★外断熱工法のデメリット
今回からは、鉄筋コンクリート造の建物に使われる、外断熱工法のデメリットをご紹介します。
ネット上や書籍に、メリット・デメリットはいろいろと書かれていますが、私なりの考えを重点的に書きたいと思います。
一般的に言われる外断熱のデメリットは次のようなものです。
◆1. 価格が高い
◆2. 施工が難しく、デザインが制限される
◆3. 地震のときに外壁が揺られて心配
◆1. 価格が高い ◆
確かに、今販売されている外断熱のマンションは、一般的な内断熱のマンションよりも価格が1~2割高くなっています。
価格だけ見ると確かに高いといえます。
▲私なりの考え▲
全体価格だけを見ても、その建物が高いかどうかは分かりません。中身を見る必要があります。
車でも、軽自動車と高級車を値段だけで比較はできませんよね。
【断熱材の厚みの比較】
断熱性能を見てみると、一般的な内断熱マンションの断熱材は現場発泡ウレタン20mm程度です。
それに対して外断熱マンションではグラスウール125mm、あるいは発泡断熱材70mm程度です。断熱性能で比較すると、2倍弱~4倍弱の性能差があります。
断熱材が厚くなる分だけ、壁から逃げる熱も少なくなります。
あまり言われていませんが、現場発泡ウレタンは経年劣化が大きい種類の断熱材ですので、10年後の性能を比較すると、性能差はさらに大きくなります。
ポイント:外断熱の壁の断熱性能は、内断熱の2倍~4倍ある。
【断熱材の施工範囲の比較】
寒いときには、服を厚めに着ます。
でも、どれだけ温かい服を着ていても、足が裸足だったり、半そでだったりすると寒いですよね。寝るときも、どれだけ温かい布団だったとしても、足が出ていると寒いです。
実は、現在の内断熱マンションでは、場所や方角によって断熱材を薄くしたり、施工を省くケースが多々あります。これは、方角によっては、「結露しない」と考えられているからです。
これは、断熱に対する意識・目的・視点が、「結露防止」でしかないからです。
外断熱工法の場合、方角に関わらず建物をぐるりと覆ってしまうのが普通です。断熱の目的が「結露防止」よりずっと高いところにあるため、方角によって断熱を省くということはありません。
ポイント:現在の内断熱では、方位によって断熱を省く時もある
外断熱では、建物を断熱材でぐるりと囲っている
【開口部の性能の比較】
一般的なマンションでは、窓の枠はアルミ枠です。ガラスがペアになっているところもありますが、シングルのマンションもまだたくさんあります。
しかし、窓枠がアルミだと、そこで結露が生じる可能性があります。
また、窓全体でみたとき、ガラスがペアであっても、枠がアルミの場合には、大きく断熱性能が向上するわけではありません。
ペアガラスであった場合でも、中の空気層の厚みによって性能が変わります。
空気層12mmのものが理想です。12mm未満のものは、12mmのものと比べ、1割弱断熱性能が低下します。
ペアガラスを採用しているマンションでも、多くはアルミサッシ+空気層6mmのものがほとんどです。
外断熱工法をよく理解している業者さんであれば、窓には樹脂枠+ペアガラスを使います。空気層は12mmのものが普通です。
また、ガラスにも熱が入ったり出たりしにくい特殊なコーティング(Low-Eコーティング)を施してあることもよくあります。
断熱性能では、
・ペアガラス(空気層 6mm)+アルミサッシ と、
・ペアガラス(空気層12mm)+樹脂サッシ+ Low-E
では、2倍程度の性能差があります。シングルガラスのアルミサッシと比べると約3倍の性能差です。
ちなみに現在のところ、価格はアルミと比べて樹脂の方が高くなります。
ポイント:開口部の性能は、シングルガラスのアルミサッシと比べると約3倍。
樹脂サッシはアルミサッシと比べて価格が高い。
【耐用年数の比較】
構造体を断熱材でぐるりと囲む外断熱工法では、コンクリートの寿命が伸びるとされています。
内断熱マンションが3500万円、耐用年数50年、
外断熱マンションが2割高で4200万円、耐用年数が1.5倍に伸びて、75年だと仮定します。
単純計算ですが、耐用年数が20年延びただけで1年当たりの費用は、外断熱工法の方が15万円近く安くなります。
50年後に建て替えになった場合、当初の差額700万円程度では到底立て替えることはできません。
各所でもっと具体的で細かいな計算がされていますが、長期的に見て外断熱工法の方が安上がりになるのは間違いないでしょう。
先に述べたように、外断熱工法のマンション価格を一般的なマンションと比べてみると、現在は1~2割高くなっています。
しかし、各部の性能を取り上げてみると、性能の差は数倍になっているのです。
外断熱工法が採用しているマンションの価格が高いのは、内部の表面的な仕様にお金をかけているためではありません。
建物の本質的な、「構造体を含む外周り」にお金をかけて、高い性能を持たせているからです。