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一戸建てで多いのは、木造の在来工法とツーバイフォー。【構法の種類】

2006年05月12日

今回からは、建物の構造・構法に関して書きたいと思います。
長持ちさせる建物には、長持ちするための、しっかりとした構造体が不可欠です。

※余談ですが、構造に関する工法は、正確には「工法」ではなく、「構法」という字を使います。このブログでは、SEO的な面もあり、「工法」としています。

▼一戸建てで多いのは、2つの構法▼

一戸建てで多く使われる構法は、

 ・在来工法(軸組工法)
 ・ツーバイフォー工法(枠組壁工法・わくぐみかべこうほう)

の2つです。

そのほかにも、
 
 ・プレハブ工法
 ・鉄骨造(S造・えすぞう)
 ・鉄筋コンクリート造(RC造・あーるしーぞう)

があります。

プレハブ構法には、鉄骨プレハブや木質プレハブがあります。

ちなみに、日本建築学会に提出される論文や標準仕様書など、建築の専門分野では、

 ・伝統建築
 ・在来工法(軸組工法)
 ・ツーバイフォー工法(枠組壁工法・わくぐみかべこうほう)
 ・木質プレハブ(ミサワホームやS×Lで採用している工法)

のように、主構造が「木」に関するものは、「木質構造」として同一に分類されています。

軸組工法は範囲が広い。軸組工法と、在来工法の違い

2006年05月15日

▼軸組工法は範囲が広い▼
昔のお寺さんや神社に見られる建物も軸組工法の1つですが、使われる材料が大きく、「貫」が多く使われています。

今の一般住宅の軸組工法と、昔のお寺さんや神社は、材料も構造も大きく違いますが、ひとくくりにすると、軸組工法です。

構造的には、現在の一般住宅と、昔のお寺さんや神社は、普通自動車とトラックくらいの違いがあります。
構造計算の方法も、一般住宅で行われている「壁量計算」という簡易な方法と異なり、お寺さんや神社のような伝統建築は、非常に専門的になります。木造に詳しく、実際に実務で伝統建築を構造計算出来る人は、日本で数えるほどしかいないでしょう。

しかし、普通自動車もトラックも「車」という分類では同じ
ですよね。軸組工法の分類もこれに似ています。

このように、軸組工法は、細かい部分でいろいろな違いがあるため、言い方としてはかなり幅があります。
柱や梁がある構法という、広い意味でとらえるのがよいでしょう。

ちなみに、一般的な木造住宅を、「在来工法」と呼ぶことがありますが、これは戦後に付けられた言い方で、それほど古い言葉ではありません。
そもそも、当時は木造と言えば今で言う在来工法しかありませんから、「在来」という言葉自体使わなかったのです。

日本で主流の軸組工法(在来工法)。しかし海外では少数派

2006年05月19日

▼日本で主流の軸組工法。しかし海外では少数派▼
日本では、軸組工法(在来工法)が主流です。
全国各地、いろいろなところでつかわれている工法です。

日本では主流の軸組工法(在来工法)も、世界的にみると少数派です。
部材寸法の統一性の無さ、高断熱化に向かない作り、構造的に見て合理的で無い作り方や強度の低い継手、工業化の難しさなどから、それらのハードルを越えない限り、世界進出は無理でしょう。

木造住宅を建てている国の多くは、日本でいうツーバイフォー工法(枠組壁工法)で作られることの方がずっと多いのです。

このツーバイフォー工法というのは、日本での言い方で、アメリカやカナダではプラットフォーム工法と呼ばれます。

ちなみに、日本でツーバイフォーという名称を広めたのは、鵜野日出男さんという方です。
ツーバイフォーや高気密高断熱の分野では有名な方です。

現在では、軸組工法(在来工法)も、どんどんツーバイフォーのような工法になってきています。
最終的に、構造の設計思想や基本的な考え方は、軸組工法(在来工法)も、ツーバイフォー工法も、木質パネル工法も同一のところにたどり着くでしょう。

(たどり着くというか、ツーバイフォー工法も、木質パネル工法が1歩、2歩先に進んでいて、軸組構法(在来工法)が追いつくという言い方の方が正しいかも知れませんが・・・・。)

増えつづけているツーバイフォー

2006年05月22日

 前回、一戸建てで多い構法は、

 ・軸組工法(在来工法)
 ・ツーバイフォー工法(枠組壁工法・わくぐみかべこうほう)

 の2つが多いと書きました。

その具体的なデータが、住宅金融公庫にありましたので、概要を引用します。

データ元
調査結果でみる公庫融資住宅の仕様について(住宅金融公庫)
 http://www.jyukou.go.jp/chisiki/chosa/shuyoudata_h14.html(2007年9月時点でリンク切れ)

工法別の割合:平成14年度

 在来木造(軸組) :61.7%
 プレハブ工法  :20.7%
 枠組壁工法(2×4):13.4%
 その他の工法  : 4.2%

 プレハブ工法というのは、

 ・木質系
 ・鉄骨系
 ・コンクリート系
 ・ユニット系

など、いろいろな種類があり、それぞれを採用しているのは棟数の多い大手ハウスメーカーばかりなので、工法として分類すると、割合が多くなっているのでしょう。

ちなみに、この調査から9年前(平成5年)の結果は、以下の通りです。

 在来木造(軸組) :66.1%
 プレハブ工法  :22.7%
 枠組壁工法(2×4): 5.4%
 その他の工法  : 5.8%

プレハブ工法はあまり変わっていませんが、在来木造(軸組)が減って、ツーバイフォー工法(枠組壁構法)が大きく増えています。
工法の割合は地域によって違いがあり、北海道、北陸、九州では在来木造(軸組)の割合が高くなっています。

北海道では、プレハブ住宅が全国平均の6分の1と少ないため、在来木造(軸組)の割合が増えていると思われます。
また、北海道はツーバイフォー工法(枠組壁工法)の割合が首都圏とほぼ同じくらい高い地域です。

九州は、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)の割合が全国で最も低くなっています。
首都圏と近畿では在来木造(軸組)の割合が低くなっています。

全国平均でみると、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は、9年前の約2.5倍ですから、かなり増えていますね。

ツーバイフォー工法(枠組壁工法)は今日では十分認知されており、構造そのものがシステム化され、耐震性が高いことや、高断熱にしやすいことからも、今後も着工数が伸びていくのではないでしょうか。

戦後、放置され続けてきた、日本の木造建築

2006年05月26日

今回は、構法からちょっと話を脱線して、日本の木造の研究の歴史について。

「木造の建物がこれほど多い日本だから、木造の研究も進んでいるのではないか?」

と思う人がほとんどだと思いますが、実は全然違うのです。

日本建築学会という団体があります。
会員数は、約3万6千人。建設業に従事している人は、日本全国で約600万人ですから、全体の1%にもなりません。

しかし、歴史があり研究色が強い団体あることから、様々な基準や仕様がこの建築学会によって決められています。
日本における建築界の頭脳といってもいいかも知れません。
会員の多くは教育機関の研究者やゼネコンの研究者、設計事務所、官公庁の人たちです。

その日本建築学会が、今から46年前の昭和34年(1959年)に、「木造の研究をしない」としました。

建築学会が研究をしないと言ったら、研究者は発表する場がないため、当然ながら研究も行われません。

研究がされなかった結果、日本の木造建物は、あいまいな部分が多いまま歩んできました。
つまり、勘と経験だけが頼りの期間がずっと続いてきて、理論的な裏づけがなかったのです。

今から、10年前の阪神淡路大震災では、木造の建物がたくさん壊れました。
しかし、阪神淡路大震災が起きたとき、関西以西に木造を専門としている研究者は居なかったとされています。

建築の世界で構造を研究している人であれば、あれだけの大きな被害を受けたのは何故なのか、研究しようと思うのは、特別なことではありません。

その為、阪神淡路大震災を転機として、各分野の研究者が木造の研究を行うようになりました。
これは、ほんの数年前の出来事です。

最近では、急速に研究が進み、構造計算に関わる分野でも飛躍的な進歩を遂げています。
法律面でも、2000年に建築基準法が変わり、在来工法(軸組構法)の金物の基準は大幅に厳しくなりました。
しかし、実際の現場を見ていると研究の世界と現場では、まだまだ格差があるように思います。2000年の法改正を知らない業界関係者もまだまだいるというお寒い状況です。

日本における、木造建築の研究の歴史について、もう少し詳しく知りたい方は、私の過去の日記をどうぞ。

日本における、木造建築の研究の歴史
http://t-ohshita.com/2004/12/20041219-1200.html

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