先日、新潟に行ってきました。震災の被害調査のためです。
当初は、震災直後に被害調査に行った学生時代の研究室に同行しようと考えていましたが、日程の関係で難しく、12月に入ってから神尾さんと2人で被害の調査に行きました。
今回の震災で被害が大きかったのは、
川口町の田麦山、武道窪、和南津地域
旧堀之内町の新道島
の、計4地域だとされています。
このうち、田麦山、武道窪の2ヶ所を見てきました。
いずれの地域も被害が大きく、田麦山地域では大規模な修繕なしに住むことが出来るのは、2割も無いのではないでしょうか。
建物の多くは倒壊、またはかなり大きな被害を受けています。
今回は、震災後約1ヵ月経過した時点での調査です。これまでの1ヵ月の間に取り壊された建物に関しては被害の確認が出来ませんが、更地になっている所がいくつかあったことから、倒壊した建物はもっと多かったことでしょう。
各所を見て回っている時にも、あちこちで建物が取り壊されています。被害が大きいため、取り壊しが避けられない建物です。
建物が大きく傾いて危険なものは右の写真のように重機で取り壊されます。
重機によって取り壊されていく家の様子を見届ける家主の方の気持ちを考えると心が痛みます。
[参考写真]芸予地震で見た広島地方の伝統建築。 柱幅が150mmある事も珍しくなく、外から見える梁に、虹梁と呼ばれる大きな梁を使うのが特徴 土壁が用いられることも多い |
倒壊に至った建物の多くは古い建物ですが、築浅のものもありました。 新聞やテレビでは、豪雪地域に建てられるため、建物の被害が・・・などといわれていますが、思っていたより柱の太さや梁の太さは大きくありませんでした。 材料の大きさだけで見ると、学生時代に芸予地震の被害調査で行った(雪の降らない)広島の伝統建築の方がずっと上です。 |
| 倒壊した建物には、柱と土台を留め付けるホールダウン金物というものが取り付けられていませんでした。 最も、昔の建物にはホールダウン金物などの金物を取り付ける義務が無かったので、建築後に耐震補強をしていない限り、古い建物には金物自体がありません。 このような場合、柱のほぞ部分には、「込み栓」という引き抜き対策の棒を入れるのですが、そのようなものもありませんでした。これでは、力がかかったときに簡単に柱から外れてしまいます。 この地域の昔ながらの建物は、上からの荷重には対応しているものの、左右の揺れによる引き抜き力への対策は甘かったといえます。 |
倒壊した建物の土台部分込み栓がありません
[込み栓模式図] |
| 今回の調査で一番驚いたのが、写真に示した、築1年に満たない建物での、ホールダウン金物の破断 建物の平面計画で、この部分に力が加わることは予想できますが、これまでにホールダウン金物の破断は見たことが無かっただけに衝撃的でした。 このホールダウン金物の破断は、今後学会や専門誌等で議論される出来事でしょう。 |
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| 最後に、被害が少なかった建物を2つ。 | |
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いずれも被害が大きかった地域に建っている建物です。周辺には倒壊した建物がいくつもあります。
サッシの落下や、室内のクロスの被害などはあったそうですが、大きな修繕なく住むことが出来そうです。
実はこの2つ、地元の同じ工務店が建てた建物。右側の家主の方いわく、この工務店は人気があり、順番待ちで建ててもらったそうです。数年前から高気密高断熱をやりはじめ、この高い基礎も工務店が直接施工するとのこと。
家主の方のお話を聞いていると、かなり勉強されている方のようでした。
・瓦は荷重が増えるので、金属屋根にした
・金属屋根の中でも、寿命が長いステンレスを採用した
・ステンレスと一般的な金属屋根の差額は30~40万だが、
足場のコストを考えると、ステンレスの方が長期的に見て安い
・耐震のため、大きな部屋を作らないよう、あえて部屋を区切った
など、地震のことをあらかじめ考えてみえたようです。
強くて長持ちする建物を作るためには、施主側の勉強と、それに応えられる業者さん選びがとても重要という思いを強くしました。
デザインや内装、仕上げ材がどれほど良くても、その建物が直せないほど地震で壊れてしまったのでは、どうしようもありません。
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