横浜へ、一戸建ての、ホームインスペクション(住宅診断・住宅検査・建物調査・建物診断)に。
現場の近くで、2年前に引渡しが終わっている、一戸建て品質チェックの物件があり、懐かしく思いました。
今回は、私を指名して頂きました。最近、指名の業務が多いような気がします。ありがとうございます。日程が合えば喜んで伺います。
(基本的に私の日程は、一戸建て品質チェックのサービスご依頼者優先なのです。)
物件は、混構造の3階建て。
確認申請書に添付されている構造計算書を軽くチェック。フムフム。
品確法で言うと、耐震等級2相当かな。
続いて基礎伏図と土台伏図を確認。
すると、アレッ?と思う箇所が。
それが次の写真。
構造計算書の、柱脚の引張り力のページはこのようになっていました。
これだけでは間違いが分かりません。
次に、基礎伏図。
私はこれで、アララ・・・。と気が付きました。
次に、基礎の上に載る、土台伏図。
図面の不整合に気が付きましたでしょうか?
答えはこちら
構造計算書で、「15kN(約1.5トン)に耐える金物が必要ですよ」となっていますが、基礎伏図には、15kNに耐えるための、太さ16mmのアンカーボルトが指示されていません。
それに伴い、土台伏図でも、15kNの金物の代わりに、10kNの金物が指示されています。
これでは、構造計算書に沿っていませんので、計算通りの耐力は出ません。
ちなみに、この物件は、完了検査を受け、検査済証も取っています。
しかし、基礎伏図と土台伏図と、現場のチェックでは、気が付かないミスでしょう。
私も、その書類だけでの現場チェックだったら気が付いていないかもしれません。
構造計算書と、実際の施工図面を確認しないとわからない問題です。
是正の方法はいくつかありますが、今回のチェックで最も大きな指摘でした。
さて、このミスはなぜ起きたのでしょうか?
実はこのミス、パソコンのアプリケーションソフトの構成上、起きやすいものです。
構造計算は、専用のプログラムにて行います。
今回の場合、構造計算を行ったのは、KIZUKURIというソフトです。
非常にメジャーなソフトですが、筋かいの左右(地震力・風圧力の左右)を考えなかったりするところは、少し遅れているソフトです。
そして基礎伏図や土台伏図は、構造計算とは別のソフト(CAD)で行うのが普通です。
大抵は、フリーの、Jw_cadという2次元のソフトです。
現在、金型や自動車など、機械に関する業界では、有料の3次元 CADが多くなっていますが、建築業界では未だに2次元かつフリーのソフトが主流です。
3次元CADで建築の確認申請を受け付けるシンガポール政府と比べると、日本は遅れています。
シンガポールの確認申請は、6年前から3次元CADでデータ提出となり、24時間受付。
法規はコンピューターで自動チェックです。
→シンガポールの自動法規チェックシステム CORNET[PDF]
確認審査機関の建築主事と向かい合って、人と人とのかけひきをしている日本より、ずっと進んでいます。
日本が、1人当たりのGDPでシンガポールに抜かれた理由が、確認申請1つでもわかるような気がします。
話がずれてしまいました。
とにかく、構造計算を行うプログラムと、図面化するためのプログラムが別々であることが多いため、そこには人が介入しなくてはならず、今回のようなミスが生じることがあるのです。
図面~構造計算~プレカットの指示までを一貫できる3次元CADが現在ありますので、そのようなCADを使えば、このような単純ミスは起きなかったでしょう。
建物の調査が終わった後、2年前に引渡しが終わった、品質チェックご依頼者の物件に立ち寄りました。
外での立ち話だけでしたが、「安心して住んでいます」という言葉が嬉しかったです。
オマケ
実は、基礎伏図と、土台伏図の間に、ホールダウン金物を除いた不整合がもう1箇所あります。どこでしょう?ヒントはアンカーボルト。