林さんと、ロックウール工業会主催の、『温暖化防止省エネ住宅セミナー』及び、『パッシブハウス東京第1号住宅の現場見学会』に行って来ました。
最初の1時間半は、東京駅近くで講師によるセミナー。
その後はバスで移動して、パッシブハウス東京第1号の見学会。 東京という建築地では、無暖房住宅に相当します。インターネットでその工事の経過を見ていたものの、やはり現場は勉強になります。
その施工状態だけでなく、細かな納まりも勉強になりました。噂には聞いていた施工業者さんですが、やはり良かったです。
工法の基本はツーバイフォー。
ただし、断熱性能を上げるために、外周部はツーバイシックスです。
外壁の断熱材は、ツーバイシックスの140mm+外壁 外張り断熱 60mmのトータル 200mm厚断熱。
屋根部分は当初、ロックウールの200mmの予定でしたが、高さ制限により施工が困難なため、フェノールフォーム66mm+ウレタン120mmに。
これは、分譲物件で採用されているグラスウール10kに換算すると、280mm以上の厚みに相当します。
下部の断熱は、床断熱ではなく、基礎断熱。外側と内側併用で、厚みは150mm。
サッシは、真空ガラスを使った樹脂サッシ。
サッシ内部には断熱材も入っています。(普通は中空)
使われているサッシの性能は、1.24W/(m2・K)という性能で、これは、
Low-E樹脂ペアガラスの約2倍の性能。
最終的なQ値は、0.904W/m2・K
これは、東京の次世代省エネ基準 2.7W/m2・Kの、約3倍の省エネ性であることを示しています。
凄い省エネ性です。大手ハウスメーカーの、かなり良い仕様の2倍以上の省エネ性です。
30年後の省エネ基準でも、十分クリアするでしょう。
気密性能を示すC値は未計測の状態ですが、この施工業者さんの過去の実測値は、去年のデータで 0.16cm2/m2ということでしたので、これに近い値になり、十分な性能です。
これも、大手ハウスメーカーの仕様の、10倍以上の高性能。
ここまでの性能を得られれば、大手ハウスメーカーでも追従出来ません。
現場の施工は丁寧で、参考になる納まり方がいくつもありました。
一般の方はこのような物件を見ても、「単に断熱材を厚くしただけ」と思われるかも知れませんが、そうではありません。
そこにたどり着く為には、しっかりとしたバックデータを持ち、難しい納まりをいくつもクリアする必要があります。
今日の前半のセミナーで、東京大学の坂本先生のスライドに、納得できるものがありました。それは、以下のようなものです。
住宅・建築の省エネ対策の基本
1. 建物の断熱化・日射遮蔽(暖冷房負荷の削減)
2. 設備機器の効率向上と、そのためのメンテナンス
3. 自然エネルギーの活用
アクティブ:太陽熱利用と太陽光発電の推奨
パッシブ:自然通風と自然採光の活用・推奨
このうち、重要なものは、1と2だということです。
私もこれが、住宅・建築の省エネの王道だと思います。
建築のエンジニア が省エネに大きく影響できるのは、1と、3のパッシブの項目。
その他は一見、建築であっても、頑張っているのは他業種のエンジニアです。
例えば、太陽光発電。
大手ハウスメーカーでも積極的に売り出しており、省エネになるとしていますが、太陽光発電の効率を上げるのを頑張っているのは、電機メーカーのエンジニア。
建築側としては、簡単に言えば、それを設置するだけ。
大した努力はありません。エアコンの効率向上も同じ。
だから、これらの設置は建築関係者が威張れるものではないと思っています。
それに対し、1. 建物の断熱化・日射遮蔽は、建築のエンジニアの頑張りそのもの。太陽光発電は、新築の住宅に取り付けても、築30年の住宅に取り付けても、築1000年以上の建物に取り付けたとしても、効率は同じ。しかし、建物そのものの省エネ性は、建物の作り方で全く違ってきます。
まさにノウハウの部分で、今回のように次世代省エネの3倍の性能を得られたのは、電機メーカーのエンジニアではなく、建築のエンジニアの頑張りです。
建物の省エネの王道は、上記の1、2、3の順番だと思いますが、その1番目の理解が浅い、あるいは分からずに、中途半端な建物性能しか出せない建築関係者ほど、壁の中の通気とか、なんとかソーラーとか、地熱やなどに走っている印象があります。
太陽光発電や、エアコンの寿命は建物の寿命よりも短いもの。
それで省エネを図るより、未来永劫続く、建物そのものの省エネ性を上げる方が、ずっと価値があると思います。
全ての住宅が今回の性能まで到達することはまず考えられませんが、このような物件が存在するということは、覚えておいて損は無いと思います。
パッシブハウス東京第1号の施工を示したブログはこちら
パッシブハウスS邸の挑戦
http://x-unoblog.seesaa.net/


