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地震を、力ではなく、時間で考える

2004年11月08日

今日は(出来るだけ簡単に書きますが)ちょっと難しめです。いつも難しいという説もありますが・・・

今日は、地震を「力」ではなく「時間(周期)」で考えてみたいと思います。

音楽 地震の波というのは、音楽と同じです。

地震の波は、色々な波から出来ており、それが組み合わさって一つの地震となります。

これは、色々な楽器を組み合わせて1つの音楽になることと似ています。
全ての楽器の音量を、合わせて100dBだったとします。

この1つの音楽を、ある手法を使うと、それぞれの音の高さ毎に、音の大きさを分けることが出来ます。

楽器 ギター トライアングル バイオリン 太鼓
音の大きさ 80dB 60dB 70dB 90dB
音の高さ 400Hz 500Hz 300Hz 200Hz
(数字は適当な値です)

この処理は、身近にあります。
例えば、コンポ(ステレオ)のグラフィックイコライザーです。それぞれの音の高さにおける、音量をバーの長さで示しています。

今回の例では、太鼓の低い音(200Hz)が最も音量が大きくなっています。これを、卓越といいます。

このグループの音楽を聴いて、心に響いた人が多かったとします。これを、共振と呼びます。心と音楽の波長が合い、心が大きく揺れたということです。(ちょっと強引ですが)
演奏終了後、観客に感想を聞いてみると、「一番心に響いた楽器は、太鼓」と答えた人が最も多くいました。しかし、答えはバラバラで、バイオリンや、トライアングルという人もいました。

地震と建物の関係を、音楽と観客の関係と比べてみます。

新潟県中越地震 小千谷における加速度応答スペクトル 右の図は、先月の新潟県中越地震の小千谷における観測データを処理して、振動数別にしたものです。(横軸が対数軸なのでご注意を)

グラフを見ると、1.4Hzの所が最も高くなっています(卓越)
この場所に、1.4Hzで揺れやすい建物があったとします。音楽と観客の場合には、心の周波数(振動数)と楽器の周波数(振動数)が一致すると、共振を起こして、心に響いていました。

しかし、建物と地震の時には、共振を起こすと揺れが大きくなります。
結果として、建物は非常に壊れやすくなります。

地震の時の振動数は、卓越している地震波の力が最も大きくなります。
1.4Hzというのは、0.7秒に1回左右に揺れる程度で、古い建物が該当します。
現在の一般的な木造の在来工法は 4Hz前後だとされており、建物の外側を合板で覆ったり、2×4の場合には、7Hz前後とされています。

今回の地震波の卓越振動数は 1.4Hzですので、現在の一般的な建物であれば、共振は起きにくいと考えられます。
また、グラフを見ると、4Hzの部分の高さは、最も高い高さの半分くらいになっており、エネルギが小さいことが分かります。

耐震と免震と減衰 先のグラフに、耐震の考え方、免震の考え方、減衰の考え方を書くと、右のようになります。

耐震とは、細かく揺れるようにすること
免震とは、ゆっくり揺れるようにすること
減衰とは、揺れを早く止めることです。

超高層ビル・マンションは、建物が高いこと自体が免震です。
超高層ビルは、0.3Hz前後くらいで揺れますが、グラフを見ると、0.3Hzのところのエネルギの大きさは卓越部分と比べるとかなり低くなっています。

超高層建物は、ある地震が来たとしても、影響を受けるエネルギ自体が小さい(先の音楽の例だと、トライアングル)ので、地震には強いとされています。

超高層の構造は、地震を「力」だけで考えると理解は困難です。地震を「時間」で考える必要があります。
逆に言うと、地震を時間で考えないと、超高層の理解は難しいといえます。


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