあります。

 

酸性ということは、ビスやクギが錆びやすくなるということです。
ロングライフを謳っている鉄骨プレハブ系のハウスメーカーは、このフェノールフォーム断熱材を鉄骨に密着させて使っていますが、「雨漏り、水漏れなどが起きた時に大丈夫なのか?」と思っています。
私は心配性なので、私が設計するとしたら密着させることはせず、鉄骨との間に何かを挟むでしょうね。

 

この問題から、鉄骨で外張り断熱を採用された過去のご依頼者には、フェノールフォーム断熱材ではなく、AFボードというウレタン系断熱材の採用をオススメしてきました。

今回発表されたフェノバボードは、この問題をクリア。
pH値は6ほどだということですので、他の断熱材と変わりません。

 

断熱材自体がもろい という問題はクリアされていませんが、酸性度の問題がクリアされたのは、大きなメリット。
ネオマフォームは、何らかの対策をしないと、シェアを取られてしまうでしょう。

前に勤務していた会社の方も会場に2名みえ、いろいろと話しましたが、既にネオマフォームからフェノバボードに切り替えたということでした。
ネオマフォームの濡れると酸性という物性に対処するため、ビスに耐錆性の高いものを採用していたくらいですから、その問題点が解決できる同じ種類の断熱材であれば、当然かも知れません。

ガラスの結露判定 エクセルシート。ペアガラス、Low-Eガラスの判定に

2009年02月14日

ご依頼者への説明などを兼ねて、ガラスがどんな室内・屋外条件で結露するのか、シュミレーションのエクセルファイルを作ってみました。

ガラスの結露判定

 

室内の温度と湿度、ガラスの種類、外気温度を選択または入力することで、ガラスが結露するか判定できます。

結露の判定は、ガラスのみで、枠部分の判定はできません。

結露する量の目安も表示されますが、これはあくまで参考です。

 

結露判定の計算式は、以下のサイトに掲載されたものを元にしています。

セントラル硝子株式会社 板ガラスの設計技術 板ガラスの表面結露
 http://www.cg-glass.jp/pro/sub_technique/

 

↑参考にしておいて言うのも何ですが、このPDF資料における「室内空気露点温度表」の、30℃-30%の数値 18.3℃は間違っています。29℃-30%の値と大きく違うことからも明らかです。

 

ファイルは以下のURLからダウンロードできます。
ファイルはエクセルファイルで、マクロは使っていません。
(マクロ(VBA)を使うともっと色々できますが、この計算のために実行の警告がでるのが面倒なので・・・。)

 

 

項目を変更できるのは、黄色い背景で枠が赤色になっている4箇所です。

 

サッシの種類は、シングルガラス(単板ガラス)、ペアガラス、Low-Eペアガラス、真空ガラス(スペーシア)が選べます。 

計算などに間違いがあったら教えてください・・・。

 

項目をいろいろ入力してみると分かりますが、室内環境を快適にしつつ、シングルガラス(単板ガラス)で結露を防ぐのは難しいです。

 

また、外気温度と室内の条件によっては、ペアガラスでも結露するのが分かります。ペアガラスは万能ではありません。
ペアガラスにLow-Eコーティングを入れると、結露が生じる外気温度は低くなります。

 

真空ガラス(スペーシア)の性能は抜群です。
最も高いグレードの場合、氷点下50℃でも結露しないのですから。

 

ちなみに、東京の最低気温平年値は 2.1℃、大阪は 2.5℃、福岡は3.2℃です。 入力のご参考に。

お住まいの地域における過去の気象データを調べるには、気象庁のサイトが便利です。

気象庁 過去の気象データ検索
 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

移動が多い1日。内覧会、配筋検査に構造計算のピアチェック

2009年02月19日

一戸建て品質チェックの最終段階となる内覧会の立会いのため、八千代市へ。

 朝9時開始のため、早起きしての出発。幸い、高速道路はあまり混んでおらず。

 

現場にお伺いすると、今回の物件の現場監督さんだけでなく、以前担当した物件の現場監督さんもみえました。

 

「お久しぶりです」と、その現場監督さん。
思い出してみると、もう3年前の物件です。時が経つのは早いもの。

 

内覧会では、共通事項で火災報知器の取り付け位置の間違い。
壁から近すぎたり、エアコンの吹き出し口から近すぎたり。

 

内覧会が終わったあとは、松戸市の一戸建て品質チェック現場に内装下地の確認へ。
お昼の休憩時間でしたが、大工さん2名は休憩時間を返上して作業されていました。

現場では、サッシの部材が無いのが2箇所。
網戸を後日取り付けにくるということですので、そのときに気が付くでしょう。

 

現場を後にして、都内は目黒区で一戸建て品質チェックの配筋検査。

現場監督さんと会うのは1年半ぶりくらい? 
以前、別の現場を担当された監督さんなのです。


今日の現場は、職人さんがたくさん。
あちこちで作業しており、作業の邪魔にならないよう、配筋の確認です。

スラブ配筋が未済でしたが、次の打ち合わせの時間が迫っていたため、明日の確認に。

 

次の打ち合わせは北区に近い豊島区。
3号線は順調でしたが、中央環状線が帰りの渋滞。
5号線で行くのはあきらめ、下道で。

 

打ち合わせは内容は、設計コンペの物件で行われた、構造の第三者チェック(ピアチェック)の、指摘事項確認。
打ち合わせは、私と構造設計事務所の方2人、そして、コンペで決まった会社の構造担当者1名。

 

日本では木造の建物が最も多く建てられていますが、実は木造の構造に詳しい人というのは少数。
ほとんどの物件は、壁量計算という小学生でもできるような簡単な計算のみしか行っていません。(それでも、間違えていたり。ケース1ケース2

 

コンペで決まった会社の構造担当者の方は、過去に行った物件でお付き合いがあるのですが、木造に詳しい方なのでとても助かります。

 

ピアチェックをお願いしている構造設計事務所も木造で有名なところ。
「ここで見てもらえば間違いない」と私が思っているところです。
コンペで決まった会社の構造担当者も、所長さんのお名前をご存知でした。
建築の専門誌でよく目にしますものね。

 

ピアチェックを行った構造設計事務所による指摘事項も、納得できる根拠を出して頂き、ホッと一安心です。

 

耐震等級3 せん断力係数0.30 許容応力度構造計算+耐震等級3+第三者の構造設計事務所によるピアチェック+さくら事務所の現場チェックの組み合わせ。

兵庫県南部地震クラスの地震でも、倒壊してしまうようなことはまず無いでしょう。

 

移動が多い1日でしたが、大きなトラブルなく終えることができ、良かったです。

また、うるさいのが来やがった

2009年02月26日

午前中は、都内のツーバイフォーの物件に、新築一戸建ての内覧会(竣工検査)立会いへ。

 ご依頼者とは、着工前に何度かご相談頂いています。その段階で間取りの変更も行い、今の形に近くなっています。

 

現場には、ご依頼者の他、現場監督さんと設計者の方。
外部では駐車場部分の工事が行なわれています。

 

浴室が2階にあるため、1階の点検口から浴室の配管付近を見てみると、石こうボードが壁面に張り上げてない?天井部分で止まっています。
ここは都内の準防火地域。設計図を見ると、耐力壁になっている部分なので、耐火と耐力、どちらの面でもNG。

クロスや天井を剥がして、この部分の石こうボードはやり直しです。

 

廊下ではコンセントがクロスで隠れたままになっている箇所も。
「この間、さくらさんのどなたかの日記に書かれていたケースですね」とご依頼者。よくご存知で。
配線は来ていたので、コンセントプレートを取り付ければOK。

その他では、火災報知器の位置が壁から近すぎるなどの指摘がありました。

 

現場を後にして、南に移動。
工事中の、一戸建て品質チェックの現場に向かいます。

 

現場は、土台敷きの段階。
作業している大工さんをふと見ると、以前の現場でお会いしたことのある、面白い大工さんです。

 

あっ!と思うとあちらも気が付いたようで、顔がニタ~~ っと。

 

そして、「また、うるさいのが来やがった」と、笑いながら言いました。

 

「寂しがるといけないので、たまには見ておかないと」

 と反論(?)

「寂しくなんかねぇよ」

と大工さん。
この辺りの掛け合いは慣れたもの?

 

2年前にお会いした時に56歳だったこの大工さん。再来年還暦ですか。
一番下のお子さんは当時6歳だったので、今はまだ8歳。

この大工さんが2年前に悩まれていた、子供部屋の件。次回行ったときに聞いてみたいと思います。

いろいろ面白いことを言ってくる大工さんですが、以前の現場でも工事には問題なかったので、頼りにしてます!

金物工法の建て方

2009年02月28日

一戸建て品質チェックの現場で金物工法の建て方。

 

もう少しで棟上げ。

 

一番上にいると高くて怖いです。

届かない

普段だったら余裕で届く、金物の有無を調べるためのドリフトピンチェッカー(お手製)

 

この物件は階高を上げてあるので届かず・・・。

ロングタイプを作るか・・・?

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