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余裕のない壁量計算書。こんな物件は耐震性が低い

2008年07月22日

先日、ホームインスペクション (住宅診断・住宅検査・建物調査・建物診断)が終わった、建売の木造住宅における、壁量計算書の一部です。

余裕のない壁量計算書

地震や風に耐える壁のことを耐力壁といい、法律で耐力壁を入れる量が決められています。

 

必要な耐力壁(必要壁量・所要壁長)の量は、地震力と風圧力の2つで決まり、それぞれ異なる値になるのが普通です。

しかし、建物に入れる耐力壁の量は1つに決まります。
地震による耐力壁の計算値と、風による計算値のどちらか大きい方を上回るように設計するからです。

 

先の画像のうち、赤線を引いてあるのは、問題の箇所。
有効壁長(Ld)の部分が、風圧力と地震力によって異なっています。
地震が来たときだけ、この建物は筋かいや構造用合板が、ニョキニョキと増えるのでしょうか・・・。

そんなことはないので、基本的な写し間違いでしょう。
実際の設計が、11.74の少ない方だったらどうしようかと思いましたが、14.01の多いほうとなっていました。ホッ。

 

しかし、この設計、壁量の余裕が少ないですね。
最も少ない部分で1.01と、地震に対してたった 1%の余裕しかありません。この物件は、窓が大きくて多いプランなので、雑壁の量も期待できないでしょう。

 

たった1%の余裕しかなくても、建築基準法違反ではありませんし、確認審査機関は何も言えません。
しかし、私が設計段階でチェックしていたら、必ず指摘するでしょうね。マージンが少なすぎです。ちょっとした施工誤差や施工ミスでも、建築基準法を守れなくなってしまいます。

 

大手のハウスメーカーであれば、こんな余裕のない設計はしないでしょう。耐震等級3が標準ですし、社内ルールでもこの余裕のない設計は許さないでしょう。

 

また、今回の物件がツーバイフォーであれば、この余裕度はもっと大きくなっていたでしょう。
建築基準法のルールよりも、ツーバイフォーのルールの方が、壁量が多くなるためです。これだけ少ない壁量設計をするのは、在来工法のみを手がけている設計者に多く見られるような気がします。

木造住宅の場合、やはり少なくとも、2割の余裕は持ちたいものです。


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