▼なぜ、欧米諸国は外断熱に進んだのか▼
ドイツやスウェーデンでは、新築の建物は、ほぼ100%外断熱工法です。
他の先進国でも鉄筋コンクリート造の建物は外断熱が主流です。
それではなぜこのように欧米諸国は外断熱に進んだのでしょう。
答えは、1973年のオイルショックにより、建物も省エネルギーが求められるようになったからです。
このように、外断熱にする目的は、省エネルギーが最初の目的です。
建物を省エネにするためには、断熱材を厚くする必要があります。
内断熱の場合、断熱材を厚くするとその分だけ室内が狭くなるので、断熱性能を高くするには限界があります。
外断熱は構造体の外側に断熱材が来るため、極端に言えば、1mの断熱材を使っても、室内は狭くなりません。
他にも多くの利点があるため、欧米は外断熱が主流です。
▼外断熱のメリット▼
一般的に言われる外断熱のメリットは次のようなものです。
◇1. 結露が起きない
◇2. 省エネルギー性能が高い
◇3. 温度変化が小さい
◇4. 建物が長持ちする
◇1.結露が起きない
外断熱では、外側のコンクリートの温度が室温に近くなるので、日本の多くの地域では結露はまずおきません。
よって、結露を原因としたカビの発生は起こりにくくなります。
アレルギーの原因は7割前後がカビやダニだとされているので、アレルギー症状の低減にも有効です。
◇2. 省エネルギー性能が高い
現在のマンションの多くは内断熱工法で、断熱材の厚みは2cm前後です。
これに対し、外断熱工法では10cm前後の厚みの断熱材を使います。
このため、壁面から逃げる熱や、壁面から入る熱は内断熱工法の建物よりもずっと小さくなり、省エネルギー性が高くなります。
外断熱工法を採用する建物では、窓に樹脂サッシ+ペアガラス+特殊膜コーティング(Low-E)を使うことが多いため、アルミサッシ+シングルガラスと比べて、窓から逃げる熱も3分の1位になります。
全体で見て、外断熱工法の建物は、内断熱工法の建物と比べ、大きな省エネルギー性能が得られます。
省エネルギーになるということは、地球環境にも優しいということです。また、住まわれる方の快適性も大幅に向上します。
◇3. 温度変化が小さい
コンクリートはたくさんの熱を蓄えることができます。
1m角のコンクリートの塊があるとします。
このコンクリートの塊が1℃冷えるとき、1戸75平方メートルのマンションであれば、8戸分の空気を1℃暖めることができます。
内断熱工法の場合は、この熱を蓄えやすい性質が悪い方に働きます。
冬の場合には、暖房を入れたとしても、外壁のコンクリートが冷えたままです。コンクリートを暖めるまでには、多くのエネルギーを
必要です。もし、暖めたとしても外側に断熱材がありませんので、熱は外側から逃げていく一方です。
また、夏の場合には、昼間に温められたコンクリートは、夜にまでその熱を蓄えています。
外断熱工法の場合、コンクリートが熱を蓄えやすい性質が良い方に働きます。
一度温められたコンクリートは、なかなか温度が下がりません。
そのため、外気の温度が急激に変わっても、室内の温度変化は小さくて済みます。
◇4. 建物が長持ちする
コンクリートは鉄とほぼ同じ程度、熱で伸び縮みします。
例えば鉄で出来ている電車のレール。夏にはレールが伸びるためレールとレールの継ぎ目にあらかじめすき間をあけています。
この継ぎ目を通るときに、「ガタンゴトン」という音がするのです。
一般的な建物では、夏の時期に屋根面の温度が70~80℃になります。
冬には外気温と同じくらいの温度に下がります。
日本の多くの地域は年間で70℃前後の温度差が建物の外側にかかるのが普通です。
1m幅のコンクリートがあるとします。
このコンクリートは、温度が10℃上がると、0.1mm伸びます。
長さ40mのマンションがあり、年間の温度差が70℃だとすると、単純計算で28mmも伸び縮みすることになります。
実際には鉄筋が入っているので、この数字通りには伸びませんが、伸びようとする力は、コンクリートの中に働く力(内部応力)となって、ひび割れやひびの幅が広がる原因となります。
外断熱工法の場合、構造体の年間温度差が70℃になるということはありません。せいぜい、10℃前後です。
このため、伸び縮みによる力は、ずっと小さくなります。
また、外断熱工法の場合、雨や雪、直射日光、酸性雨が構造体に直に接することがありません。
これらのメリットにより、建物の長寿命化が図れます。


