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「換気」と「通風」と「漏気」

2007年04月02日

今回からは、24時間計画換気についてお伝えしようと思います。
まずは、言葉の意味から明確にしていきましょう。

●「換気」と「通風」と「漏気」

 最初に覚える必要があるのが、下の3つです。

 ・換気(かんき)
 ・通風(つうふう)
 ・漏気(ろうき)

 この3つは、建築の温熱環境の分野では『明確に』区別されています。
建築関係者でも、換気と通風がゴチャゴチャになっていることが多い(というか、ほとんど)ので、このブログを読んだ後からはしっかりと区別しましょう。

「換気」とは

2007年04月06日

換気」は、室内の空気をきれいに保つことが目的です。

居住者の意思や必要に応じて、風量を自由にコントロールすることができ、「ventilation」または、「controlled ventilation」と訳されます。
通風と明確に区別するため、「計画換気」 とも呼ばれます。

気流の向きは、居室から汚染室への一方通行で、この向きは建物の設計段階に決めます。
設計時には、給気口と排気口の位置と数、空気が流れる経路などを考えます。

気流の速さは、1秒間に20cm以下で、気流を感じない速さです。
換気回数は、1時間に 0.5回が、法律で定められている基準です。

海外の基準においても、換気回数は0.5回/h前後に決められており、日本の基準が特別に甘かったり、厳しかったりする訳ではありません。

「通風」とは

2007年04月09日

通風」は、窓を開け、外気の風を利用して体感温度を下げたり、涼感を与えたりするのが目的です。
通風は、「draft」や「cross ventilation」と訳されます。

通風の目的は、体に風を当てて体感温度を下げたり、涼感を与えることですから、気流の向きはあまり考えていません。
また、屋外の風の向きによって、状況が左右されます。

Blog2007040901 そのため、通風で計画的に空気を入れ替えるといったことは、非常に難しいといえます。
雨が雪が降っているとき、台風が来ているときなどには、窓を開けて空気を入れ替えるというのは出来ません。
また、風が強いと空気の入れ替わる量も多くなりますが、必要以上に空気を入れ替えることは、エネルギーを多く使うことになります。

通風では、居室から汚染室 のような空気の流れが作れないため、トイレの窓を開けたら、においが外に出て行くのではなく、リビング側に流れてしまうといったことも考えられます。

気流の速さは、1秒間に1.0m前後。気流を感じる速さです。
換気回数は、風の強さによって変わり、1時間に5回や、10回といった量になります。
換気と比べるとずっと多いといえます。

「漏気」とは

2007年04月13日

漏気は、最もなじみがない言葉ですね。
分かりやすい言葉でいえば、「すき間風」とも言えます。

漏気には目的はありません。本来は必要のないものです。
漏気は、「air leakage」と訳され、空気漏れと言う意味です。

漏気は、居住者が意図した空気の出入りではありませんので、調整はできません。
また、向きもわかりません。すきま風を思い浮かべると、それがわかるでしょう。

冬の漏気は不快なものであるために、それを防ぐために、「隙間テープ」などというテープもあります。
冬のホームセンターで、それらの商品が売ってあるのを見た方もいるでしょう。

換気と通風がゴチャゴチャになっていることは多いですが、換気に加え、通風と漏気も、混ざっていることがあります。

古い日本の家は、隙間風の換気によって空気が入れ替わる」といった類のものです。
確かに古いお寺などは隙間だらけで、空気がたくさん入れ替わるのですが、それは竣工当初から意図しているものではありません。
経年劣化によってすき間が広がっているケースがほとんどです。

省エネ住宅に興味がない建築関係者は、古い建物に関してこの辺りを美化しすぎる傾向があります。
例えば土塗り壁1つ取っても、建てた当初には柱と壁はすき間なく施工しているはずです。当初からすきま風によって空気が入れ替わることを意図しているのであれば、そのような施工は行わないでしょう。

従ってこのようなケースの場合、言葉の意味を考えると換気ではなく、漏気です。
窓や障子を閉めた状態なら、通風でもありません。

いずれにせよ、住まいの省エネのためにも、快適性を上げるためにも、漏気はできるだけ無い方が理想です。

「換気」と「通風」と「漏気」 一覧

2007年04月16日

これまで、換気と通風と漏気について書いてきました。
文章だけだと分かりにくいと思いますので、一覧表にしたのが、下の表です。

-項目-換気通風漏気
英訳ventilationdraft ,
cross ventilation
air leakage
目的 室内の空気を、
清浄に保つ
体感温度を下げる
涼感を与える
なし(すき間風)
換気回数 0.5回/h 5回/h 前後 わからない
居住者による
調整
自由に細かく調整できる ほぼ調整できる 全く調整できない
(不快)
気流の速さ 20cm/s 以下
気流を感じない程度
1.0m/s 以上
気流を感じる
わからない
気流の向き 居室 → 汚染室の向き。
一定方向。
設計時に計画できる。
人体に風が当たればよいので、気流の向きは気にしない。 わからない

「給気口」と「排気口」

2007年04月20日

24時間計画換気の設計をするときには、空気の入口と出口の位置がとても重要です。

このとき、

 新鮮な空気の入口を「給気口(きゅうきこう)」
 汚れた空気の出口を「排気口(はいきこう)」

といいます。

これは、水道において、

 綺麗な水が出てくることを、給水
 汚れた水を排出することを、排水

と言うことと似ています。

時々、「給気口」を「吸気口」としていることがありますがこれは誤りです。
今後ご説明する換気方式によっては、空気を吸うのではなく、押し出すこともあるからです。

先ほどの水道の例でも、綺麗な水が出てくることを「吸水」とはしませんね。
これは、水の出てくる方法(押し出しているのか、吸い込んでいるのか)はどうでもよくて、綺麗な水かどうかだけを気にしているからです。
また、汚れた水を送ることを、給水ともいいませんね。

24時間計画換気の「給気口」も、綺麗な空気が入って来る場所なのかどうかを気にしているのであって、空気を移動させる方法は、はっきり言ってどうでも良いのです。

従って、「給気口」を「吸気口」と設計図に書いてくる設計者には注意が必要です。
省エネや換気の知識が乏しい可能性が高いからです。言葉の使い方1つを見ても、設計の能力や知識というのが分かるときがあります。

綺麗な空気が必要な場所はどこ?

2007年04月23日

それでは、住まいで新鮮な空気が必要な場所はどこでしょうか?
トイレ?それとも、階段?

そんなことはありませんね。
住まいは人が住むためのものですから、新鮮な空気が必要なのは人が集まるリビングや、居室になります。

マンションでは、この原則がほとんど全ての物件で守られています。

しかし、一戸建てでは時々この原則が守られていない物件を目にします。
階段に給気口を取り付けていることを標準仕様としている物件もあります。
しかし、いつも階段に居る人は少ないでしょうから、新鮮な空気を誰のために入れているのか分かりません。

海外では、給気口の位置と排気口の位置を明確にしている決まりがある国もあります。しかし日本の法律はそこまで厳しくないので、換気設計は物件の設計者の知識によって、出来上がりが左右されてしまいます。

汚れた空気を出す場所はどこ?

2007年04月27日

リビングや居室で人が吸った空気は、円滑に排出しなくてはいけません。
汚れた空気を排出するために都合の良い部屋はどこでしょうか。

それは、トイレや浴室ですね。

トイレはニオイの出る場所ですから、リビングや廊下にニオイが出ていっては困ります。
空気の流れを一方通行にして、トイレからは空気が出て行くだけにしなくてはなりません。

浴室も空気が出て行くだけの方が都合がいいですね。
換気の量が増えれば、浴室も乾きやすくなります。

暖房を使うリビングなどの居室に給気口を設け、浴室に排気口を設けると、リビングなどであたためられた空気が浴室に流れ込むことになるため、浴室の温度が上がるという利点もあります。

給気口と排気口の具体的な取り付け位置 ~平面~

2007年04月30日

給気口と排気口の具体的な取付け位置ですが、

給気口と排気口は、出来る限り離して取り付ける

ことが原則です。

これは、空気が入れ替わる部分を多くして、空気の「よどみ」をできるだけ少なくするためです。

実際には、お部屋に入ったとき、対角線上に位置する壁に給気口を取り付けると良いでしょう。

建物の建築地によっては、近くに騒音源があるときがあります。
そのような場合には、騒音源がある壁面を避けると、給気口から入ってくる音の量を少なくできます。

排気口は、トイレなどの空気が汚れやすい場所に取り付けるということを前回お伝えしました。

このとき、排気口をドアのすぐ上に取り付けると、トイレで生じたにおいがこもる原因となりますので、トイレの便器上など、ドアからできるだけ離れた場所に取り付けましょう。

なお、この場合、トイレに気密性の低いサッシ(ジャロジー窓や引き違い窓)を使うと、サッシ部分から空気が入ってしまい、換気経路が短絡してしまいますので、これらのサッシの使用は控えるのが無難です。


~設計例~

換気設計

上の例では、給気口は入り口の対角線上にある、の位置が理想です。
の位置だと、部屋の奥部分(着色部分)の換気がされにくい為、湿気が溜まった場合、窓部分で結露が生じやすくなります。

排気口の位置は、トイレの場合、のように、出来るだけ奥に近い部分が理想です。トイレのドアに近いの位置だと、トイレの中で生じた臭いがこもる原因となります。

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