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断熱の方法 充填断熱工法 ホールダウン金物など、金物への影響

2006年01月09日

今日は、学術的になりますが、日本建築学会の全国大会で発表された論文から、金物の影響に関するものを。

「木は断熱性能がある」といって、見過ごされることが多い、金物部分の熱橋に関するものです。

日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸) 2002年 8月 pp325-326
木造軸組の断熱工法における構造用金物等の影響
(財)建材試験センター 中央試験所 藤本哲夫、黒木勝一

この研究では、袋入りおよび裸のグラスウールを使ったとき、ホールダウン金物や羽子板ボルトと呼ばれる金物に結露などが生じないかを調べたものです。

問題点の検討として挙げられているのは以下の通り(原文のまま)


(1)
仕口金物でも、羽子板ボルトのようなあまりかさばらないものは問題とならないが、ホールダウン金物のようにかさばるものは、その部分にきちんと断熱材を充填することが難しく、熱的弱点となりやすい。
今回の実験では、床下空間の温度は実際の床断熱の場合よりも高くなっている。これを考慮すると、壁内への湿気の侵入があれば、金物部分やその周囲部分での結露が懸念される。

(2)
北海道以外では、施工性から袋入り断熱材が使われることが多いが、外気側の穴あきフィルムは穴以外の部分での透湿抵抗が大きく、GW内部に湿気が侵入した場合、その部分で結露を起こしやすいと考えられる。
実験でも裸品では結露の発生は見られず、袋入りの断熱材だけに結露が発生している。これは、防湿層を別張りしても同様の結果となっており、何らかの原因でグラスウール内に湿気が侵入した場合結露の危険性が高い。製品JIS規格でも外気側フィルムの透湿度の規定はなく、検討が必要であろう。

(3)
通常、柱-間柱間隔は390mm程度であるが、GW製品としては430mm幅のものが多い。このため、施工要領等では幅を柱間隔に合わせて40mm程度の幅詰めをするように指導しているが、実際の現場で幅詰めを行っている所はさほど多くはないと予想される。
このため、図2で示したような空隙ができる可能性がある。これにより断熱性能が大きく低下するとは思われないが、場合によっては不具合となることも考えられる。


(3)に書かれているように、確かに実際の現場でグラスウールをしっかり幅詰めしている現場は多くありません。
最近は、幅方向に伸び縮みするグラスウールがありますので、そのようなグラスウールを使うことで、簡単にしっかり施工することができるでしょう。

結露に関して、一般的な金物は錆び止め処理といっても簡単なものしか行われていないのがほとんどです。安全側の対策としては、問題点の検討としても書かれているように、丁寧に裸のグラスウールを詰めて、防湿層をその上に取り付けるか、外張り断熱併用で壁内の温度を上げることが考えられるでしょう。

断熱の方法 充填断熱工法 施工の問題点 天井断熱

2006年01月13日

▼天井部分の断熱▼
今回は、天井部分の断熱に関してです。

日本で建てられている一戸建ての多くは、天井部分に断熱材があります。
また、その断熱材は、壁に使われているものと同じ物が使われる場合がほとんどです。

さくら事務所では、建物調査(インスペクション)で日々建物に接しており、一戸建てで小屋裏の点検口があるときは、そこから小屋裏を確認します。

この時、小屋裏の断熱材がキチンと入っていないケースがよくあります。
以下は、現場で見た良くない施工例です。いずれも、カタログ通りの断熱性能を発揮するのは難しいでしょう。

断熱材が配線の上になっている例

断熱材が、配線の上になっています。このすき間から熱が伝わってしまいます。


長さが調整されていない例

長さを切りそろえないと、すき間が出来てしまいます。入れれば良いという訳ではありません。


ぎゅうぎゅう詰め

そんなに無理して押し込まなくても・・・。切ったらしっかりと納まります。


押し込みすぎ

かなり無茶してますね。断熱材が踊っているようです。

▼天井部分の断熱は、なかなか大変▼
天井に使われている断熱材は、壁と同じ物が使われていることがほとんどだと、先ほど書きました。

一般的な断熱材(袋入りグラスウール)は、柱と柱の間隔で長さが決められています。

そのため、天井部分に使う場合には、長さや幅の調整が必要となり、切ったり繋いだりする必要があります。

一戸建ての天井は、2階の梁から天井を「吊るして」あります。

吊るしている部材はそれほど太い材料ではないので、大人が乗ると、ミシミシ!と音を立てて壊れてしまうでしょう。(実際、私もあやうく落ちかけたことが・・・)

そのため、断熱材を敷きこむ作業は、梁の上から行うことなります。断熱材を敷きこむときには、天井を吊っている木を避けながらの作業です。
小屋裏の高さが高い場合は動きやすいですが、小屋裏が低いときの作業はとても大変です。現場では、なかなか図面通りにはいかないものです。屋根から釘が飛び出していることもあり、頭上にも気をつける必要があります。

夏の時期には、小屋裏はサウナのように暑くなることもありますから、天井の断熱材の工事はなかなか大変な作業ですよ。

断熱の方法 充填断熱工法 天井のブローイング

2006年01月16日

▼ブローイングなら、天井断熱はカンタン▼
北海道の天井断熱としてよく使われる方法に、ブローイングがあります。

これは、クルミ状やサイコロ状にした断熱材(一般的にはグラスウールやセルロースファイバー)を、専用の機械で吹き込む方法です。

ブローイングのメリットは、以下の点があります。

 ・断熱材のすき間ができない
 ・施工がカンタン、確実
 ・厚みの変更が容易
 ・既存住宅の断熱改修にも使える

ブローイングによる施工例
ブローイングによる施工例
ブローイングによって、天井断熱している例です。ブローイングを行うと、すき間なく断熱材を詰めることができます。

厚みの確認 防湿層の確認
ブローイングの厚み確認用の定規です。この物件では、200mmの厚みがあります。 結露防止のための、防湿層(ビニール)は、断熱材の下(天井の上)に敷いてあります。

鉄骨のプレハブメーカーでも、セルロースファイバーの天井ブローイングを標準仕様としているところがあります。

断熱の方法 充填断熱工法 桁上断熱

2006年01月20日

▼桁上断熱にすれば、施工が簡単▼
天井面に断熱する方法の1つに、桁上断熱があります。
これは、断熱改修で使われることもあります。

天井断熱 桁上断熱
blog20060120-01 blog20060120-02

桁上断熱では、桁の上に合板などを敷いて、その上に断熱材を敷きこみます。
桁の上は、天井を吊る木やダウンライトなどがありませんので、断熱工事が少しラクになります。

ただし、桁の上を渡す合板の費用がかかったり、断熱材の最大厚みが減るなどのデメリットもあります。

桁上断熱にもう少し費用を加えると、屋根面に断熱をする、屋根断熱も採用できます。
屋根断熱の場合、小屋裏も室内の温度に近くなるため、有効に使える家の広さが広くなります。

海外のドラマや映画を見ていると、屋根裏部屋で過ごすシーンが出る場合がありますが、それらは全て屋根断熱です。
天井断熱では、屋根裏は外部と同じ扱いになるので、冬は寒く、夏は暑くなり、部屋として使うのは難しいですからね。

断熱の方法 床断熱

2006年01月23日

▼床部分の断熱▼

今回からは、床部分の断熱に関してです。

日本で建てられている一戸建ての多くは、床の部分に断熱材があります。これを、床断熱工法といいます。
基礎に断熱する方法(基礎断熱)もありますが、まだ少数派です。

しかし、基礎に断熱する方法は、数々のメリットがあるので、勉強されている業者さんは好んで採用しています。

私が自分の住まいを建てるなら基礎断熱にするでしょう。
基礎断熱のお話は今後のブログで。

 

▼床断熱に使われる断熱材▼

床断熱に使われる断熱材は、発泡系の断熱材か、グラスウールの密度が高く重たいタイプもので、板状になっているものがよく使われています。

入れ方は、床を支える根太(ねた 又は ねだ)の間に入れていく方法が多く使われています。

一般的な根太の大きさは、5cm程度なので、この間に断熱材を入れる方法では、根太のサイズ=断熱材の最大厚み となります。

ちなみに、次世代省エネ基準では、比較的断熱性能の高い押出し法ポリスチレンを用いても、関東地域で50mm以上必要です。

床断熱の厚みを、5cmより、もっと厚くするためには、根太の高さを高くするか他の納まり方に変更する必要があります。

断熱の方法 床断熱 注意するポイント

2006年01月27日

▼床断熱で注意するポイント▼

床断熱で注意するポイントは、まず根太と断熱材の間にすき間を作らないことです。基本ですね。
また、床材と断熱材の間にもすき間があってはいけません。あたたかい布団でも、体から離れて宙に浮いていてはあたたかくありませんよね。断熱材と床材にすき間があるのは、それと同じことです。

グラスウールのように、繊維系断熱材の場合には、断熱材の中に空気の流れがあると、断熱性能が悪くなってしまいます。
そのため、空気の流れを止める措置も場所によっては必要になります。(気流止めといいます。)

発泡系の断熱材でも、すき間を開けないのは当然なのですが、実際の現場では時々すき間があることがあります。

弾力性のある、ポリエチレン系の発泡断熱材(例:旭化成のサニーライト)は比較的すき間が出来にくいのですが、硬いポリスチレンの断熱材(例:押出し発泡ポリスチレン。XPSとも言う)はすき間が生じやすくなります。
現場の作業では、ポリスチレンの断熱材を、根太の間ピッタリのサイズに切るのは容易ではありません。

断熱の方法 床断熱 施工の問題が起きやすい箇所1

2006年01月30日

▼床断熱で、施工の問題が起きやすい箇所▼

床断熱で施工の問題が起きやすい(断熱性能が落ちやすい)箇所があります。それは以下のような箇所です。

 1.部屋の境目
 2.ユニットバス周辺
 3.階段下
 4.床下点検口
 5.配管の貫通部分

1.部屋の境目
部屋の境目の下は、土台がある場合がほとんどです。
この位置で、断熱材が足りなくてすき間が出来ていることがよくあり、土台と床下地のすき間から冷気が入って、床が冷える原因となります。
当然ながら、設計時の断熱性能よりも、実際の建物の性能が大きく劣る原因となります。

これは、軸組工法(在来工法)でよく見られることで、床を最初に作るツーバイフォー(枠組壁構法)では問題となりません。
建築の専門誌で、ある設計者は「断熱構造としては、軸組工法は欠陥工法」と書かれていましたが、何も対策をしない軸組工法では、その通りだと私も思います。
何も考えずに、これまでの方法で作ると、現実的に断熱材が効かないからです。
この部分の対策については、設計時からの配慮が欠かせません。しかし、この配慮の方法・手段を知っている設計者は、日本全体としては少数派なのが現実です。

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