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外壁の長寿命化。シーリング(コーキング)を止めてしまうという発想。等圧理論。

2008年03月16日

インスペクションなどの報告書の最後にいつも書いている、「建物は、メンテナンスによって寿命が大きく変わります」という一文。

正にその通りで、一戸建てでもマンションでも、10年目に大規模な修繕が必要になることがほとんどです。
シーリングの例  修繕で主要なものは、外壁やサッシ周りのシーリング(コーキング)。
シーリング(コーキング)とは、サイディングなどの外壁のつなぎ目や、サッシ周りにある、やわらかな部分です。

この材料は、方角にもよりますがだいたい10年が寿命の目安。一戸建てでもマンションでも、シーリングの材料は一緒なので寿命も大差ありません。

シーリングが切れてしまうと、雨漏りしやすくなり、建物の耐久性に関わってきます。最近の建物(特にデザイナー系)では、シーリングに頼り切ったものがありますので、要注意です。

それだったら、シーリングをやめてしまえばいい と、私は思ってしまいます。シーリングが無ければ、シーリングの寿命に、建物が左右されません。

例えるなら虫歯の治療のようなものでしょうか。
虫歯になり、歯を1度でも削ってしまうと、一般的には銀歯(アマルガム)やレジンという材料を使うことになりますが、これには寿命があります。そのため、その寿命が来るごとに交換しなくてはなりません。

シーリングを使うということは、これに似ていると思います。シーリングを使ったら、その寿命ごとに交換する必要が出てくるためです。

「シーリングが不要な外壁ってあるの?」と言われそうですが、あります。

オープンジョイントと呼ばれるもので、シーリングの打ち替えが困難な超高層の建物は、ほとんどこれです。

オープンジョイントと同じ意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。

  • 等圧理論
  • 等圧設計
  • two-stage sealing system
  • open rain screen principle

一般的なサイディングを取り付ける時には、胴縁と呼ばれる材料を使って、通気層(Rain Screen)を作ります。これは、壁内結露防止のためですが、等圧理論に近くなるため、雨が入りにくくなるというメリットがあります。

等圧理論は、シーリングを省くためには不可欠な考え方です。

一般的なシーリングを用いた外壁は、雨に対して隙間を完全に無くすことで対処しています。
言わば、力と力の戦いで、格闘技のようなものです。

力同士の戦いですので、シーリングに少しでも弱点となる隙間があると、雨が入ってしまいます。
雨が入る原因の1つ、毛細管現象は、隙間が小さければ小さいほどその力が大きくなるのでやっかいです。

これに対して等圧理論は、外壁の外と中の圧力が等しいので、雨が入ってくる力そのものを無くしてしまいます。
言わば、相手の力をサラリとかわしてしまう合気道のような考え方です。

日本で初めて等圧理論を使った建物は、新宿センタービル(設計:大成建設)だそうです。現在では、超高層に欠かせない設計方法です。

一戸建ての外壁で等圧理論を使ってシーリングレスとなっている外壁はかなり少なく、主なものは樹脂サイディングです。
樹脂サイディングはアメリカや北米でよく使われている外壁ですが、日本ではあまり使われていません。日本製のものもありますが、種類は少なめです。

私が、寒い地域に家を設計したり、投資用のアパートを持つとしたら、多分樹脂サイディングを検討します。都市部では、防火の問題から難しいかも知れません。

「寒い地域に」としたのは、樹脂サイディングでは、一般的な窯業系サイディングのように凍害の心配が無いからです。また、何よりもシーリングに係るメンテナンス費用が要らないのは長期的に見てメリットだと思います。

等圧理論を使った外壁で面倒なのが、施工者への教育でしょう。
なんせ、これまでは「シーリングで隙間を完璧に埋めなくてはいけない」というのが、
「シーリングしなくても良い。隙間を空けろ」と、全く逆なのですから。

天動説が常識とされる中で、地動説を言っているようなものです。

樹脂サイディングの誤った施工例 何も言わずに施工させたら、隙間にシーリングしてしまうでしょう。

写真は、さくら事務所近くにある、飲食店の外壁。左側の外壁は樹脂サイディングなのですが、隙間部分を「バッチリ」埋めてありました。

「隙間があるから」と、施工した人の気持ちも分からないではないですが・・・。

雨仕舞のしくみ 等圧理論を含め、雨への対策をより知りたい方は、「雨仕舞のしくみ」という本がお奨め。

数式が多く出てきますが、雨仕舞いを凄くロジカルに書かれています。
雨というのは必ずしも上だけから来る訳ではないので、なかなか奥が深いものです。
雨仕舞いに関する本は、これ以外にもたくさん出ていることからも、その奥深さが分かります。


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