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サービスご依頼の理由、「情報の非対称性」

2008年07月01日

ある商品の取引の際、商品の提供側と購入側がそれぞれ持つ情報に、大きな格差がある生じていることを、「情報の非対称性」といいます。

 

例えば、医療や住宅・不動産は「情報の非対称性」が大きな分野です。

 

住宅や不動産の場合、小さな会社でも、年間に10棟程度、大きな会社であれば、1万棟を超える取引を行っています。
その中には、敷地条件や支払い条件などが特殊なものが多数含まれているでしょう。

 

これに対して、住宅・不動産の購入側は、一生に一度の買い物とされるほど経験数が少ないものです。
住宅・不動産の提供側と購入側が持つ情報量には、圧倒的な差があります。

 

最近はインターネットなどで情報があふれており、昔よりは情報を得やすくなったものの、間違った情報もあります。
特に、住宅関連の掲示板などで、一般購入者同士のやりとりを専門側の立場から見てみると、誤った情報が多々あります。


品質チェックの最終報告の際、サービスをご利用された理由をお聞きすることがあります。


ここ1年間ほどのうち4名の方が、サービスをご利用された理由に、この「情報の非対称性」を挙げました。
情報量の差が大きすぎて、自分が勉強しても追いつけないという方や、「情報の非対称性」とズバリおっしゃった方もみえます。

 

ちなみに、この4名の方はいずれも専門色の強い業種で、外資系あるいは海外勤務のある方でした。

 

建築中のチェックを、「単なる検査業務」目的ではなく、「情報の差を埋める」とご理解頂けていると、私としてはやりやすいです。
しかし、サービス前の面談などでいろいろとお話を聞いていると、欠陥住宅にならないためのチェックではなく、「情報の非対称性」を埋めるためにご利用されている方が増えているように思います。

 


私自身、サービス提供側との情報差が大きいと判断した時には、専門家にお願いしたことがあります。

 

それは、子供が生まれることが分かり、生命保険に入った時。
生命保険の勉強のため、いくつか生命保険に関する本を読んでみました。

 

すると、本によって書いてあることが微妙に違いました。これは、住宅関連の本でも同じです。
ある会社などに所属している方が書いた本だと、どうしてもその会社に有利になっていますからね。

 

また、本を読んでいると、保険の証書に書かれている細かい文字の内容まで、複数の会社の商品に対して完全に理解するのは無理だろうと分かりました。

 

そのため、私は独立FPとして活躍されている、五十田三洞さんという方に生命保険の設計をお願いし、頂いた資料(A4用紙 20枚超)を元に生命保険の契約をしました。
生命保険は使うことが無いのが理想ですが、「万が一の時にも、保険を組んでいるから」という、家族に対しての一定の安心感があります。

 

当然、生命保険設計に関する費用はかかりましたが、情報はタダではないので、良い情報にお金がかかるのは当然です。
また、それで削減できた金額、払う必要が無かった金額は、サービス金額をずっと上回ります。

 

『「自分が分からない」ということを知る』
ということは、大切なことではないかと思います。

物件から分かる、工事当時の現場管理状況。住宅診断の現場から

2008年07月02日

先月のホームインスペクション(住宅診断)に関するエントリーの、
ホームインスペクション(住宅診断)で見た、小屋裏でのトラブル
あおり止め金物(ハリケンタイ)の取り付けミス
と同じ物件における、床下の写真です。

土台の継手が、床下換気穴の上部に来ている
 

これを見たとき、
「あぁ、工事が行なわれた20年前、現場の管理がしっかりと行き届いていなかったのだな」
と思いました。しかも、工事着工前の図面段階において。

 

それはナゼか?

 

土台の継手が、床下換気口の真上に来ているからです。
これでは、弱い継手部分を、アンカーボルトで補強することができません。

 

土台の図面(土台伏図)と、基礎の図面(基礎伏図)をしっかりと照合していれば、このようなミスは起きません。
このような施工になるのは、図面の段階でしっかりとチェックしていないからです。

 

前回のエントリーにおける指摘は工事途中のミスですが、このミスは設計段階によるもの。

工事の着工前に、基本的な整合性の確認を行って欲しいものです。

中古住宅。こんな基礎はおかしい。

2008年07月07日

先月のホームインスペクション(住宅診断)に関するエントリーの、
ホームインスペクション(住宅診断)で見た、小屋裏でのトラブル
あおり止め金物(ハリケンタイ)の取り付けミス
物件から分かる、工事当時の現場管理状況。住宅診断の現場から
と同じ物件における、床下の写真です。

壊された基礎コンクリート

施工がマズい物件というのは、ミスが各所で見つかるものです。

これは、一般の方が見ても、「おかしい!」と思うでしょう。
人が通る、人通口を作り忘れたのか、基礎が壊されています。

リフォーム工事の時に壊されたのか、新築工事中に壊されたのかは分かりませんが、現場がしっかりと管理されていなかったことは確かでしょう。

Internet Explorer7 の自動更新を禁止する、IE7 Blocker Toolkitと、PDF表示高速化のfoxit

2008年07月08日

先月、自宅のパソコンを組み立てました。
OSは、WindowsVistaではなく、WindowsXP Professional。デフォルトのブラウザは、Internet Explorer6です。

 

先日新しいバージョンが発表された、Firefox3。ギネス世界記録に協力すべく(?)ダウンロード開始当日にダウンロードしました。
Internet Explorerよりも速いブラウザということですが、正直、新しいパソコンそのものが速すぎて、Internet Explorerとの違いが良く分かりません・・・。

 

しかしながら、各ページのパスワードが保存できたり、タブブラウザになっているのは便利で、自宅ではFirefox3を使う機会が増えています。

 

そうなると、トラブルが多く報告されている、Internet Explorer7はインストールしたくないもの。

 

自動更新で勝手に入ってしまうようなので、自動更新を禁止する方法を調べると、IE7 Blocker Toolkitというもので対応できるようです。
配布元は、Microsoft。

インストールは一瞬で終わり。これで大丈夫。

 

インターネットをしていて、イライラしてしまうのに、PDFファイルがあります。リンク先にPDFの表示が無く、いきなりPDFを開こうとすると、PDF Readerが立ち上がるまでに時間がかかります。

そこで、オススメしたいのが、foxitという、PDF Reader。
PDFが一瞬で立ち上がります。これで、インターネット上のPDFファイルを開くストレスが大きく低減されました。

 

インストール後の状態では英語ですが、日本語のPDFファイルを開くと、日本語が表示できるようにファイルを自動更新してくれるので大丈夫です。

ぜひ、お試しを。

一戸建てってどうよ?のコラム。「ヒートポンプ」ってなんだろう?

2008年07月09日

一戸建てってどうよ?でコラムを書いています。

今回は、「ヒートポンプ」ってなんだろう?

ご興味のある方はどうぞ。

毎月、第2・第4水曜日に更新しています。

ひんやりした土間

2008年07月14日
放射温度計

設計コンペを行った物件へ、最後のチェックとなる内覧会立ち会いへ。

 

物件は住居・店舗・賃貸併用。賃貸部分は注文仕様なので、サッシ1つ取り上げても、樹脂とアルミの複合枠に防犯Low-Eペアガラスと高い仕様。

 

これからの賃貸もこうでなくちゃ。

 

少なくとも10年程度で陳腐化する建物ではないでしょう。

 

ちなみにこのメーカーさんでも、普通に賃貸仕様となると、アルミ枠+シングルガラスのようです。

 

写真は店舗の土間部分。エアコンを入れてなくても、なんとなくひんやり。

放射温度計で温度を測ってみると、24℃台と壁や天井と比べて4℃くらい低め。

 

これがひんやり感の理由ですね

欠陥住宅を防ぐためには、工事中だけでなく、図面段階でのチェックが重要

2008年07月19日

今日は午後から、千葉県で品質チェックサービスにおける、工事着工前の打ち合わせ。
場所は、施工業者さんのモデルルーム。

打ち合わせの中で、完成していた図面をいろいろチェック。

 

筋かいや合板など、耐震上有効な耐力壁の量は 法規を十分満たしていました。しかし、より余裕度を増して安心感を高めるため、筋かいを4本追加することに。
ちなみに、筋かいを4本追加しても、材料費は実費で1本2,000円程度です。

その後、基礎伏図と1階床伏図を照合。
照合の結果、アンカーボルトの不足が5箇所あり、追加することに。

 

本物件では、お風呂を暖かくするため、浴室と洗面室を基礎断熱にしますが、基礎の形状が基礎断熱向きではなかったため、基礎の形状を変更。
それに合わせて、給水・給湯配管ルートを確保するためにスリーブを2箇所追加。 

 

いろいろ図面を見てみると、2階のトイレへの給水経路において、スリーブが必要だと分かったため、こちらも追加。スリーブを追加しておかないと、配管を通すために土台などを欠き込むことになっていたでしょう。

いろいろな指摘や修正、是正箇所はありましたが、今の段階であれば図面の修正で済みます。


問題のある施工を未然に防ぐため、最近ではこのような着工前の打ち合わせを重要視しています。


「確認申請が通った」としても、確認審査機関では、アンカーボルトの位置や本数などは見ませんし、配管の経路が適切かどうかも見ていません。同様に、その建物が「快適か」とか、「省エネか」などというのは、確認審査機関のチェックの対象外です。

 

品質チェックというサービスは、工事中の現場チェックだけではありません。工事が始まる前からのチェックも含んでいます。

サービスのご依頼を検討されている方はお早めに。

余裕のない壁量計算書。こんな物件は耐震性が低い

2008年07月22日

先日、ホームインスペクション (住宅診断・住宅検査・建物調査・建物診断)が終わった、建売の木造住宅における、壁量計算書の一部です。

余裕のない壁量計算書

地震や風に耐える壁のことを耐力壁といい、法律で耐力壁を入れる量が決められています。

 

必要な耐力壁(必要壁量・所要壁長)の量は、地震力と風圧力の2つで決まり、それぞれ異なる値になるのが普通です。

しかし、建物に入れる耐力壁の量は1つに決まります。
地震による耐力壁の計算値と、風による計算値のどちらか大きい方を上回るように設計するからです。

 

先の画像のうち、赤線を引いてあるのは、問題の箇所。
有効壁長(Ld)の部分が、風圧力と地震力によって異なっています。
地震が来たときだけ、この建物は筋かいや構造用合板が、ニョキニョキと増えるのでしょうか・・・。

そんなことはないので、基本的な写し間違いでしょう。
実際の設計が、11.74の少ない方だったらどうしようかと思いましたが、14.01の多いほうとなっていました。ホッ。

 

しかし、この設計、壁量の余裕が少ないですね。
最も少ない部分で1.01と、地震に対してたった 1%の余裕しかありません。この物件は、窓が大きくて多いプランなので、雑壁の量も期待できないでしょう。

 

たった1%の余裕しかなくても、建築基準法違反ではありませんし、確認審査機関は何も言えません。
しかし、私が設計段階でチェックしていたら、必ず指摘するでしょうね。マージンが少なすぎです。ちょっとした施工誤差や施工ミスでも、建築基準法を守れなくなってしまいます。

 

大手のハウスメーカーであれば、こんな余裕のない設計はしないでしょう。耐震等級3が標準ですし、社内ルールでもこの余裕のない設計は許さないでしょう。

 

また、今回の物件がツーバイフォーであれば、この余裕度はもっと大きくなっていたでしょう。
建築基準法のルールよりも、ツーバイフォーのルールの方が、壁量が多くなるためです。これだけ少ない壁量設計をするのは、在来工法のみを手がけている設計者に多く見られるような気がします。

木造住宅の場合、やはり少なくとも、2割の余裕は持ちたいものです。

風で倒れてしまう建物? 壁量計算書のミス

2008年07月25日

ホームインスペクション (住宅診断・住宅検査・建物調査・建物診断)に関するエントリーです。

以前のエントリーで書いた、壁量に余裕の無い建売の木造住宅において、新たな問題が見つかってしまいました。

 

まずは物件についての簡単な説明ですが、上から見た形は、このような長細いものでした。

建物の形

今回の場合、X方向が長くなっています。


余談ですが、木造で方向を表記するとき、桁行・梁間と言う場合があります。昔の建物は、桁行・梁間が明確ですが、最近の木造住宅では梁の天端がフラットであり、上下を昔ほど考えないことや、正方形に近い建物の場合、桁行と梁間がよくわかりません。
「現場での混乱を防ぐため、XとYで表記すべきだ」というのは、私の知っている木造に詳しい構造設計者の言葉ですが、その通りだと思います。

 

話がずれました。

建物の構造を考えるとき、風と地震に対して、耐力壁を入れるということを以前のエントリーで書きました。
この物件の壁量計算書では、風に対して必要な耐力壁の量の根拠となる、見付面積(簡単に言うと、外壁の面積)は以下のようになっていました。

壁圧力に対する所要壁長

この計算自体は特に問題ありません。
建物が長いX方向の見付面積が大きくなっており、短辺のY方向の面積が小さくなっています。

問題はここから。
前回のエントリーにも貼った、壁量の算定画像です。

所要壁量に対する有効壁長の比率

これで分かった方は、建築の設計関係の方でしょうか。

数字が並んでいて分かりにくいかも知れませんが、中身を見てみます。
表の、1F(Y)のLdは、22.34。これは、建物に入っているY方向の耐力壁の長さが22.34mということです。
これに対し、1F(Y)のLnは、15.84。これは、Y方向において、風に耐えるために必要な壁の長さを示しています。

上の方に貼っている、「風圧力に対する所要壁量(Ln)」のうち、Y方向の1F部分を見てみると、同じ15.84という数字があります。
Y方向の耐力壁の量を検討するために、Y方向の見付面積・・・、ではマズいのです!

なぜなら、風に対しては、見付面積と直交する方向が、必要な耐力壁の量になるためです。図で示します。

風圧力の見付面積と、耐力壁の方向

このように、建物の長い方の面(X方向の見付面積)に、風が当たる場合、それに対抗するのは、Y方向の耐力壁となります。イラストでは、赤い筋かいで示しているのが、Y方向の耐力壁です。

 

外壁の見付面積を正しい方向に直して、壁量を計算しなおすと、このようになります。

壁量計算

赤字は、建築基準法を満たしていないことを示しています。
1階、2階ともに建築基準法を満たせなくなってしまいました。
このままでは、台風のような強風の際に、建物が倒れてしまうかもしれません。

 

物件は完成済み・・・。
建築基準法を満たすためには、耐力壁の量を1.5倍程度にしなければなりません。
室内の壁を剥がすなど、大規模な修繕が必要になると思います。耐力壁を強くすることにより、基礎コンクリートがらみの金物の追加が必要になるとやっかいです。

 

今回のケースは建売物件(分譲物件)ですが、ご依頼者が「壁量計算書」を入手したことで分かりました。
壁量計算書は、2階建て木造住宅で作成する必要があるものですが、現在のところ、「提出の義務がありません」
これは、4号特例と呼ばれる、特例のためです。

 

新築の建売物件を検討されている方は、契約・購入前に、最低限プレカット図や、壁量計算書をもらっておきましょう。ひょっとしたら、今回のように間違っていることがあるかも知れません。

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